壊れた脳 生存する知/山田 規畝子

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三度の脳出血で高次脳機能障害になった女医さんの体験記です。

認知症、高次脳機能障害、そして自閉症・・・

この三つはとても似ているように思います。
まず身体上の欠損が認められず、
見た目には普通の人(って誰だが良くわからないけど)と
なんら変わらないですが、
コミュニケーション障害があるということです。

認知症は
脳の機能がだんだんと壊れていき、
最終的には死に至る病です。
当初はCTスキャンで診ても
脳の機能が壊れているかどうかはわかりませんが、
徐々に画像上でも脳が壊れていく様子が確認できます。

高次脳機能障害は
脳出血や交通事故などの脳外傷で
脳の機能が一気に壊されるものです。
CTスキャンで明らかに脳の損傷の状況がわかるレベルから
CTスキャンでは脳の損傷が認められないけど
過去に脳出血や脳外傷の既往歴があり、
その後の人格障害などの症状で、
高次脳機能障害とされるレベルがあります。

自閉症は
CTスキャンでは脳の損傷が認められないけど
感覚過敏とそれに起因するコミュニケーション障害が
あります。

ただ自閉症には短期記憶障害はないのですが、
他のふたつと違い、自閉症は先天的なものなので、
中長期的記憶のデータベースがありません。

一方で、認知症や高次脳機能障害の経過は
発病以前のその人の履歴に影響するということ。
すなわち発病するまでにどんな中長期的記憶を
蓄積していたかということです。

この本の著者も先日の認知症の女性
ともにいわゆるエリートですので、
発病する以前の中長期的記憶が充実していたと言えそうです。

自閉症の場合は、
中長期的記憶の蓄積がゼロですが、
まだまだ脳は十分に成長しておらず、
早期の適切な療育により
中長期的記憶を蓄積していくことができますね。

とすると短期記憶は脳の物理的減少が
影響しているように思います。

最も私は脳外科医でもないし、
神経生理学も精神医学も知りません。
だから、ここに書いたことは
医学的には間違っているでしょう。
ただ私は素人の特権で
認知症や高次脳機能障害、そして自閉症と言う
専門領域が異なる症状を
何の先入観もなく、乱読しただけなんですが、
個人的にはこの三つを同じカテゴリーだと
理解したほうが、それぞれのケアに役立つような
気がしています。