「いざ我ら大いなる事を歌わん!」
 

 Georg Friedrich Handel(Georg Friedrich Händel、以下ヘンデルと略記)が作曲したオラトリオ「MESSIAH」(以下メサイアと記載)がダブリンでの初演後、1743年にロンドンにて最初に演奏された際の歌詞冊子(ワードブック)の表紙に書かれていたウェルギリウス『牧歌』第4歌からの引用が表題である。


 メサイアの台本は、資産家で教養高く、芸術への多大な支援者であったCharles Jennens(以下ジェネンズと記載)が聖句をもとに編纂したもので、その台本構成の根底には当時の宗教的、政治的意図を秘めていると言われている。この台本を読んだヘンデルは直ちに作曲に取り掛かり、ジェネンズの入念な聖句の精査に比べ、およそ3週間で作曲を完成させたという。それまでのオペラに代わってオラトリオへ活路を見い出したいというヘンデルの意欲が生んだ代表的作品である。


 メサイアの演奏機会が今ほど盛んでなかった時代に、高校生を指導しオケやソリストを用意し、メサイアを指揮、演奏した顧問から教えを受けた数々の経験を思い出すと、この経験が人生で唯一の貴重な時間であったと思わずにはいられない。顧問が秘めていた聖句への想いを馳せ、聖句の意味するところを音楽で厳しく表現しようとした指導を思い出し、聖句の理解の上にもう一度、メサイアを再考しておきたいと始めたのがこのブログである。


「いざ我ら大いなる事を歌わん!」
 開演前、ワードブックに目を通した聴衆は、台本の意図をどう理解したのか、"大いなる事"とは一体何を表現しようとしたのか、個人的な見解としてどういう演奏が心に染み込んでいくか等々、一曲ごとに考察したことをここに残しておく。

 

 なお、このブログは他のブログに記した内容を校正して再掲載したものである。