例年60%越え。高成婚率の秘訣は?!恵比寿の結婚相談所 夫婦セラピストが語る

例年60%越え。高成婚率の秘訣は?!恵比寿の結婚相談所 夫婦セラピストが語る

東京・恵比寿で結婚相談所を開き婚活セラピーを行っている湯田佐恵子&博和です。驚異の成婚率の理由は、自分の中に結婚できる状態を作っていくこと。一度体験にいらしてみてくださいね!

外向と内向を考えるうえで、格好の作品に出会った

 

先日、妻を誘って実写版『ルックバック』を観てきた。アニメ版を観たのは一年ほど前。そのあとで原作漫画も読んだ。今回は、ふたりの主人公の性格に絞って書いてみたい。

 

物語のあらすじにも触れるので、未見・未読の方は、鑑賞後にどうぞ。

 

原作者は、『チェンソーマン』の藤本タツキ。作風の違いに、同じ作者なのかと驚く人もいるだろう。『ルックバック』は、漫画を描くふたりの少女を描いた小品だ。短い。しかし、深く切り込んでくる。

 

主人公の藤野には、はっきりと外向的な性格が見える。相棒となる京本には、内向的な性格がうかがえる。

 

ただし、藤野がクラスの人気者だから外向型、京本が不登校だから内向型、ということではない。私が注目するのは、それぞれの意志が、外の世界とどう関わっているかだ。

悔しさが、そのまま行動になる藤野

藤野は、学年新聞の四コマ漫画で評判の少女だ。明るく、勝ち気で、褒められるとすぐ有頂天になる。喜怒哀楽が、そのまま表に出る。

 

そこへ、隣のクラスの京本の絵が掲載される。

最初は高をくくっていた藤野も、子ども離れした画力に打ちのめされる。同じ学年に、自分よりうまい子がいる。しかも、学校にも来れていないという。

 

藤野の負けん気に火がつく。猛烈に絵の練習を始めるが、思うように差は縮まらない。京本は一日中描いていられるからだ、と言い訳もしたくなる。やがて、四コマ漫画を描くのをやめてしまう。

 

藤野は、感情が動くと外へ向かう。悔しければ挑み、認められれば勢いづく。本人が何を望んでいるのか、周囲にもよく分かる。

ここに、私は外向的な性格を見る。単に元気なのではない。自分の意志で、外の世界に働きかけていくのだ。

 

対する京本は、人との関わりにはためらいがある。しかし、絵に向かう集中は深い。外へ出る動きが少ないからといって、内側まで静かなわけではない。

 

藤野には、まず相手に働きかける動きが見える。京本には、いったん自分の内側を通してから応じる気配がある。

 

この違いのディテールを、藤本タツキは実に鮮やかに丁寧に描いている(恐らく作者の性格は両行型のタイプだ)。その性格描写の普遍性に、この漫画とアニメが世界的な名声を獲得した秘密がある。

連れ出す人と、動かす人

小学校の卒業式の日、藤野は京本に卒業証書を届けるよう頼まれる。

そこで初めて、自分が敵視していた相手が、実は自分の漫画の熱心なファンで、藤野は生まれて初めて「先生」と崇められる体験を知る。

 

この出会いまでの導入が、素晴らしい。

自信を打ち砕いた相手から、今度は描く意欲を取り戻させてもらう。帰り道の藤野は、うれしさを身体にしまっておけない。外向的な彼女の持ち味が、ここでは何とも愛おしい。原作、アニメ、今回の実写と三者三様の演出と表現が楽しめる。

 

実写版では、子供時代(岡田六花)と成長してから(蒔田彩珠)と、京本役を内向型の俳優が演じている。藤野役の七瀬ふうり(子供時代)は典型的な外向型、出口夏希もおそらくソフトな外向型の俳優と観た。

 

やがてふたりは一緒に漫画を描き始め、藤野は京本を外の世界へ連れ出す。

 

原作からアニメ、そして今回の実写へと観てきて、私には、ふたりの対等さがいっそう鮮明に感じられた。是枝裕和監督の実写版では、京本のパートが加筆され、性格の違いから生まれる機微と齟齬とが、丁寧にふくらまされている。

 

私たちは、とかく外向的な人を「主」、内向的な人を「従」と見なしやすい。社交や行動の場面では、前に出る人と、その人を頼る人という形になりやすいからだ。

友達でも、恋人でも、夫婦でも、覚えがあるのではないだろうか。

 

しかし、関係が深まるにつれ、それだけでは説明できなくなる。

京本を部屋から連れ出したのは藤野だ。けれども、藤野を再び漫画へ向かわせたのは京本だった。

 

外へ動かす力は目につく。内側を動かす力は、見落とされやすい。

振り返って、初めて見えるものがある

京本は、ただ藤野についていく人ではない。自分の意志で美術大学への進学を選び、ふたりは別々の道を歩き始める。

 

分かれ道で、樹を境にふたりが対峙するシーン。本音が言えない(弱さを見せたくない)藤野と、言葉足らずの京本という、ここでも対比が見事だ。青春の味はほろ苦く、そして世界は時に残酷だ。

 

その余韻に浸る間もなく、起承転結で言うなら「転」で、藤本タツキの本性が露わになり(!)、怒涛の展開が待っている。

藤野は、自分が外へ連れ出さなければ、と悔やむ。そして振り返るなかで、京本が自分にとってどれほど大きな存在だったかを、思い知らされる。

 

内向的な人の言葉は、いつも控えめとは限らない。相手の内側に深く届き、行動の原動力になることがある。藤野にとって、京本のまなざしは、描き続ける力の一部になっていた。

 

もちろん、内向型が支え、外向型が動くと決まっているわけではない。このふたりを見ていると、目立つ行動だけでは、人が人に与える力は測れないと分かるのだ。

 

「なぜ(漫画を)描くのか。」京本の問いは、藤野だけでなく、創ることに向き合う人すべての根元に触れる。

漫画は藤本タツキの、アニメは押山清高の、実写映画は是枝裕和の、それぞれの覚悟と応答なのだろう。

 

外向と内向を知る面白さは、人をふたつに分けることにはない。脳の違う仕組みと仕様で生きている人同士が、どこで相手を動かしているのか。それが見えてくることにある。

 

前を歩き、手を引く藤野。引っ張られ、その背中を静かに支えていた京本。

『ルックバック』は、振り返るまで見えなかった、その力を描いている。

 

