新聞広告でベストセラーと大きく宣伝してあったし、
「教室の悪魔」と言うタイトルも刺激的。

アマゾンでの内容紹介も刺激的です・・・
「Iの母親は主婦売春しています」と画像つきでばらまかれる嘘メール
「汚い」と言われ続けて毎日必死に身体を洗う子どもの自己臭恐怖
「退屈だから」といじめをエスカレートさせていく集団ヒステリー…
子どもの世界で、いったい何が起こっているのか?
地獄の心理ゲームと化した「いじめ」の正体を示し、
いま、大人がなすべきことを具体的に、ズバリ提示する。


教室の悪魔 見えない「いじめ」を解決するために/山脇 由貴子

¥924
Amazon.co.jp

このタイトルのつけ方と言い、内容紹介文と言い、
個人的にはとても不快感を覚えるのですが、
本を売りたい出版社が筆者の意図に反して
過激な興味本位のタイトルや内容紹介をするのはよくある話。
これは自分で読んで判断しなければと書店に行きました。

ありました、ありました。
平積みで「緊急出版」と書いたPOPまでありました。
字が大きくて薄い!
新聞広告のように2時間で読めそうです。
目次は次のような感じです。

第1章 「いじめ」は解決できる―雄二君(仮名)の相談事例から
第2章 大人に見えない残酷な「いじめ」
メールで噂話をばらまく
 ―「エンコーしてる」と噂を流されたSちゃん
本人ではなく、家族を中傷する
 ―家族の偽写真をメールで流されたIちゃん
いじめの「ON」と「OFF」を使いわける
 ―「今日は、例のあの日」を繰り返されたK君
共犯関係を演出し金銭要求する
 ―「一緒に遊ぶ金だろ?」とお金を要求され続けたT君
女の子同士で徹底して恥をかかせる
 ―下着を貼り出されたYちゃん
「汚い」「醜い」というイメージを植えつける
 ―毎日給食を食べられなかったR君
発覚しない小さな暴力を繰り返す
 ―コンパスで背中を刺され続けたO君
完全否定の「なんで?」を繰り返す
 ―「なんで生きてるの?」と言い続けられたTちゃん
奴隷にしてしまう
 ―万引きから援助交際まで、命令され続けたIちゃん
第3章 なぜクラス全員が加害者になるのか?
第4章 「いじめ」を解決するための実践ルール
―親にできること、すべきこと、絶対してはならないこと
第5章 「いじめ」に気づくチェックリスト


ちらっと立ち読みしただけなんだけど
この本を読めば、
いじめで自殺する子や
いじめられっ子に対して
いじめられるお前が悪い!
負けずに立ち向かえ!

などと言う大人は考えを改めるでしょう。

でも、買う気にはなれなかった。
その理由は
今、現にいじめを受けている子どもたちを
助けるにはとても有効だろうけど
根本的な解決になるのか疑問に感じたから。

筆者には、いじめの兆候を見逃さず、
その疑いがあれば徹底的につぶしていく
ゼロ・トレランス(非寛容)の考え方がベースにあるようです。
筆者の経歴から見ると
ゼロ・トレランスなんて言いそうにないのだけど・・・


ゼロ・トレランスは一時的には素晴らしい効果をあげ、
いじめは激減するでしょう。
でも、ゼロ・トレランスとは
恐怖でいじめを無くすことですから、
気をつけないと生徒の多様性を否定し様々な権利を奪います。
それにゼロ・トレランスに乗っかった管理側も否定できない(肯定せざるを得ない)いじめが増えそうな気がします。
あるいはいじめが激減するけれど
心の病に罹る子どもが激増しそうです。
これって戦前の軍国主義教育と同じではないでしょうか?
なんて政府は明らかにその方向なんですが・・・


この本をきっちりと読んでいないので
本をパラッと見た印象だけで
本当はこんな記事は書いてはいけないのですが、
私と同様、本を読んでいない政治家が
私の懸念しているように
タイトルとセンセーショナルないじめの事例だけで
愛国教育だとかゼロ・トレランスを勧めるような気がして
書かずにはいられなかったのです。

でも、やはり読んで改めて記事にしますね。
読んだ人は是非コメントかTBをお願いします。