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手紙@映画生活
映画 『手紙』 エンディングが本当に泣ける・・・

この映画、無茶苦茶泣けます!!
号泣したいのをこらえすぎて、
ひざが震えてしまいました。


犯罪は、直接の被害者とその家族だけでなく
自分の家族にも二次被害を及ぼすことが良くわかります。
途中で、学校の講堂で観ている様な錯覚を起こす
典型的な文科省&法務省が推薦しそうな映画ですね。
是非中学や高校で観てほしいし、
罪を犯し、服役している人々にも観てもらいたい映画です。
但し、あるシーンをカットしてですが・・・


以下、ネタバレなので、
私がカットしろ!と言ったシーンはどこなのかと思いながら、
映画を観てください。
それから、続きを読んでね。


なお、原作は

手紙/東野 圭吾

¥620
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強盗殺人事件を起こした兄を持つ弟が
殺人犯の弟と言うだけで差別に遭います。
両親が居なくて兄弟二人なんですが、
不思議なことに母親は恐らく病死なのですが、
なぜか父親の話題は一切なく、
どうも父親もいないらしいと言うことがなんとなく理解できます。
日本の場合、なぜかこのように父親に一切言及しないことが多いのです。

弟はまだ高校生で、兄は過重労働で体を壊し、
やむなく犯罪を犯してしまいます。
彼が犯罪をせざるを得なかった事情はある程度理解できます。
だからと言って、許されることではないのですが・・・

最初は兄が犯罪を犯したのは自分のためだと感じ、
兄を慕っていた弟も犯罪者の弟ということで
成功を掴みかけた瞬間、様々な差別に遭います。

ここまでは加害者が犯罪に至らざるを得なかったところを
共感的に描きながらも
差別にあいながらもけなげに頑張る弟との手紙のやりとりの中で
やはり罪を犯すことは悪いと言うことを自覚する映画かなと
思っていたのですが、見事に裏切られます。


兄の所為で自分は差別を受けるのだと
兄を恨み始めた主人公に対して、
ある賢老人が、
差別ではなく、当然の報いだ!
近親者が犯罪を犯すということは、
こういうことなんだ。
兄はそれを理解していなかった。
だから、お前は逃げずに頑張れ!

と諭します。

ええっ!!!
そうなの?
差別じゃ無くて当然なの?

このシーン
カット! カット!


映画では服役中の兄を
凶悪な犯罪を犯すような人ではないし、
ほんとに衝動的に罪を犯してしまったと言うことは
十分理解できるようにすごく丁寧に描きながらも
徹底的に罪を犯してしまった兄弟を責め続けます。

確かに兄の罪は決して許されるべきものじゃない。
でも、両親が居なくて
未成年の弟を体を壊しながらも
支え続けなければならなかったのはなぜか?
適切な社会保障が得られたはずなので、
そのような制度が必要な人に伝わっていないこと、
あるいはそもそもそのような社会保障の制度がない
ことも指摘していくべきだろう。

それにどう考えても
弟が受けていたのは差別であり、当然の報いではない。
差別、言い換えればいじめ
基本的人権の侵害として抗議しなければならない。
これが当然の報いなら、家族は常に他の構成員が
罪を犯さないように監視しなければならなくなるだろう。

加えて、弟もあれほどの差別を受けながら、
よく犯罪を犯さなかったなぁと思う。

でも、周囲が犯罪者の弟と差別して
犯罪を犯さざるをえないように仕向けながら、
もし犯罪を犯したら、
やはり犯罪者の弟だからだとなるのだから
たまったものじゃない。


ラストシーンは本当に涙なくしては観られないけど、
その一方で、極めて凡庸です。
それでも、血の繋がった兄だから・・・

これって救いなのだろうか?
この文脈で、最後は血のつながりと言う
陳腐なメッセージ・・・
だから、連帯責任で、差別ではなくて
当然の報いとしていじめに耐えていかなければ
ならないのだろうか・・・

国連人権理事会で上映して是非意見を聞いてみたいです。

すごく泣かされる映画だけに、
この極めて保守的・道徳的な映画に
危険を感じます。


追伸
沢尻エリカって彼女なのね。
今まで知らなかったヨ。