 

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夏帆と婚活女性たちが重なる

女性を単独主人公に据えた、著者初の長編『夏帆 The Tale of KAHO』。ベストセラーとなったこの作品を、「大人のための絵本(寓話)」として読む声もあります。

 

婚活カウンセラーの私は、この不思議な物語を、どこか身近に読みました。夏帆によく似た女性たちの話を、相談の場で聴いてきたからです。

 

自分の足で生きていける。それなのに、誰かと生きることを考えると、足が止まる。夏帆を読みながら、その綻(ほころ)びが気になっていました。

 

*小説の結末に触れます。以下は私個人の読みです。

 

主人公は26歳の絵本作家、夏帆。自称・守護天使の男や不思議な猫に導かれ、母の身体に棲みついたシロアリの女王と対峙します。

 

夏帆が書く「少女ミソラの物語」も重なり、現実と異界の境目が揺らいでいく。やがて母は助かり、夏帆は日常へ戻ります。見事な帰還、見事な着地です。

 

でも私は、その見事さに少し抵抗を覚えました。

母を嫌っていない。でも、離れるとほっとする

夏帆の母は、分かりやすい悪役ではありません。大きな衝突もない。それなのに夏帆は、実家を離れて初めて、ほっとしている自分に気づきます。

 

母を嫌っていたわけではないから、かえって説明しにくい。

 

婚活の場でも、「親には感謝しています」と話す方が、結婚という選択の前で動けなくなることがあります。

 

親が原因だとは決められません。ただ、誰かを責めるほどの出来事がなくても、本人の息苦しさは残っている。

 

作中の怪物は、そんな説明しきれない感覚に姿を与えているように、私には読めました。

母の中の怪物に、自分を見ていないか

女王は、母が夫以外の男と性愛を楽しんでいたと夏帆に告げ口します。真偽は確定しませんが、夏帆は激しく動揺する。

 

その嫌悪には、自分自身が遠ざけてきたものへの恐れも混じっていないでしょうか。

 

夏帆は自立しています。でも、自分が何を欲しいのかは、どこか見えにくい。

 

自分で選べることと、欲しいものを欲しいと認めることは、同じではありません。

 

誰かを欲しいと思えば、相手の気持ち次第で傷つく可能性も引き受けることになる。

 

夏帆が立ち止まるのは、その手前なのかもしれません。

 

男のバイクの後ろに跨り、身体を預ける母。そのイメージが怖いのは、母が知らない女性になったからか。それとも、自分にはまだ生きられていない親密さを、母が手に入れ、生きていたからか。

 

誰かに身を委ねたら、自分を失ってしまう。そう感じるなら、結婚したい気持ちと、近づくことへの抵抗が同居しても不思議ではないでしょう。

 

自立とは、誰にも頼らずにいられることなのか。この小説は、私自身の自立観にも問いを向けてきます。

母のすべてを知らなくても、親子でいられる

終盤、夏帆は自分の知らない母の一面を、母自身のものとして受け止めます。

 

母を理解し尽くしたのではなく、理解し尽くさなくてもよくなった。私はそう読みました。

 

母には、妻でも母でもない一人の女性としての人生がある。それを認めたとき、夏帆もまた、「娘」としての自分だけを生きなくてよくなる。

 

「母離れ」という言葉より、ずっと対等な距離が見えてきます。

 

それでも、日常に帰還した夏帆は泣く。思い出す中には、自分を脅かした女王もいる。解放は、ただ晴れ晴れすることではない。長く自分を苦しめ、占めていたものを失う寂しさもあるのでしょう。

 

泣きはらしたあと、夏帆は仕事机へ戻る。

 

あれほど危うい場所まで連れていきながら、ちゃんと日常へ送り届けてしまう。村上春樹よ、うまく収めすぎではないか。それが、私の抵抗でした。

 

けれども、戻った世界が同じでも、夏帆は以前と同じではない。母を理解し尽くさなくても、親子でいられる。自分の足で生きながら、誰かの助けも受け取れる。

 

私には、誰かと生きることを選び直せる余地が、そこに生まれたように見えます。

 

夏帆が結婚するかどうかは、その先の話です。

 


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詳しい考察はnoteへ

 

MBTI診断では見えない「健全度」というレンズで見ると?

MBTIで自分のタイプが分かった。解説も読んだ。なのに、同じタイプを名乗る人を見て、「本当に私と同じ?」と思うことはありませんか。

 

似た性格に見えても、一緒にいて楽な人もいれば、気を使う人もいる。その違いを、タイプ名だけで説明するのは難しいものです。

 

そこで今回は、「健全度」というレンズを加えてみます。

このレンズを通すと、「その人らしい性格」だと思っていたものの中に、心の余裕や身構え方が混ざっている可能性が見えてきます。

 

※ネットで「MBTI」と呼ばれる16Personalitiesは、正式なMBTIとは別のものです。「健全度」は、リソ&ハドソンのエニアグラムの考え方に由来します。以下は、その視点と私たちの相談経験をもとにした考察です。

はっきり言える人と、譲れない人

例えば、自分から「ここへ行こう」と提案する人。意志が明確で、頼もしく見えます。でも、相手が「私は別のところがいい」と言ったあとは、どうでしょう。

 

理由を聞きながら一緒に考えられる人もいれば、急に不機嫌になる人もいます。

 

最初の提案だけなら、どちらも積極的です。違いが見えるのは、自分の思いどおりにならなかったとき。

 

後者には、行き先を断られたことが、自分を大切にしてもらえなかったように感じられたのかもしれません。すると、予定の相談より、自分の気持ちを分かってもらうことが急ぎの課題になります。

 

「意志が強い」という説明だけでは、この二人の違いは見えてきません。

健全度は、その人の何を見るのか

リソ&ハドソンのエニアグラムでは、同じタイプにも状態の幅があると捉えます。私たちは健全度を、自分のいつもの反応にどれくらい縛られずにいられるかを見る手がかりにしています。

 

先ほどの場面なら、残念な気持ちはあっても、相手の希望を聞く余地があるか。

 

余地がなくなると、自分の案を通すことと、自分を尊重してもらうことが、切り離しにくくなります。本人にも苦しさがあり、相手も希望を言うたびに身構えるようになる。

 

だから、単に「もっと優しくしましょう」では届かないのです。なぜ意見の違いが、そこまで自分を脅かすのか。そこを理解する必要があります。

 

