安心して絶望できる人生/向谷地 生良

¥777
Amazon.co.jp

待望の浦河べてるの家の新書です。
数年前から注目していたのですが、
今までは高い本(と言っても2000円ぐらいですが。。。。)しかなくて
書店でいつも買おうかどうか迷っていたのです。

一気に読んでしまいました。

精神に障害を持つ人々が
自らの症状を自ら研究していく「当事者研究」。
研究と言う他者の目で自分の症状を見ていくと
自分の症状が意外に合理的な行動で
あることに気づきます。

これは認知症や自閉症の人々と同じですね。
それぞれの文脈で見れば
異常だといわれている行動も
その文脈では極めて合理的なものなんですね。

問題の外在化手法にも似ていますが、
少し違いますね。
問題の外在化手法とは、
自らの問題をモンスターと言う形で
身体から切り離し、
家族と一緒にそれを退治する物語りによって
精神の問題を治す手法です。
例えば、引きこもりの子どもが引きこもるのは、
「ヒキコモラー」と言う怪人がいるからだと見なし、
家族みんなで「ヒキコモラー」を退治する物語りを
共有することによって治療する方法です、たぶん。

映画「サイン」が問題の外在化手法を映像化したものですね。

サイン/メル・ギブソン

¥1,172
Amazon.co.jp

「当事者研究」は問題を決して外在化はしません。
自分の問題として受け止めます。
治すのではなく、共存する、あるいは理解する
あるいは手なずけるようなイメージでしょうか?
「幻聴」も「幻聴さん」と呼び、
幻聴さんがいつ出現するのかを調べます。
調べるためには、幻聴さんが出現しないといけないので
今までと違い、幻聴さんがいつ出現するかワクワクして
待つことになりますし、当事者研究をしていることを
知っている仲間も「幻聴さん」が当事者に現れたとき、
不快に感じるのではなく、ともに喜び、笑うことになります。

だから、安心して絶望できる!

その他、安心してサボれる会社づくりを目指すとか
自分を社会に無理して合わせるのではなく、
自分に合わせた社会を作ろうとするなど掟破りの解決策が一杯。

絶望を超えたところに安心があるのですね。

2000円を奮発して「べてるの家」の本を買おうかな?

べてるの家の「当事者研究」/浦河べてるの家

¥2,100
Amazon.co.jp

べてるの家の「非」援助論―そのままでいいと思えるための25章/浦河べてるの家

¥2,100
Amazon.co.jp

12月2日に講演会が東京であるようです。
詳細はこちら
べてるの風を多摩に ~北海道浦河から~