昨日の記事でPCゲームの感想・レビューは40作になり、今回で小説の感想・レビューも20作目。

まぁ、PCゲームの方と比較すると、明らかにサボりがch(ry




『9S』もそうですが、今作もまだ感想・レビュー書いてなかったですね。(ホント今さら・・・


ということで、今回は『電波的な彼女』です。

Reality Color



以前どこかで書いたかもしれませんが、今作は僕が本格的に小説を読み始めるきっかけになった作品です。

自分で初めて購入したラノベ作品でもあります。(まぁ、初めて「読んだ」ラノベ作品は友人から借りた『半月』でしたが・・・

そういう意味では、僕にとっての小説の原点でもあり、非常に思い入れのある作品。

今作買った当時は、小説の良し悪しとか、自分が読む作品の基準も特に決めてなかったですからね。
もちろん山本さんのことも知りませんでしたし・・・

そういう意味では、偶然とはいえ初めて購入した小説に今作を選んだ当時の自分を褒めてあげたい。


舞台は現実よりもより多くの悪意が世間に蔓延するようになってしまった社会。
その世界で起こる事件に、不良高校生の主人公『柔沢ジュウ』とちょっと電波の入ったジュウの従者w『堕花雨』が巻き込まれていくお話。


ラノベなのにラノベらしくないストーリー展開をしているこの作品。
ジャンルはミステリというよりサスペンスの方が適当かと。

事件内容とかその真相とか犯人の生い立ち含め、基本的に救いがなく暗いのが特徴。



事件の犯人はわりとすぐに分かります。難しくもなんともなく。

しかし、そこへ導くまでの物語の展開のさせ方が非常に秀逸。

作品全体に無理してるところがなく、実に過不足なく書くべきことを必要なだけ書けていて、文体自体も読みやすい。

なんか媚びてくれなくて素っ気無い気すらしますけど、こういう風に感じる作品は最近特に少なくて、大概もう少しここらへんを詳しく書いて欲しい、ここらへん肩の力入りすぎ、この人についてじっくり掘り下げて見せて欲しかったと、物足りなさを感じてしまうことが多いだけに、より良いと今でも感じます。



キャラも『電波的な彼女』というタイトルを考えると、そこまでキワモノというほどでもないですし。

他にもこれといってありがちな人はいないような、いるような・・・(どっちだ

・・・堕花妹とか?



あとは、やっぱり主人公であるジュウのキャラが魅力的。

頭は良くないし優柔不断なところもあり鈍感、また自分のプライドによって身動きが取れなくなったり、意地や見栄を張ったりして、まだまだ余裕がたりないところもある。


しかし、迷いながらも何かをしようと行動したり、割り切れない思いを抱えながら、それを正義だとか良くわからない言葉でごまかさず、自分の信条をブレさせない姿勢には非常に好感が持てます。
周りが見事なまでに割り切れた人間であるのと対称的で、おそらくは、その割り切れなさこそがジュウの魅力なんでしょうね。

それゆえに、周りの割り切れた人間には考えもしない動機でジュウは怒り悲しむ事が出来るのだろうし、その彼の感情が物語を動かす原動力になっているのも事実。


ジュウの行動は世界に対してあまりに無力であり、為しえた事はほんの僅かでしかない。

そんな救いのない状況でも、小さくてもいい、何がしかの救いを願って止まない――

そして、『それ』を掴むためにがむしゃらに突っ走っていくジュウの姿は眩しい・・・

と、そういう類のことを、今作を読んだ当時の僕は思っていたわけです。(いかにも厨二っぽい感性ですが、あの頃は僕も若かったんですよ、いや、ホントに・・・




にしても、3巻の『幸福ゲーム』が出たのが2005年・・・

何度も言ってますけど、いい加減新刊出してくれないかなぁ、と割と切実に現在進行形で思って(待って)ます。

でも、『紅』も新刊出る気配ないし、漫画版の方とか何か原作と違う展開になってるし・・・

いや、まぁ『紅』はもういいんで、ホント今作の新刊をお願いします、片山さん。