これは人としての点数ではありません。同じ人にも状態の変化があり、一度の振る舞いだけで判断できるものでもありません。

内向的な人が、自分から動き始める

私たちの観察では、内向的な人も、健全度が高まると自然な自発性が表われてくるように見えます。集団の中でのリーダーシップを自然に取れるようになったり。

 

いつもは相手の希望を先に確かめていた人が、「今日はここへ行きたい」と話す。それも、頑張って自己主張しているというより、会話の中にすっと出てくる。

 

ここで注目したいのは、発言が増えたこと以上に、その自然さです。

 

「賛成してもらえそうなら言う」から、「どう受け取られるかは分からないけれど、話してみる」へ。相手の反応が、自分の希望を口にするための条件ではなくなっていく。

 

それを「外向型に変わった」と見る前に、これまで自発性を妨げていた身構えが、緩んだ可能性を考えたいのです。

 

内向的であることと、希望を言えないことは、同じではなかったのかもしれません。

外向的な人が、静かに考え始める

外向的な人には、自然な熟慮が働くようになる変化を感じます。自分から提案する力はある。でも、違う意見が出たとき、すぐに押し返さず、いったん受け取れる。

 

自分の案を保留にしても、自分が小さくなるわけではない。そんな落ち着きが見えることがあります。

 

静かになったからといって、意欲を失ったとは限りません。外へ向かう力を持ちながら、必要なときには待てるようになったとも考えられます。

 

このように見ると、内向・外向の印象を作っていたものの一部が、そのときの不自由さだった可能性に気づきます。

 

もちろん、これは私たちの見立てです。動けば健全、待てば健全ということではありません。無理をしているのか、自然なのかは、ご本人の実感も聞いて確かめます。

自分らしくなるほど、タイプの印象からはみ出す?

自発性と熟慮が自然に働くようになると、外から見た両者(外向・内向)の差は小さくなります。

 

それでも、外へ関心が開き、意図がその人の側から届く感じ(外向)と、いったん内側を通して応じる感じ(内向)には、やはり違いが残るように私たちには見えます。

 

同じになるのではなく、それぞれのままで、関わり方が自由になる。ここが面白いところです。

 

タイプの解説に、以前ほど当てはまらなくなったとき。最初の見立てが違っていた可能性もありますが、それだけではないかもしれません。

 

「自分にはできない」と思っていたことが、無理なくできるようになった。そんな変化まで、タイプの説明に合わせて引き戻す必要はないでしょう。

 

健全度というレンズを加える意味は、タイプをもう一段細かく分類することではありません。

 

「これが私の性格だから」と諦めていたところにも、変わっていける余地がある。その可能性を見落とさないためなのです。

 


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「独自の感性があって、周囲には理解されにくい」

性格診断でそんな説明に出会ったら、これまでの寂しさが、少し違って見えるかもしれません。

 

話が合わなかった。なかなか輪に入れなかった。
それは、自分に魅力がないからではなかったんだ。

 

自分を知りたくて受けた診断が、過去の自分まで救ってくれる。タイプの説明に惹かれる理由は、単なる流行だけではないのでしょう。

 

ただ、その言葉が大切になるほど、確かめにくくなることもあります。

「これは私をよく表している」のか。それとも、「こういう私なら、好きになれる」のか。

 

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診断結果は、過去の意味まで変える

例えば、会話がかみ合わず、友達と距離ができた経験があるとします。

 

「私は少し違う感性を持っているから、理解されにくかったんだ」

 

そう捉えることで、自分を責めずに済むこともあるでしょう。けれど、実際に何が起きていたかは、その説明だけでは分かりません。

 

本当に関心が違ったのかもしれない。伝えたい気持ちが先に立って、相手の話を十分に聴けなかったのかもしれない。

 

ここで「あなたの話を聞くばかりで、私の話はできなかった」と相手に言われたら、どう受け取るでしょう。

 

「ああ、そうだったのか」と振り返れれば、関係について新しく分かることがあります。

 

でも、「やっぱり、この人には私が理解できない」と受け取ることもできてしまう。

 

同じ言葉が、自分を見直すきっかけにも、今の自己像を強める材料にもなるのです。

自分を支える説明ほど、手放しにくい

「理解されにくいタイプ」という説明に救われた人にとって、自分の話し方を見直すのは、単なる会話の反省では済まないかもしれません。

 

せっかく「私は私でいい」と思えたのに、また自分が悪かったという話に戻る気がする。だから、指摘を受け入れたくない。

そうだとしたら、その抵抗にも理由があります。

 

私たちが聴きたいのは、どんな経験をして、その説明が必要になったのかということです。家でも学校でも、自分の話をまともに聴いてもらえなかったのなら、「理解されない私」という言葉に安心するのも、無理はありません。

 

ただ、今の相手も、自分を理解しようとしていないのでしょうか。

 

もしかすると、理解したいからこそ、「こちらの話も聴いてほしい」と伝えているのかもしれない。

 

過去の自分を支えてくれた説明が、目の前の相手との関係まで決めてしまっていないか。そこは、一緒に確かめたいところです。

詳しくなるほど、見直しにくくなることも

自己診断に答える時点で、私たちはすでに、自分についての物語を持っています。

 

「私は人と違う」「昔から理解されなかった」。

 

そう思って答えた結果に、よく似た説明が出れば、「やっぱり」と感じるでしょう。

 

でも、自分の捉え方に沿って答えた結果は、その捉え方を外から確かめた証拠とは限りません。

 

さらに解説を読み込むと、経験の一つひとつをタイプの言葉で説明できるようになる。詳しくなった実感もある。

 

その一方で、「自分の受け取り方にも偏りがあったのかな」という問いが減っていたら、どうでしょう。

 

知識が、自己理解を深めるためではなく、今の自己像を守るために働き始めているのかもしれません。

 

これは、エニアグラムを使う私たちにも起こり得ます。ご本人の話より、自分たちの見立てを信じ始めたら、使っている理論が違っても同じことです。

自分を否定せずに、見直すことはできる

相手の話を聴けていなかったと気づいても、自分の感性まで否定する必要はありません。

 

「分かってもらえなくて寂しかった」と「相手にも寂しい思いをさせた」は、両方あってもおかしくない。

 

そこまで自分を捉えられると、「私は理解されにくいタイプだから」で終わっていた関係にも、続きを作れます。

 

