横浜を南北に流れる川というと、大岡川が思い起こされます。
大岡川は、ある意味「人間臭さ」を見てきた川ではないかと思います。
大岡川がつなぐ、弘明寺、黄金町、野毛、そしてみなとみらい・・・
それぞれが違った顔を持ち、その歴史を見てきた大岡川。
弘明寺周辺は、桜の季節に良く訪ねました。
きれいな桜の下では、家族連れや子供たちが楽しく過ごす光景が思い出されます。
川のほとりの風景は、薄ピンクの幻想的な思い出として今も残ります。
きれいな桜色は、大岡川がひそかに照らしているからなのではないか、
そんなことを考えたりすると、楽しくも思えてきます。
そして、黄金町のあたりに来ると、
川の左右に広がる景色は、ラブホテルや飲食店などです。
「人間の欲望」が集中していたともいえそうなエリアでしたが、
かつてのちょんの間はおしゃれなカフェや、アートスペースに代わり、
かつての欲望は、クリエイティブな活気に差し替えられ、
街には静かな熱気があふれているような気がします。
黄金町付近は、特にめまぐるしく移り変わってきた場所とも思えます、
大岡川は、いまの景色をどう受け止めているのか・・・何だか気になります。
野毛界隈まで来ると、さしかかるのは都橋商店街。
2階建ての建物や、テナントの多くがたとえ変わることがなくても、
訪れる人たちが店に求めるものは、少しずつ変化していくのでしょうか・・・
シブい佇まいは今も昔のまま・・・
しかし、集まってくる人が求めているものの一つが、
「ノスタルジー」といわれるようなものであるということは、
この場所が、撮影の舞台にもしばしば登場することからも言えそうな気がします。
そして、大岡川はまもなく、みなとみらい地区へ・・・
根岸線のガードに差し掛かりますが、かつてはここに桜木町駅があったそうです。
駅があれば、そこで待ち合わせをする人、別れを惜しむ人、
携帯電話がなかった時代であればなおさら、いろいろなドラマがあったことでしょう。
そんな「人間臭さ」を見てきたはずの大岡川。
そんなことは、まったくおくびにも出すことはなく、
シャープに見える、みなとみらいの街並みに、
大岡川はみんなの気をそらし、静かなバドン渡しを試みているようにさえ見えます。
いろいろなものを見てきた大岡川が守る、沈黙ともとれる静寂・・・
もし語りかけることができるならば、
いま何を想っているのか、一度くらい聞いてみたい気もします。