15作目の感想・レビューはメーカー「KID」の『Ever 17 -the out of infinity-』
実は今作、「雑記」にするか「感想・レビュー」にするかで若干悩みました。
それというのも、今作はPS2でのCS作品です。
「感想・レビュー」記事は全てPCゲーム作品に対してするつもりだったので、そこにCS作品を加えるのはどうかと思ったわけです。
でも最終的に今作は「感想・レビュー」記事に加えてもいいかなと判断しました。
それにPCゲームの感想・レビューはこんなカタチで書いてます、とアメンバーでない方にも知っていただける良い機会なんじゃないかとも思ったので。
シナリオ
――水深51mの海中に浮かぶ近未来の海洋テーマパーク「LeMU/レミュウ」。
ここに、なんの前ぶれもなく7人の男女が閉じ込められた。
徐々に失っていくもの、食料・水・酸素。
新たな脅威:深海に棲息する未知のウィルス。
さらに、苛烈な水圧にさらされたLeMUの隔壁は119時間以内に崩壊すると言う。
分厚いガラス窓の向こう側は、濃紺の深い闇……
この閉ざされた空間の中で、限られた時間の中で、次々と起こる危機を乗り越えながら、7人は脱出への道を探しつづける。
ヒロインキャラは『小町つぐみ』 『田中優』 『茜ヶ崎空』 『松永沙羅』 『八神ココ』
グラフィック
絵師は『滝川悠』さん。
萌え系というより綺麗系の絵を描かれる方です。
イベントCGでは、絵はもちろん塗りも細かく綺麗に塗られてます。
演出面でも、所々グラフィック動画を挿入してました。
音楽
主題歌は『KAORI』さんが担当されてますが、曲自体は微妙。
BGMは作品の雰囲気上静かな曲やダークな曲がメイン。
雰囲気に合ってる曲が多くて比較的良かったです。
CVは、つぐみ役『浅川悠』さん、優役『下屋則子』さん、空役『笠原弘子』さん、沙羅役『植田佳奈』さん、ココ役『望月久代』さん。
・・・豪華です。
浅川さんの声いいよ、浅川さん。
システム
重くもなくユーザーライクでかなり使いやすい。
スキップも早めでストレスもあまり溜まらなかったです。
ただ共通テキストが結構多かったので、いっそのことシーンスキップを搭載してくれた方が良かったかも。
ゲーム形式はルート開放型でココルート(最終ルート)には他の4人のルート攻略後でないといけません。
総評(感想)
パッケージには「恋愛ADV」と書いてありましたが、実際は「ミステリ・SFADV」の方がジャンルとしては合ってる気がします。(そもそも恋愛要素が薄い・・・
結構理論的なネタもあって、うんちく好きな僕はテキスト読んでいて楽しかったです。
特に物理の量子力学的な理論は個人的にストライクでした。
でもシナリオ自体は、ココ(最終ルート)以外のシナリオは投げっ放しな感じで終わるので並。
まぁココルート以外のキャラのルートは前フリのようなものでしたからね。
その上、ボリュームはそこらのPCゲームと同程度かそれ以上あるので、ココシナリオに行くまでが長い。
とにかく、全ての伏線を回収するココルートをプレイしない限り、今作は話になりません。
・・・というか今作はこのココルートあってこそです。
何ていうかシナリオの構成・・・というか伏線の張り方、トリックが絶妙。
また、それまでの謎を一挙に解き明かしていく展開には心底関心させられました。
複雑に張った伏線を、あそこまで矛盾なく綺麗に回収できるのは凄い。
作品全体のオチも、かけた時間に見合うだけのものだったと思います。
今作の良さは最後までプレイしないと分からないでしょう。
つまり途中で投げたユーザーが今作を評価すると、必然的にその評価は低く(悪く)なる・・・と思う。
それに、よくよく考えてみると今作は内容について語ることがほとんどできません。
何故ならネタばれに結びつく要素が多いから・・・
そういう意味では感想・レビューを書くのが難しい作品。
あと、今作はADVの前提として存在している盲点を突いてるからこそ成り立っていると思います。
故にアニメやコミックス化は無理ですね。
アニメ・コミックス化した時点で『ADVの前提として存在している盲点』が成り立たなくなってしまうので。
まぁ一度アニメ化の話はあったみたいですけど、結局白紙になったみたいですし。
ていうかアニメでどう表現するつもりだったんだろ・・・
作品全体の出来としては、全てのシナリオを一纏めにして考えると非常に完成度は高い作品になると思います。
「CS作品は基本黒歴史」という偏見を持っていたんですが、今作はその評価を多少なりとも改めさせてくれた作品でした。
ただ、個別シナリオ(特にオチ)の方に、もう少し力を入れて欲しかった気はしないでもない。
・・・という感じでPCゲームの感想・レビュー記事と同じ様に書いてきましたが、CS作品の感想・レビューは多分今作が最初で最後になると思います。(他によほど良い作品がない限りは・・・
評価 B+