ホロコースト-アドルフ・ヒトラーの洗礼-/マチュー・カソビッツ

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ホロコーストとあるので、観ようかよそうか悩みましたが、
ホロコーストの衝撃的な映像は一切ありませんでした。
しかし、ホロコーストの恐ろしさは映像で十分伝わってきました。

収容所に向かう貨物列車・・・
帰りは貨物車の扉が開いたままで、
向こうには黒い煙が・・・・


収容所の片隅にバックなどが山積みにされている様子
ゾンダーコマンドを命じられた牧師さん

ゾンダーコマンドは「灰の記憶」が取り扱っていますが、
こちらは観るに耐えません。。。


灰の記憶 文部科学省選定作品/デイビッド・アークエット

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おそらくその風貌や仕事内容から
アイヒマンと思しき人の言葉
「私は仕事に忠実なだけだ。」


アイヒマンについては


アイ・ヴィー・シー
スペシャリスト(トールケース)

ただホロコーストのことを知らないと
良くわからないかも知れませんが・・・

さて、映画はもともとチフスの研究者が
チフスを蔓延させないために、
チフス患者を駆除する実験からスターします。
彼はチフス患者を社会の寄生虫と呼び、
実験の成果をナチス関係者に説明しますが、
ナチス関係者が言う寄生虫は当初は精神障害者であり、
後にはユダヤ人だったのです。

ホロコーストの最初は社会に寄生する生産しない不良品として精神障害者を抹殺します。
いわゆるT4作戦です。
その実績がユダヤ人の虐殺技術として応用されていくのですが、
その事実を知った主人公が教会などに掛け合い、
止めさせようとする映画です。

しかし、誰も彼の言葉を真剣に受け止めようとしません。
事実を知るドイツのハイソな人々は、自分も殺されると黙認
一般の人々はホロコーストの事実を知らず、ユダヤ人の追放を支持
英米はソ連(共産主義)をナチスに倒させることと
ユダヤ人の優秀な人材と資産家のみを受け入れ、
その他のユダヤ人は黙認、
教会も改宗者のみ支援します。
日本では福祉国家として評判の高い北欧諸国は支持

北欧は福祉国家ではありますが、
極めて優生思想に強い国で、
これは理屈としては矛盾しません。
生まれてしまった弱者は保護しますが、
その前に徹底的に生まれないようにするのが
彼らの発想ですから・・・

教会も証拠がないことと中立を理由に無言を続けます。
映画では触れられていませんが、
教会はT4作戦には猛烈に抗議し、止めさせていたのですから・・・


それぞれがそれぞれの理由から、
消極的に支援していた実態が良く理解できます。
ホロコーストはナチスだけの責任ではなく
国際社会にも責任があるのです。


でも、この事実が公になると皆、
ヒトラー一人の責任に押し付けます。
確かにヒトラーは悪いけど、
あそこまでさせたのは、消極的であれ、
皆が支持していたからでしょう。

私がホロコーストに関心がある理由でもあるのですが、
これは「いじめの構造」にとても似ていると思いませんか?

【関連するブログ】
大きな小罪 - ホロコースト -
『ホロコースト/ アドルフ・ヒトラーの洗礼』