■『フィードフォワード』は、問題が発生してからではなく、発生する可能性の
ある問題を事前に予測し対処していく手法で、いわば「未来との対話」ということになります。
この『フィードフォワード』で効果があるのは、未来の行動計画なのです。行動計画はまさに未来との対話です。
山頂(目標の達成)を目指す際、山の麓から頂上を見上げるようにプランニングするのではなく、山頂から現在地を見下ろすがごとく、障害や妨害、課題を予測し、その解決策を考え、障害が発生しないように事前に対処しつつ立てるのが行動計画なのです。
■今日ご紹介するホンダの世界初CVCCの開発の過程は、『フィードフォワード』なのです。この事例は、私達に不可能はないこと。そしてその実現に対して、あらゆる手立てを考えることを教えてくれます。
70年代頃、排出ガスを従来の10分の1にしなければならないというマスキー法案が生まれ、ホンダ技研の若手技術者達は、これがホンダを世界にアピールする絶好の機会と捉え、アメリカのビック3も、世界のあらゆる自動車メーカーもなし得ていない開発に取り組みました。その時にプロジェクトメンバーが静岡県浜松市の旅館に缶詰状態になって取り組んだこと(浜松旅館方式という名称で、現在でも受け継がれている手法です)それは、新しいエンジンを開発するという目標とその期限、そして、その為の障害を全ての部門、現場の人間に上げてもらい、全てをリストアップし、そして、その解決策を全て用意する、という作業だったのです。そして、プロジェクトチームは400名を超えるチームとなり、ホンダは世界で始めてマスキー法をクリアーするエンジンを作った。
Honda CIVIC(CVCC) DATA
世界で最初にマスキー法をクリアした 低公害エンジンCVCCを搭載。車の排気ガスによる大気汚染が世界的に問題視されるようになった70年代初頭、当時世界でもっとも厳しいと言われたアメリカ・マスキー法('70年12月に発効)にパスするためには、触媒などの後処理が必要不可欠とされていた。しかし、Hondaで開発されたCVCCエンジンは、一切の後処理なしでマスキー法をクリアできる最初のエンジンとして米環境保護庁(EPA)から認められ、"技術のHonda"を世界にアピールすることになる。 ちなみに、CVCCは複合渦流調速燃焼方式(Compound Vortex Controlled Combustion System)の頭文字を連ねたもの。そんなCVCCエンジンを搭載した市販車第1号が、'73年に発売開始されたシビックCVCC。初代シビックの4ドアに搭載されたユニットは1488ccのEC型。排気ガスをクリーンにしながらも、最高出力は63PSを確保していたから、それまでの"低公害エンジン=アンダーパワーで使い難い"という既成概念を見事に覆した。