Reality Color


感想・レビュー記事56作目。

今回はブランド「TYPE-MOON」の7年ぶりの完全新作『魔法使いの夜』。
・・・・・・7年て。




シナリオ

――坂の上のお屋敷には二人の魔女が棲んでいる――



1980年後半。 華やかさと活力に満ちた時代の黄昏時。
都会に下りてきた少年は、現代に生きる二人の魔女とすれ違う。

少年はごく自然に暮らしてきて、
彼女は凛々しく胸を張って、
少女は眠るように隠れ住んで。

三者三様の星の巡り。
交わることなんてもってのほか。
何もかも違う三人の共同生活が始まるのは、あと、もうちょっと先の話―――



ノベル形式で一本道、攻略可能キャラはなし。





グラフィック

絵師は『こやまひろかず』さん。

背景含め塗りの綺麗さが半端ない。


そしてもう一つ、ワイドにも対応した演出が凄かった。

これを正統進化と言うんでしょう。「ものじ」さんスゲー。
路線的には大分「minori」に寄ってきている気はしますが文句なぞあろうはずもなく。





音楽

Vo曲は『supercell』が担当。

「星が瞬くこんな夜に」、私大好きです。


BGMでも、「魔法使いの夜~メインテーマ~」や「Five」他、珠玉のサウンド群。

サントラ普通に買ってしまったyo、こんちくしょー。


CV・・・ないよ。

安定の「型月」ですもの。





18禁要素

なし。





システム

基本システム搭載。使い易かった。


本編中、選択肢無し。
外伝の「誰も寝たりしてはいいけれど、笑ってはならぬ」にのみ有。





総評(感想)

延長線上に存在する作品群を踏まえながら、照らし合わされる世界観。
クロスーオーバーが出来るというのは実に豊かな世界観を持っていて、それが奈須作品(型月作品)の魅力の一つコトだと思ってます。
その一点においても価値というものが見出せる。


またワクワク洋館・・・雑居はまぁひとまず置いといて、設定という舞台において他と遜色ない出来ではないかと。

文章面においても、過去作品よりはだいぶ癖も少なくなり、わりかしとっつき易いと感じました。
もう勘弁してと尻尾巻いて逃げ出したくなるようなこともなく。
それがいいのか悪いのかはわからないけれども。

ただ、いつものきのこ節とも言われる言い回しは相変わらず存在していて、言葉の両義語みたいな解釈の仕方には素直に感嘆させられました。

物語としては、素直なボーイミーツガールとは呼べるシロモノではないけれど、奈須さんが描いたらまぁこうなるよね、という所感でまとめることが出来る範疇ではないかと。

演出面でも、遊園地のシーンや魔法『青』使うシーンなども非常に盛り上がってますし、是非目にしてほしいです。
またそんなキャラがいるのであれば、これはこうなるんでしょ?という未来予知をユーザーにさせてくれる親切心も何気に感じられました。
要は、異能力者の中にただ一人凡人っぽい奴がいればもうそいつは・・・という話。
でもそれがこの手の作品の面白みであるとも思います。


前述もしますが、他作品の登場人物というのは既に土台があり、今作はそれらの最過去にあたる作品であるため、延長線である未来は確定している。
その制約がある中で登場人物達の未来に思いを馳せることが出来るかどうか。
それが出来るなら特に文句もなく楽しめるはず。



元々3部作だった『魔法使いの夜』という第一部である本作。
ボリューム的にはやや寂しいことになっている中、ひとまず綺麗に完結。

他では色々言われてますが、私個人としてはシナリオ的にもそれ以外の部分でも十分楽しませてもらいました。


ただ、続編創ると言ったのなら、さっさと『月姫リメイク』終わらせて、二部三部と出していって欲しいなぁと願ってる今日この頃。




                 評価 A