2巻読み終わったので今日は『ダンタリアンの書架』ついて書きます。
この前書いた『2008年読了小説ベスト10』で6位にした作品です。
主人公『ヒューイ』は、かつて所領の半分を1冊の稀覯本と引き替えにしたほどの蒐書狂である祖父から、ある条件と引き換えに古ぼけた屋敷とその蔵書の全てを引き継いだ。
その条件は一つ、「とある書架」の鍵守になりそれを引き継ぐこと。
遺品整理に屋敷を訪れた『ヒューイ』は、本が溢れる地下室で、静かに本を読む少女と出会う。漆黒のドレスに身を包み、胸に大きな錠前をぶら下げた少女『ダリアン』。
彼女こそ、この世に本来あってはならない封印された禁断の書物、『幻書』を納める『ダンタリアンの書架』への入り口、悪魔の叡智への扉だった――。
ジャンルはダークな世界観を持つ中世ファンタジーですが、かといって全ての話が暗鬱な感じというわけでもないです。
話は基本『幻書』の回収がメインなんですが、時には『幻書』を持つに相応しい資格を持つ者に『ダリアン』たちが『幻書』を貸し出すこともあります。
ただ、そのときは相応しい資格を持っていたのに、時が経つにつれて・・・という展開もあって、やるせないなぁと思える場合もあります。
『幻書』を持つに相応しかったはずなのに、どこで間違えてしまったのか・・・
もちろん相応しくないものが『幻書』を手にすることもあるんですが、その場合は大抵『幻書』の魔力に魅入られてバットエンド・・・というオチに。
『幻書』に関わった人たちの話は、時にゾクっとまた時には切なくさせられるものもあります。
世界観もそうですが、メインキャラも基本『ヒューイ』と『ダリアン』の2人だけという地味な作品です。
が、2人の掛け合いは中々面白いです。
『ダリアン』が何気にツンデレロリキャラですからねw
本当は『ヒューイ』のことが気に入ってるのに素直に態度で示せないところとか読んでいて微笑ましいです。
で、お薦めできるかどうかですが・・・多分今作は割と人を選ぶ作品だと思います。
物語の構成・形式は連作短編形式ですから読みやすいことは読みやすいんですけど、世界観があんな感じなので合わない方にはとことん合わないという気がします。
シーンによっては若干グロい表現してる場面もありますし・・・
逆にこの手のジャンルが好きな方はとりあえずチェックしてみる価値はある作品じゃないかと。
「I ask of thee ・・・・・・ Art thou mankind?」