1~5巻までの感想・レビューは以前まとめて書いたので、『付喪堂骨董店』の6巻単品での感想・レビューです。
特殊な力を宿した道具「アンティーク」、それが起こす事件に巻き込まれていく刻也と咲を巡るお話の第6巻。
今巻は、前巻でも出てきたアンティークを集めていると思わしき駿と飛鳥の2人組が本格的に絡んでの話がメイン。
これまでは連作短編という形式だった今シリーズでしたが、今巻は1巻完結型で、章ごとに区切りはあるものの話自体は繋がっているカタチになってます。
1章の「嫉妬」、『入替人形』の悲劇から始まり、刻也もしくは咲が、彼らの欲しがるアンティークを持っているのではないかと、じわじわ追い詰めていくあたりは、とても緊張感ありました。
そのアンティークがどんな能力を持っているのかがわからないって怖い。
・・・とは思うものの、2章の「音」の『音霊』の時のように、毎巻読んでいく中で、
「このアンティークの本当の能力はどんなものなのか」
と、予想しながら読み進めていくのは個人的な楽しみでもあります。
また、アンティークを追う駿と飛鳥の目的は何かというところから語られる物語は、何ともやるせないものがありましたね。
目指すところは変わらないだろうに、少し手段が異なるだけで、結果は大きく変わってしまう・・・リアル(現実)だろうが紙の中(それとも上?)での話だろうが、ホント世の中ってのはままならないものです。
そして、個人的に一番印象に残った4章の「過去」
ここにきてやっと、咲の抱えている問題が語られ始めました。
これまで語られていなかった刻也と咲の出会い話は、当然甘い話ではなかったけれど、咲の視線が刻也に向く理由の一端が見えただけに、彼女の背負うものの重さに多少なりとも触れることが出来たのではないかと。
今巻は懸念していた恋愛描写も全体的に控えめで(全くないわけではありませんが)、よりストーリーや世界観を重視した構成になっていて、読み終わって非常に満足してます。
やっぱりこういう作品好きだわ・・・
・・・でも、次巻が最終巻らしいんですよねorz
あまりダラダラ話を延ばすよりは、これくらいの巻数の方が良いとは思うんですけど、自分の好きな作品が終わるのはやっぱり残念に思ってしまいます。
それに、今巻だけでなく『アカイロ』も次巻(12月発売)で終わり=僕の好きな作品がそれぞれ次巻で2つ終わるのがなにより痛い。
この2作品が終わってしまったら、期待して発売を待てる作品は、次巻が何時出るかも分からない『9S』と『電波』(え?『紅』?あれはもう・・・)、あと『輪環』と『ダンタリアン』、それに『狼』くらいですかね・・・
・・・・・・少なっ
というか、今年前半は好きなバンドが3組一気に解散して・・・後半は好きな小説ですか。
・・・僕、何かしました?orz