私の小さい頃の経験の中で圧倒的に少ないのは、
お父さんと一緒にいた時間。


普段から家にいなかった
仕事が忙しいといい
ほとんど家に帰ってきていた覚えはない
家にいても考え事や仕事をしていた
目を合わせてくれない
話を聞いてくれない
ニュースセンター9時が好きで
兄弟がテレビを見ていてもたまに帰ってくると問答無用でチャンネル変えて寝なさい!と叱る。



なぜ、こんなにお父さんが好きなのかな?
って昔から考えてた。
お父さんとのことに何かあるのかな?って。

お父さんは、お母さんに


愛してるよ、
◯◯◯だけだよ、
と、声に出して抱きしめてた

子供たちのことは愛してない!と言っていた気がする
お母さんのことが好きだからあんた達がいるんだからねー!子供達よりお母さん!


とか冗談まじりで言ってる記憶が戻ってきた。





そうだ!
私愛されてない、と思ってしまった


叱られることもなく、
関心がなさそう。私に…



父が
ガンになって、
お見舞いに行った回数は
多分私がとても多かった


家は遠いけど
お父さんが大好きで、会いたい!今が最後は嫌!って
それが元で元旦那とも仲たがいが絶えなくて。




お父さんに会いたい一心で
何度も手紙を出した
どこにいるの?大丈夫なの?



病気になってもひとところにとどまらない人。
病院もトラブル起こして延々と転院する。

お父さんは死なないんだ!
ガンになんか負けるわけないんだ!と
常に明るかった。



私が送った甘納豆が、美味しくて
ものが食べれなかったけど
食べれるようになった


私が送った本を懐かしく手に取り
お父さんが昔仲良くしてた作家さんの本だよ
と教えてくれた



お母さんは、
あんなに大事に育てた娘が、
なぜかほったらかしにされていたお父さんの方が好きみたいだな、とうちの母はボヤいてた…



なんで?って。
何でだろう?
嫌なところが一つも思い出せない






お父さんがなくなる前に
手紙をくれた。



私はお父さんに愛されてなかった、
愛していたならどうして私たちが大きくなっていきなりお母さんと離婚をしたのか?
一緒にいたらよかったんじゃないの?
結局は私たちは捨てられた。
お父さんは、何がしたかったの?
どうして私にもっと会いにきてくれなかったの?






お父さんは手紙に書いてくれた




『お父さんは
5人兄弟のど真ん中で生まれた。姉が2人、妹が2人。いつも兄弟姉妹はは仲良しで。でも、いつも男のお父さんだけやっぱりなんか違う。
母親もいつも姉や妹のもの。
お父さんは寂しかったんだ。
お父さんのお父さんは偉い人で、すごい地域の有力者。いつも下心ありきの仲間が周りを取り巻くから子供の私は近づけなかった。

お父さんていうものがどんなものか
わからないんだ。


だから、その寂しい気持ちは大人になっても消えなかったしね。




お父さんは成功したかった。
夢中になって自分の夢を叶えたかったから動き回った。その中で自分の家族にはどう接していいのか、戸惑うことが多かった。

愛してるけど、お母さんがとても良くできた人だったから任せればいいと。そう思ったんだ。



どうやってこの小さな◯◯ちゃんを可愛がってあげたらいいのか、わからなかった


でも今ならわかる。
◯◯ちゃん(私)の産んだ〇〇◯ちゃん(私の娘)は、お母さんの◯◯ちゃん(私)にそっくりだね。
だから、とても可愛らしくて、また会いにきて欲しいといつもいつも手紙を書いてしまう。でもあれは◯◯ちゃん(私)に書いてるんだよ

寂しい思いをさせてごめんね。
お父さんもさみしかったよ』



長い手紙だった。
私は愛されていたことを知った。
小さい頃の父が何を感じて生きてきたのかも知ったのに。

政治家だったおじいちゃんは戦争にいき、陸軍隊長で、無傷で戻ってきた。偉大だったおじいちゃんはまた政治家に。社会党からその県の市長を何期も務め、その波に飲まれてお父さんはサラリーマンをやめて、事業家になった。




お母さんと離婚したのは、
夢を叶えたかったって。

私やお母さんを御殿みたいなおうちに住まわせてあげよう!が口癖だった。




私、愛されてたんだよな。
こんな手紙をもらってたのにまだまだ、


愛されてない、と思ってた。
拗ねてた。
愛されてない証拠集めをした。





前にカウンセラーさんに言われたこと


お父さんと、彼は違いますよ。
違う人ですし、
まずあなたは愛されてる、ってこと
感じて見てください。





私。自分の中にお父さんがいるって思うことが多い。大抵
さみしいな…って感じたときに、
お父さんみたいだな、私
一人ぼっちで。って思うことが多い。


私もお父さんと同じなのかも。

小さい頃のさみしい記憶が
自分にもあって
お父さんみたいにどうしていいかわからなくて
不器用で。
幸せを上手に受け取れない。

私、なんか気づいたかもしれない。





私、愛されてるのに受け取ってないんだ。



すごい時間かかったよ、お父さん。


私、いつまでも愛されてるし
いつまでも愛してていいんだね。


お父さんは寂しくて苦しい毎日の中でも
仲間と一緒に素晴らしい時間を作って
私たちが育つためにいろんな罪を犯して
いろんな嘘をついて過ごしてきてくれたんだよね。

だから、私がさみしい思いをしてるとき
お父さんも一緒だよ、でも素敵た人たちと愛されながら人生を送ったよって。

自分の子供たちには誤解をさせたまんまだったけど、それでもお父さんは幸せだったよって
伝えてくれてたのかな。



お父さん、
愛されてないと感じた私も本当だったし
愛されてた私も本当だったんだ。

見ないようにしてた自分は、本当の愛を見つけられるのかな。


お父さんの明るいあの雰囲気や、
ひょうきんなところがとても好きだったから
私もそんな風に生きていきたいな。


お父さん、
何度も繰り返すかもしれないけど
私が幸せだなぁと感じてるときに
また出てきて。



それでいいんだよ、愛されてるんだよって。

出てきてね。会いたい。今もずっと。