今度は相手が何を話したかったのか、聞いてみる。自分の伝え方も、少し変えてみる。そのために、別のタイプへ生まれ変わる必要はありません。

 

私たちが気になるのは、タイプを楽しむことではなく、好きになれた自己像を守るために、自分を知る機会を失ってしまうことです。

 

「そうであってほしい私」に気づくのも、自己理解の一部。その姿に入りきらない自分を知ったときこそ、現実の関係が変わり始めることがあります。

 

次回は、同じタイプでも、関わりやすさが違って見えるのはなぜか。心の余裕によって、その人らしさの表れ方がどう変わるのかを考えます。


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「いつも元気だし、私は外向型E」「あの人はおとなしいから、内向型Iでしょ」

分かりやすいですね。でも、その判定だと、月曜の朝と金曜の夜でタイプが変わりそうです。

 

私たちが見ているのは、元気さより、その人の意志がどう外に表れるか。

 

今回は、リアルラブでの相談経験をもとに、外向・内向を考えてみます。

 

※ネットで「MBTI」と呼ばれることのある16Personalitiesは、正式なMBTIとは別のものです。この記事はMBTIの解説ではなく、私たちがリソ&ハドソンから学んだエニアグラムの視点と、二十年以上のカウンセリングでの観察に基づく考察です。以下の見立てを、各理論の定義や診断結果とそのまま対応させるものではありません。

外向的な人は、その人の「世界」が見えてくる

私たちが外向的だと感じる人は、話していると、その人が見ている世界の輪郭が自然に伝わってきます。

 

「これが面白い」
「私はこうしたい」
「いや、それは好きじゃない」

 

何に関心があり、何を望み、何を望まないのか。それが言葉や表情、所作に出てくる。

 

こちらが全部聞き出さなくても、その人の側から届くのです。

反応がはっきりしている。自分から動く。関わりを楽しむ。「それは違う」と言うことにも、過剰に身構えていない。

 

私たちは、そんな姿に外への開き方を感じます。エネルギッシュな振る舞いや、声の大きさ、断言口調も、ときには手がかりになります。

 

でも、大事なのは、その勢いに本人の意志がどう表れているか。

元気いっぱいに「何でも合わせます!」と言っていても、その人の希望は、まだ聞けていないかもしれません。

「返事が早い」より、どこから出てきた返事か

例えば、「週末、何したい?」と聞かれたとき。

「海に行きたい。最近ずっと室内だったし」
と、自分の関心がすっと出てくる。

 

一方で、すぐに「何でもいいよ!」と答えながら、相手の表情を確かめている人もいます。

 

どちらも返事は早い。でも、私たちには違って見えることがあります。

 

自分のほうから働きかけているのか。
相手や状況に促されて、応じているのか。

 

内向的だと感じる人には、相手や場をいったん受け取り、自分の内側を通して返しているように見えることがあります。返答が素早くても、その「受けて応じる感じ」が残る。

 

ただし、「何でもいい」と言ったら内向型、ではありません。本当に何でもいい日だってあります。海でも山でも、今日は寝不足、という日も。

 

一つの返事ではなく、いくつもの場面に通じる関わり方を見たいのです。

「無邪気に関わる」と「上手に合わせる」

外向的だと感じる人には、外との関わりに、どこか無邪気さがあります。

 

面白そうだから近づく。
気になるから聞く。
違うと思ったら、違うと言う。

 

ここでいう無邪気さは、思慮が浅いという意味ではありません。自分から外へ働きかけることに、ためらいが少ない感じです。

 

対して、相手や場をよく見て、求められる振る舞いを選んでいる人もいます。

話題を振る。笑わせる。沈黙を埋める。
元気でエネルギッシュ。見事に陽キャ。

 

でも、その間ずっと気を張っているなら?

「楽しんでいる私」と「うまくやっている私」は、必ずしも同じではありません。

 

場の空気管理部長。辞令はないのに、今日も出勤。

その役割に慣れすぎて、「これが私の性格」と思っている可能性も、一度考えてみたいのです。

その元気さ、いつからあなたの担当でしたか?

例えば、家族が不機嫌になると、ふざけて空気を変えていた。
学校では「明るい子」を期待され、しんどい日も笑っていた。

そんな経験が、今の振る舞いに関わっていることも考えられます。

 

だからといって、「その元気さは偽物」「本当は内向型」と決まるわけではありません。楽しさと気遣いが混ざっていることもあるでしょう。

 

私たちが聴きたいのは、

「誰も盛り上げなくていいとしたら、今、あなたは何をしたいですか?」

ということです。

 

もっと話したい?
誰かに聴いてほしい?
それとも、今日は静かにいたい?

答えは、タイプの説明より先に、あなたの中にあるかもしれません。

私たちの見立ても、答え合わせが必要です

ここまでの話は、私たちが相談の場で持つ見立てです。

内向的な人にも、明確な意志や自発性はあります。外向的な人も、相手に合わせたり、言葉を飲み込んだりします。外への表し方だけで、意志の強さや人としての成熟は決まりません。

 

(ここで、もう一つ。私たちが学んだエニアグラムには「健全度」という視点があります。私たちの観察では、内向的な人も、健全度が高まると自然な自発性が出てきます。外向的な人も、健全度が高まると自然な熟慮が働くように見えます。そのことは回をあらためて)

 

そして、こちらに「無理して応じている」と見えても、本人は自然に楽しんでいるかもしれない。

だから、聞きます。

 

「今、どう感じていました?」
「本当は、どうしたかったですか?」

 

「私は外向型」という理解が、もっと深まることもある。少し見直したくなることもある。

 

陽キャか陰キャか。その看板の奥にいる自分にも、話を聞いてみませんか。

 

次回は「MBTIを勉強するほど、自分を決めつけてない?」。知識が増えたのに、選択肢が減ってしまう。その不思議を考えます。


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MBTIで「内向型」だったあなたへ|「私、内向型なんです」

性格診断の結果を見て、「やっぱり!」と思った方もいるでしょう。自分を説明する言葉が見つかると、ほっとしますよね。

 

でも今日は、そこから一歩。

「私は内向型」と思ったのは、診断を受けてから?
それとも、もっと前からでしょうか?

