今日の読売新聞の報道です。

学校でいじめによる自殺が相次いでいる事態を受け、
安倍首相直属の教育再生会議(野依良治座長)は25日、
いじめ問題に対する緊急提言を来週にもまとめ、
公表する方針を固めた。

都道府県や市町村の教育委員会に対し、
〈1〉いじめた児童・生徒に出席停止など厳しい対応を取る
〈2〉深刻ないじめ問題が起きた場合に備え、
緊急に学校を支援する態勢をつくること
などを求める。

同会議は来年1月に中間報告を作成する予定だが、
自殺問題を重く見て、法改正などが不要の緊急対策を
早急に打ち出すことにした。
文部科学省も速やかに対策を講じる考えだ。

学校教育法では、
「児童の性行不良で、他の児童の教育に妨げがある時」は、
市町村教委は保護者に対し、
その児童の出席停止を命じることができると定めている。
具体例として、傷害、心身の苦痛、財産上の損失などを
与える場合を挙げている。
(読売新聞 - 11月25日 14:40)


教育再生会議の委員の方々は財界人などで構成されていて
必ずしも教育現場に詳しくない人たちだ。
だから、こんな提言をだせるのだろう。
私はいじめる側が悪くないと言いたいのではない。
このような提言を出す教育再生会議は
現在のいじめの構造を全く理解していないと言わざるをえない。

そもそもいじめとは、1対多、あるいは少数対多数で
多数派が個人や少数派を攻撃することだ。
それに現在のいじめは、ひょんなことから
いじめる多数派にいた子どもが
突然いじめられる個あるいは少数派に転じることがある。
さらに第三者から仲良しグループと思われている
集団の中にも潜在的ないじめが存在している。


従って、1対1の喧嘩でもなく、
攻守入れ替わる可能性もあり、
さらに第三者から見れば仲良しグループと言ういじめの構造の中で
加害-被害を特定するのは難しい。
下手をすれば、児童・生徒のほとんどが出席停止になる可能性もある。
それを避けるためには
いじめた児童・生徒集団のどこかでいじめる側と
いじめられる側を線引きしなければならないなど
先生の監視、生徒間の告発合戦がはじまるかも知れない。

例え、すぐに加害者を特定できたとしても
いじめる側の方が学校や地域での評判が良いことも多く
冤罪の主張や減刑嘆願の運動が起こる可能性もある。

いじめる側が地域の総意で特定できたとしても
出席停止にするだけでは何も解決しない。
いじめる側の児童・生徒にもなんらかのケアが必要だろう。
でないと正義の名の下に権力が個人をいじめることになりかねない。

だから、安易に加害-被害を判断し、
加害者を厳罰に処することは避けなければならないと思う。

従来の応報的司法ではなく、
修復的司法に可能性があるように思う。

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