私は誰になっていくの?―アルツハイマー病者からみた世界/クリスティーン ボーデン

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若年性アルツハイマー型認知症に罹った
オーストラリアのエリート女性の本です。
当事者の立場からの貴重な記録です。

認知症のイメージは
高性能のPCがだんだん性能が悪くなってくるような感じです。
今までは複数のソフトを動かして作業をしていたけど
だんだんひとつひとつの処理速度が遅くなり、
最新のソフトから使えなくなっていき、OSのみとなり、
最後はハードも動かなくなるみたいな感じでしょうか?

だから、全くわからなくなるのではなく、
今まで瞬時に理解していたことでも
理解するまでに数時間、
下手をすれば1日ほどかかるそうです。
こちらはまさかそんなことだとは思わず
善意から援助してしまい、
この作業を中断させてしまうから、
いわゆる廃人(←この表現は良いのかな?)
になったと思うようです。


この女性は非常に能力がある人なので、
スパコン・レベルの頭脳を持っており、
性能が落ちたと言っても
まだまだ講演をしたり、
文章を書いたりできているみたいです。

また彼女はキャリア時代に仕事が遅い人を
徹底的に非難してきたそうだけど、
この病気になってから、
今まで能力が無いと馬鹿にしていた人の気持ちも
わかるようになったと言います。

世間では、
認知症防止と言うことで
脳トレが盛んですが、
老人性健忘症の防止には効果的ですが、
認知症の予防にはなりません。

認知症は症例の名前であり、
原因は70以上ありますから・・・

ただ相対的な能力の低下は個人差がないようですが、
もともとの性能が高ければ高いほど
絶対的な能力の低下が遅くなるので、
脳トレはしないより、した方が良いみたいです。