 

※日本や韓国でブームの「MBTI」と呼ばれることのある16Personalitiesは、正式なMBTIとは理論や尺度が異なるカジュアル版です。正式なMBTIにキャラクターは存在しません。この記事では、どの枠組みの話かを区別しながら、自分の捉え方を考えます。

その「内向型」、誰と比べましたか?

家族によくしゃべる人がいた。
友達が話題の中心で、自分はいつも聞き役だった。

 

でも、ちょっと待ってください。

「話さない」と「話す隙がない」は、別の話です。

家族に一人、トーク番組の司会者みたいな人がいたら、ほかの人はなかなか出番がありません。

 

黙っているときも、心の中はいろいろです。

「じっくり聞いていたい」
「考えがまとまってから話したい」
「本当は話したい。でも否定されるのが怖い」

外からは同じ「静かな人」でも、本人の体験は違います。

陽キャ・陰キャを、そのまま外向・内向に当てはめるのは危険です

内向性は、「人付き合いの不得意さ」ではありません。C・G・ユングの考えを引き継ぐMBTIでは、外向・内向を、主に関心や心のエネルギーが、外の世界と内の世界のどちらへ自然に向かうかという視点で捉えます。

 

内向の「内」は、自分の中の考えやイメージ、振り返りの世界。人と関わった経験を、内側でじっくり整理することにも意味があります。

 

また、ここでいうエネルギーは、元気の量ではありません。声の大きさでも、宴会でマイクを離さない時間でもありません。

 

内向型でも、人と話すことが好きな人、社交的に振る舞える人はいます。その反対に外向型でも、内省的な人、社交が苦手な人、休日などに引きこもりがちな人はいます。[1]

 

また、心理学では、内向性と人見知りも区別されます。人見知りでは、人との場面で感じる緊張や、どう評価されるかという心配が関わります。内向性と重なることはあっても、同じものではありません。[2]

 

だから、「人前で緊張する。つまり内向型だ」とは言い切れないのです。

「好き」「できる」「怖くてできない」を分けてみる

自己理解で役に立つのは、この三つを少し分けて眺めることです。

 

例えば、人前で話すのが上手でも、本人は一人で考えを練る時間を好むかもしれません。

 

反対に、人と関わりたい気持ちは強くても、失敗や否定が気になって口をつぐんでいることもあるでしょう。

 

得意なことと、自然に好むこと。
やりたくないことと、やりたいけれどためらうこと。

 

ここを一緒にしてしまうと、自分の姿が見えにくくなります。

ただし、「本当は話したい」と気づいたから外向型、と決まるわけでもありません。

 

内向型にも、目立ちたい人、人前で表現したい人、評価されたい人はたくさんいます。

 

一つの答えでタイプを決めるより、いくつかの場面を見比べたいのです。

「そういう性格」の前に、聴きたいこと

例えば、子どものころ、話しかけても「あとでね」と言われることが多かった。いつしか聞く側に回り、自分はおとなしい性格だと思うようになった──そんな場合も考えられます。

 

そこで私たちが聴きたいのは、

「黙っているのが心地よかった?
それとも、本当は聴いてほしかった?」

ということ。

 

両方、という答えもあるでしょう。相手や時期によって違うこともあります。

 

その経験だけで性格の成り立ちを説明することはできません。ただ、身につけた振る舞いを、今も「これが私のすべて」と捉えていないかは、振り返ってみる価値があります。

 

今度は、安心できる相手といるときの自分も思い出してみてください。

 

自然にしたくなることは何でしょう。
無理をしているのは、どんなときでしょう。
「自分らしく過ごせた」と感じるのは、どんな時間でしょう。

 

これはタイプ判定の小テストではありません。点数も合否もありませんから、どうぞカンニングせず、ご自分の経験を。

 

診断の説明に自分を合わせる前に、自分の経験にも発言権をあげたいのです。

 

「私は内向型」という理解が深まるかもしれない。少し見直したくなるかもしれない。

どちらでも、自分について分かることが増えたなら、大切な一歩です。

 

次回は、「私は外向型」と思っている方へ。その自己理解の背景を、一緒にたどってみましょう。


参考:
[1]Myers & Briggs Foundation:外向・内向の説明/The Myers-Briggs Company:社交的な内向型について
[2]米国心理学会:人見知りと内向性の違い

 

 

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夫婦二人。聴き方は、少し違います

リアルラブでは、夫婦で二十年以上、カウンセリングを続けてきました。

妻は率直。ときには、ちょっと痛いところも聞きます。
夫はほんわか。言葉になるまで、ゆっくり聴きます。

ただし、ほんわかしているから質問まで綿あめ、とは限りません。

 

女性・男性としての経験や性格の違いも持ち寄りながら、ご本人と一緒に確かめます。二対一の多数決で、あなたの性格を決めることはありません。

 

今の恋愛から、幼いころの家庭環境や、親に分かってほしかった気持ちまで。話がつながったら、そのお話も聴かせてください。

結婚してからも、「自分を知る」は続きます

「私は内向型だから、言わなくても分かってくれる人がいい」

そう願う気持ちも分かります。

でも、待っているだけで、あなたの願いは届いているでしょうか?

 

結婚後は、暮らし方、親との付き合い、妊活、子育てなど、話し合うことがたくさんあります。自分が何を望み、何を言いにくいのかを知ることは、その手がかりになります。

 

リアルラブには成婚後も相談を続ける方がいて、「結婚してから役に立った」という声もいただきます。

結婚できた。その先で、どう暮らしていくかも一緒に考えたいのです。

「私はこういう人」の続きを、話しませんか?

その自己理解が生まれた経験や、今、気になっていることを、リアルラブのカウンセリングで一緒にたどってみませんか?

 

初回はオンラインで約40分(体験コース・無料)。夫婦二人が同席します。

 

*気に入ったら、計3回の有料コースへ:

リソ&ハドソンのエニアグラムを学んだ視点も使いながら、あなたの経験や気持ちを伺います。タイプを決めつけるための相談ではありません。無理にお誘いすることもありません。

 

MBTIタイプ診断、希望すればエニアグラムタイプ診断、また恋愛相談、エントリーシートなどの自己PR作成、これからの結婚など、今の目的からで大丈夫です。話したい範囲で、聞かせてください。

 

婚活を始めるか決まっていない方も歓迎です。結婚を目指す方には、出会いの機会とカウンセリングを組み合わせた、入会後の支援もご案内します。

 

計3回の有料コース〈料金〉:

1回60分×3回=18000円(税込)

 

お申込みは、

info@reallove.to (小文字@に要変換)

 

(カバー写真:「sweet特別編集占いBOOK 16TYPES FAN」表紙|宝島社)

 

「私、内向型 I なんです」
「私は外向型 E だから、こんなところがあって」

みなさんも、性格診断の結果を見て「そうそう、私ってこういう人!」と思ったことはありませんか?

