エリート養成機関 ナポラ/トム・シリング

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ナポラ(NaPoLa)とは、ナチスのエリートを養成する全寮制の学校のことです。
ヒトラー・ユーゲント→ナポラ→SS武装親衛隊 
が典型的なエリートコースのようです。

まだまだ貴族など身分制度があったドイツで
能力とドイツ人(ゲルマン人)としてふさわしい身体的特徴さえあれば
誰でもがエリートになれる可能性がありました。
この姿勢が労働者たちの支持を得たのですね。

入学試験の際、骨格や目の色、髪の色をチェックするところが
社会ダーウィニズムの立場をとるナチスらしいところです。

ナポラは古城の中に開校されており、
教育環境はとても素晴らしいですね。

でも、この映画を観て、
「いじめ」の構造と良く似ているなと感じました。
できない学生は地域・学校から責められます。
できる学生は上級生からいじめられますが、
できすぎる学生は皆から一目置かれるようになります。
完全な弱肉強食の世界ですね。

そして、知事の息子でコネで入学した体が弱く、
反ナチス思想を持つ少年が自殺しますが、
ドイツ国民が自殺するはずはないと
事故死にされてしまいます。

弱い者がいじめられ、
その結果自殺するのは
結局は弱かったからなんだけど
エリート養成機関から
負け組がでることは許されず、
自殺は事故死に
いじめられる者は密かに退学処分・・・

でも、退学させられた者が生き残る皮肉

授業はゲルマン民族の優秀性や
ドイツの自然の美しさなどばかり。

色々考えさせられる映画でした。

日本で議論されている愛国心教育とか
トヨタなどが設立した全寮制の学校が
目指しているのは、ナポラでないのかと思う。
武力戦争ではなく、経済戦争に勝つための
英才教育・・・

この映画はNapolaを舞台に「いじめ」など現代の社会問題を
取り扱っているように感じました。
ドイツでもいじめなどは社会問題化しているようですから。

日本の「Ijime」、ドイツで強い関心 連日報道

さて、当時の文脈でのナポラについて知りたい方は
「魔王」の方が参考になると思います。

魔王/ジョン・マルコビッチ

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勘違いされやすいヒトラー・ユーゲントについては
下記の映画を観ると良いと思います。

スウィング・キッズ -引き裂かれた青春-/ロバート・ショーン・レナード

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エリート養成機関 ナポーラ@映画生活