阿弥陀堂だより/寺尾聰

¥3,005
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今年のDVD第一弾は「阿弥陀堂だより」でした。
70分過ぎぐらいまでは冗長で退屈でしたが、
後半はとても良かったです。

山と里の境界にたつ阿弥陀堂。
そこは生と死との境界でもある。
その阿弥陀堂を守っているのは96歳の老女、
そこに難病で声を失った女性と
パニック障害で療養のために
この村に越してきた女医とその夫。


山の美しい自然の中に
人が埋め込まれているような映像で
とても二次元的です。

医者として300人の命を看取った女性
300人目の死を看取った直後に
夕陽を浴び、お腹の中の子どもを流産します。
そのショックでパニック障害を起こし、山へ。


ゆったりとした時の流れの中で
自然に抱かれ、
徐々に回復の兆しを見せ、
難病の少女の危機を救い、
医者としての自尊感情を回復します。


そして、夫の恩師に臨終に立会います。
死の床は美しい自然に囲まれ、
301人目の尊厳死を看取った直後、
また夕陽を浴び、
43歳にして妊娠します。
まるで夫の恩人の生まれ変わりであるかのように・・・


大きな自然の流れの中で
人の命なんて儚いもの。
その儚い命の中で
ただ自然に委ねて生きる・・・

でも、それが正しい生き方なのか・・・

慌しさの中で
機械のように働く生き方も嫌だけど
自然の流れに身を任せつつ、
その中で自分の役割を見つけ、
精一杯生きていくこと。

女医にとっては、
村の新しい診療所を
患者本位の理想的な医療を実現する場にすることなんですね。

誰かが年始のテレビで言っていたけど
我々は大きな円を構成する弧に過ぎないけど
その弧がなければ、大きな円はできない。
大きな円、すなわちビジョン。
やはりビジョンが大切だよな。


阿弥陀堂だより@映画生活