 

自分のことをうまく説明してくれる言葉が見つかると、なんだかうれしいですよね。「だから、あのときもそうだったんだ」と、思い当たることが出てきたり。

 

今日は、そこからもう少し、自分のことを一緒に考えてみたいと思います。

 

その前に、一つだけ。「MBTI」と呼ばれることもある、キャラクター付きの性格診断「16Personalities」は、正式なMBTIとは理論や尺度が異なるカジュアル版です。この連載では、その違いも大切にしながらお話ししていきますね。

 

あなたが「自分は内向型だな」「外向型だな」と思ったのは、いつごろでしょう?

診断の結果を見たとき?それとも、ずっと前からそう思っていましたか?

 

たとえば、クラスにとてもおしゃべりな友達がいて、「あの子と比べたら、私はおとなしいほうだな」と感じていた。あるいは、家族の中ではいつも自分が話し役で、「私はにぎやかな性格なんだ」と思っていた。

 

そんなふうに、誰といるときの自分を思い浮かべるかで、自分の印象が違うこともありそうです。もちろん、それだけで外向型・内向型が決まるわけではありません。

 

私たちは結婚相談所リアルラブで、長年、一対一の相談を続けてきました。今の交際のことはもちろん、親との関係や昔の恋愛など、これまでのお話も伺っています。

 

そこで大切にしたいのが、「そう思うようになったのは、どんな経験があったからなんだろう?」と、一緒にたどってみること。

 

「やっぱり、私はこうなんだ」と理解が深まることもあれば、「そういえば、こんな自分もいたな」と気づくこともあるかもしれません。

 

まずは一つ、思い出してみてください。

 

「私は内向型」「私は外向型」と言うとき、どんな場面の自分が浮かびますか?

すぐに答えが出なくても、大丈夫です。友達といるとき、仕事をしているとき、一人で過ごしているとき。「こんなときの私は、どんな感じだろう?」と、少し気に留めてみてください。

 

自分についての理解は、今のままでしっくりくるかもしれません。あるいは、これまでの説明だけでは収まらない部分に気づくかもしれませんね。

 

その気づきは、「仕事で自分の良さをどう伝えよう」「恋愛で、どんな関係を大切にしたいんだろう」と考えるときにも、手がかりになります。

 

リアルラブでは、私たちが学んできたリソ&ハドソンのエニアグラムの視点も使いながら、その方の経験や気持ちを一緒にたどっています。

 

性格診断の結果を別の理論で採点するのではなく、お話を伺いながら、その方自身への理解を深めていくためです。

 

「自分のことを、もう少し話してみたいな」と感じたら、今、気になっていることから聞かせてくださいね。

 

次回は、性格診断をきっかけに「私は内向型」と思っている方へ。その言葉を選ぶようになった理由を、もう少し一緒にたどってみましょう。

 

 

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「私はこういう人」の続きを、話しませんか?

「私は内向型」「私は外向型」。
その言葉を選ぶようになった経験を、一人で振り返るのは、案外難しいこともありますよね。

 

「家族や友達の前では、こんな自分だったな」
「でも、今はちょっと違う気もする」

 

そんな、まだまとまっていないお話からで大丈夫です。リアルラブのカウンセリングで、私たちと一緒にたどってみませんか?

 

これまでの経験を伺いながら、自分が大切にしたいことや、無理をしているところを一緒に考えていきます。

 

就活で自分の良さを伝えたい、恋愛で自分に合う関係を考えたいなど、今の目的につなげてお話しすることもできます。

 

その自己理解が生まれた経験や、今、気になっていることを、リアルラブのカウンセリングで一緒にたどってみませんか?

 

初回はオンラインで約40分(体験コース・無料)。夫婦二人が同席します。

 

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MBTIタイプ診断、希望すればエニアグラムタイプ診断、また恋愛相談、エントリーシートなどの自己PR作成、これからの結婚など、今の目的からで大丈夫です。話したい範囲で、聞かせてください。

 

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an•an SPECIAL 2014/11/28号(マガジンハウス)

起源の物語と、リテラシー

「A型は几帳面で常識人」「B型はマイペースで自己中」「O型は騒々しくて大雑把」「AB型は何を考えてるかわからない」──たったひと言で人の性格を説明できるとしたら、これほど便利な“ラベル”はない。誰かをすばやく理解できた気になり、会話も弾む。そんな魔法のような言葉が、いつの間にか日本人の心に深く根を下ろしてきた。

けれど、私たちは一度立ち止まって考える。「なぜ、こんなにも信じられてきたのか?」「それは、どこから来たのか?」

はじまりは“仮説”にすぎなかった

この言説の起源は、1927年、ある日本人心理学者によって提唱された一つの仮説にさかのぼる。名前は古川竹二。当時、医学界では血液型(ABO式)の分類が世界的に注目され始めていた。カール・ラントシュタイナーによって血液型が発見されたのが1900年。その後、国際的には1928年に現在のABOという呼称が統一され、研究が進みつつあった。

古川は、この“まだ目新しかった血液型”と人の性格(気質)との関係に目を向け、「教育に活かせるのではないか」という動機から研究を始める。しかし、その内容はあくまで仮説の域を出るものではなかった。

そして1933年、日本法医学会はこの説に対して明確な否定を表明する。「統計的根拠が不十分であり、科学的とは言えない」という判断からだった。以後、この説はしばらく忘れ去られていく。

70年代、エンタメとしての「再発見」

時を経て、舞台は1970年代の日本。作家・能見正比古が『血液型でわかる相性』(1971年)を出版した。この一冊がブームの火種となり、血液型性格診断は「学説」ではなく「エンタメ」として再び脚光を浴び、売れたもん勝ちの時代、二匹目のドジョウを狙った類似本が飛ぶように売れた。

雑誌、特にテレビのクイズ番組や占いコーナー──どこでも血液型が取り上げられ、いつしか「知ってて当たり前」「話のネタにちょうどいい」情報として、日本人の生活に定着していった。

