4:02。

 

ふと目が覚めた。
まだ眠っていてもいい時間だけれど、
なぜか、そのまま起きてみた。

 

海の向こうは霞んでいる。
それでも、日の出が見られるかもしれない。

 

そんな小さな期待を連れて、ベランダへ。

 

 

夜の名残をまとった海が、
まだ何も語らず、静かにそこにいる。

 

空と海の境目が少しずつほどけて、
夜が朝へと変わろうとしていた。

 

 

 

 

潮のにおいを含んだ風が、そっと頬を撫でていく。
遠くで船の汽笛がひとつ鳴る。

 

 

やがて海岸沿いの道に、朝ランニングをする人の姿が現れた。

 

近くの鳥居へ向かって、
カメラを片手に歩いていく人たちもいる。

 

みんな、それぞれの朝を迎えに行っている。

 

そんな景色を、こちらは何をするでもなく、
ホテルのベランダからただ眺めている。

 

 

夜と朝のあいだ。
静寂と日常のあいだ。

 

 

まだ一日が始まっていないような、
もう始まっているような、
そんな不思議な時間。

 

 

 

 

やがて水平線の向こうが淡く色づき、
海の表情が少しずつ変わっていく。

 

潮の香り。
遠くの汽笛。
鳥の声。
走り抜けていく人の足音。
鳥居へ向かう人たちの気配。

 

いつの間にか、海の向こうが明るくなっている。

 

 

日の出を見るためだけではなく、
朝になっていく、その時間を味わう。

 

何かをするでもなく、
ただ海を眺め、風を感じ、
世界が目を覚ましていくのを見ている。

 

そんな何気ない時間が、
旅先ではどうしてこんなにも贅沢に感じられるのだろう。

 

 

海辺で、朝を待つ。

 

 

それは、何もしないことが
こんなにも贅沢だと思える時間だった。