若者文化へ──「B型 自分の説明書」が象徴するもの

2007年、ある一冊の書籍が再びこの言説に火をつけた。『B型 自分の説明書』。著者はJamais Jamais。このライトな自己分析本は瞬く間にヒットし、A型・O型・AB型とシリーズ展開。総発行部数は480万部を超えるベストセラーとなった。

科学的根拠が希薄であるにもかかわらず、“みんなが信じている”という空気が、そのまま信憑性にすり替えられてしまった。それが今なお私たちの思考と行動に深く根を張っていることを思えば、このブームは単なる一過性の流行ではなく、むしろ“信仰”として内面化されたぶん、より根深く、より罪深いものだったのではないだろうか。

現にSNSが台頭し、「自分をわかりやすく説明する」ことが求められる時代に、血液型は自己紹介の道具としてますます重宝された。若い世代にとっては、もはや性格を分類する格好の”共通言語”ですらあった。

「なぜ」信じてしまうのか

ここで冷静に考えたいのは、なぜ科学的根拠がないにもかかわらず、私たちは信じてしまうのかという点だ。

答えの一つは、人間が──と言いたいところだが、世界中で今も信仰しているのは日本人だけのようだ──本能的に「分類したい」「理解した気になりたい」生き物だからだ。複雑でつかみどころのない“他者”という存在を、わかりやすい枠に押し込めたい──そんな心理が働いているように思える。

とくに日本社会では、空気を読むことが重視されるため、「自分をわかりやすく定義し、相手もそう理解する」という態度が、円滑な人間関係を築く“作法”とされがちだ。

リテラシーとは、「わかったつもり」を疑う力

ここで問いたいのは、「それ、本当に信じていいの?」という問いそのものだ。

現代において「リテラシー」という言葉は、単に文字を読めるという意味ではなく、情報を批判的に読み解き、選び取る力を指す。
そしてこれは、フェイクニュースが日常的に拡散されるいまの時代を生き抜くための、まさに“生存戦略”でもある。

血液型診断のような話題は、一見して無害に見える。けれどその背後には、「自分の頭で考え、自分の目で見なくなる」ことを促す、罠が潜んでいる。

「わかった気になる」瞬間に、私たちは思考を止める。そして、それは他者と真に向き合うことを放棄することでもある。

すでに結論は出ている

今時、科学万能主義は流行らない。が、松井豊氏(筑波大学)による統計研究(1991年、都立立川短大紀要)や、縄田健悟氏(福岡大)の国際調査(2014年、京都文教大)をはじめとする国内外の研究は、一貫して「血液型と性格に有意な関連性は認められない」と報告している。台湾、カナダ、オーストラリアなど複数国での追試やメタ分析でも、結果は同様だった。

それでもこの言説が残り続けているのは、「科学的な事実」よりも「信じたい物語」の方が、ある種の人々にとって都合がよいからだろう。

BPOによる勧告が出る

このような状況を受けて、2004年12月8日以降、BPO(放送倫理・番組向上機構)の勧告により、テレビ局や制作現場では、番組で取り上げる際は、「血液型性格診断に科学的根拠はありません」と明示するように義務付けられた。

それでも、「わかりやすい物語」は現在でも消えない。消えるどころか、カウンセラーやセラピスト、講師、コンサルタントを名乗る人たちや、学校や教育の現場でも──無知からなのか、確信犯なのか、血液型信仰の布教に手を貸している。

善意の中の悪

大手結婚支援サイトでは、今も堂々と、プロフィールに血液型欄があり、登録時に記入を求められる。”親切”にも、(たぶん、相性が合うと本気で信じている)血液型で相手を選ぶ検索が可能だ。

それを信じ続け、広め続けることは、事実に基づかない情報──つまり誤情報の拡散に、自ら加担してしまっているという、倫理的かつコンプライアンス上の重大な過失でもある。”善意の中の悪”ほど怖いものはない!

 

えにあひろ

 

       (NHKホームページから撮影)

 

来年の今頃、未来のあなたがこう思う日が来るかもしれません。
「愛を怖がらないで、最初の一歩を踏み出してよかった」と。

この聖夜、少しだけ立ち止まって、自分の心に問いかけてみてください。愛することは、期待ではなく選択です。そしてその選択は、あなた自身の幸せへとつながっていきます。

どうか未来のあなたが、心から微笑めるような「愛の一歩」を、今夜踏み出しませんか?

 

「べらぼう」が教えてくれそうな人を愛しく想う気もち

新しい年を迎えるにあたり、NHKの大河ドラマが「光る君へ」から「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺」へとバトンタッチするのは、興味深いタイミングです。蔦屋重三郎、江戸時代の出版業界でメディア王にのし上がった男の物語が、いよいよ語られようとしています。

蔦重といえば、絢爛たる遊郭の華やかさや、庶民が息づいていた江戸の活気が思い浮かびます。しかし、脚本は『大奥』『Jin〜 仁』の森下佳子、このドラマが本当に期待されるのは、彼の成功物語だけではありません。むしろ、遊女や花魁たちの複雑な生き方、そして庶民の中に息づいていた濃厚な人を愛惜しく想う気もちにあります。

現代人にとって、「愛」はどこか希薄になりがちです。愛を語るとき、軽いロマンチックな恋愛や色恋にフォーカスしがちで、その根底にある尊さを感じることが少なくなっています。「べらぼう」は、この失われつつある「誰かを愛しいと想う自然な気もち」を私たちにもう一度呼び起こしてくれるのではないでしょうか。

 

江戸時代の愛

江戸の人々にとって、愛とは「人と人との繋がり」そのものだったと言えます。遊女や花魁は、ただ美しい存在として消費されるだけではなく、その背後には彼女たちの物語があり、色恋を超えた愛を信じたり、裏切られたり、葛藤の中で懸命に生きる姿がありました。逆説的ですが、「苦界に生きる」彼女たちの生き方には、現代人が失いつつある「純粋な愛」が息づいていたように思えるのです。

蔦重という男が主人公である以上、彼が築き上げた出版文化や商才も物語の柱となるでしょう。しかし、それ以上に重要なのは、彼が愛した人々や、彼を愛した人々との物語です。江戸という時代の人々の息遣いの中で、私たちが見つけられるのは、形に残らない日常に息づく小さな優しさや情熱ではないでしょうか。

 

 

愛することを恐れないために

「愛を怖がらないで」と言われても、現代人にとってそれは簡単なことではありません。効率や便利さを追求する日々の中で、愛することの複雑さや、時に伴う痛みを避けたくなるのは当然のことです。しかし、江戸の人々のように、生々しい感情や濃厚な関係性を受け入れることで、私たちはもっと豊かに生きられるのではないでしょうか。

「べらぼう」が描く物語を通して、私たちもまた、「愛とは何か」という問いに立ち返ることができる気がします。それは、蔦重や花魁たちが生きた江戸時代の物語に触れるだけでなく、自分自身の日常にどのように愛を取り入れていけるかを考えるチャンスにもなります。

 

 

未来の自分に贈る「人を愛しく想う気もち」

新年の大河ドラマを楽しみにしながら、自分自身にも「愛することの一歩」を贈ってみてはいかがでしょうか?それは、誰かとの深い関係を築くことかもしれませんし、自分自身をもっと大切にすることかもしれません。

江戸の庶民が紡いだ愛の物語の中には、きっと現代の私たちが忘れてしまった「心の豊かさ」や「愛の奥行き」が隠されています。そのヒントを見つけるためにも、蔦重たちの物語をじっくり味わいながら、日々の中で少しずつ愛を実践してみませんか。

 

未来のあなたが、豊かさと愛に包まれる一年になりますように。メリークリスマス!

 

 

えにあひろ

 

 

 

 

『光る君へ』最終回

『光る君へ』最終回において、まひろは道長を看取る役目を与えられます。正妻倫子はまひろの告白から、二人の運命の出会いを悟り、夫の最期をまひろに託すのでした。「この世はなにも変わっていない。俺は一体なにをやってきたのであろうか」と嘆く道長を、まひろは諭します。「戦のない泰平の世を守られました。見事なご治政でありました。」「『源氏の物語』は、あなた様なしでは生まれませんでした。」と。まひろと道長の関係は、まさに平安時代のソウルメイト、そして究極のツインレイとして描かれています。この二人の絆は、単なる恋愛を超えた深い結びつきであり、その真髄は現代の私たちにも多くの示唆を与えてくれます。

 

 

道長はパトロン、まひろは?

道長がまひろに与えた経済的支援は、彼の愛情を超えた深い思いに根ざしていました。彼は官職という「匿名」の形でまひろとその家族を支え、パトロンとして彼女を傍から守りつづけたのです。この無償の愛が、下級貴族生まれのまひろの人生にとってどれほど大きな意味を持ったかは言うまでもありません。しかし、道長にとってもまひろはただの理想の愛の対象にとどまらず、政治家としての使命を成し遂げるためのインスパイアー的存在であり、彼の人生の永遠の導き手でした。二人の関係がどれほど深かったかは、この深い相互作用によって物語られています。(私は「美女と野獣」の、ベルと王子の関係性を想起しました)

 

 

妾の地位を拒んだまひろ

そして、ふたりが結婚という形で結ばれなかった事実が持つ意味にも注目すべきです。結婚という形式的な枠組みが必ずしも「愛」を証明するものではないという、強烈なメッセージを伝えているからです。道長が倫子を正妻に迎え、まひろとの関係が公に認められることはありませんでしたが、それは悲恋ではありません。妾として迎えたい道長を拒んだのはまひろでした。むしろ、この物語は「愛とは何か?」という問い(現代人の多くが失ってしまった)を、深く考えさせてくれます。結婚という制度に縛られることなく、男女が互いに成熟し、共に「生きる意味」を与え合う関係こそが真の力を持つのだということを、この物語は私たちに教えてくれるのです。道長は時の最高権力者となり、まひろは後の世に千年にもわたって愛される「源氏物語」の作者として永遠の命と名を残します。互いに支え合い、成長し合いながら、まさにソウルメイトと言える関係を築きました。

 

 

色恋を超えた「愛」

さらに、まひろと道長の関係は、色恋を超えた「愛」の可能性を示唆しています。この関係は、単なる感情的な依存や肉体的な欲求を超えた、深い精神的・哲学的な絆に支えられています。結婚という枠組みに囚われることなく、互いに無償の愛を与えあい、共に成長しつづけることができるという希望を、まひろと道長は私たちに伝えています。彼らの愛は、肉体的な欲求を超え、相手の存在を深く尊重し、共に進化しつづけることで、普遍的で深遠なものとなったのです。

 

 

「愛」の本質

この物語が教えてくれる「愛」の本質は、単なるロマンチックな感情ではありません。愛とは、他者を尊重し、理解しあうこと、さらには相手の人生に深く関与しあうことにあります。コロナ禍前に私たち夫婦が行ったワークショップで、「愛というものが本当にあるなら、一度は体験してみたい」と語った婚活中の参加者たちの言葉が、まさにこの物語のメッセージと重なります。愛を求める理由として「体験してみたい」と思うのは、まさにまひろと道長の関係に見られる無償の愛と成長しあう愛の形に、共通しているからではないでしょうか。

 

 

「愛とは何か」を考えることが力に

そして、この物語が現代の私たちに問いかけるのは、恋愛や結婚の本当の意味です。色恋の一過性を超えて、「愛とは何か」を深く考え、互いに生きる意味と情熱とを見出しあうこと。まひろと道長のように、私たちもまた、相手と共に成長しつづけることができるのではないかという希望を感じさせてくれます。この物語は1000年の時を超え、時空を超えて、私たちに強く響く愛の形を示しているのです。

 

 

追伸 「倚りかからず」の精神

ちなみに作者の大石静さんのエニアタイプは?皆さんは何番だと思います?私の研究では、タイプ7だと鑑定しています。意志の強いまひろ像は大石さん自身の夢であり、パトロン道長との道ならぬ道行きは大石さんの、あるいは多くの女性の、見果てぬ願望なのだと思いました。そして直接の影響云々は不明ですが、偶然だとは思いますが、詩人茨木のり子の詩の世界を連想しました。「わたしが一番きれいだったとき」(実際、女盛りのまひろは多くの死を体験します)、「倚りかからず」の精神はまひろそのもの。最後に「自分の感受性くらい」からまひろが言い放ちそうな1フレーズを。「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」 茨木のり子その人もタイプ7。文学の世界を自力で切り開いたまひろ。経済的にも社会的にも「自立」が厳しい時代の制約にとらわれずに。「自律」を果たして懸命に生きました。まひろは7ではありません、念のため。

 

 

えにあひろ

 

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