1262.2024年6/4 いつだったかT字路の交点へと歩いていた。そこに賃貸アパートがある。出入口に男がしゃがんでいるのがみえた。住人、70くらい。することがなく、そこにいて行人を眺めている。私はその男を何度か見てきている。

 もどった。道をかえた。ふたつめの四つ辻で右を見ると、その男が立ちあがっており、顔だけをこっちにむけているのがみえた。もどった私が結局ここを通ると予想していたのにちがいない。

 きょう高円寺を歩いた。裏道へ入っていくそのとき、ごほごほっと右から口鳴らしがとんできた。見ると男が体をこっちにむけ、顔だけはそむけていた。55くらい。半ズボンにTシャツ。ひまそう。こいつだ。

 中杉通りのJR高架下へいく。女が日傘で顔を隠してきていた。60くらい。

 バス停で横に女がきた。65くらい。日傘をさして、こっちをうかがいつづけた。

 バスがきた。定刻より早い。中途半端にとまった。先頭の女がベンチから立ちあがる。70くらい。体をこっちにむけ、からっぽの目で私を見つづけた。

 窓側のひとりがけに女がいる。60くらい。左ななめうしろの私にふりむいた。すいたとみるや私のいる最後列に移った。私に見られていると思ったのか。

 セブンイレブン阿佐ヶ谷駅南店においてカレーパンとコロッケを買うつもりだった。店員男性が用意するのを待った。このとき右のレジ前に女がいた。22くらい。体を60度こっちにむけて私を見ていた。うえっ。こんなやつに背をむけた。てのひらでくるくるパーとやってやればよかっただろう。

 中杉通り方面へいきつつふりかえった。その女がきていた。私から視線をはずさなかった。

 横断歩道への直線からそれた。高層マンションの柱をまわりこんで、こんな女のうしろへいく。

 まいばすけっと高円寺駅北店に入った。パン棚の前に男がいた。45くらい。私がしゃがみこんで食パンをとろうとすると、男は体を30度こっちにむけて私の風体をうかがった。自身はパン棚を見ているばかりで、どれをとるということはなかった。どれをとるのか私に見られると思って行動に移らないのにちがいなかった。

 23くらいの女がレジ会計をした。そのとき、ごほっと左ななめうしろから口鳴らしがとんできた。ふりかえった。スマホ男がいた。55くらい。店内カゴをもつわけでもなくそんなところにいた。

 やりかえした。男はまだそこにいる。ようやくでていく。何も買っていない。人を見るためだけに店内に入りこんだとみえた。世紀の阿呆である。この手の男や女がそこここにいる。自転車でうしろから近づいてきて私の首筋にごほっとやった男60くらいしかり、高井戸プールで方向転換しようとした私にごほっと思いっきりやった女23くらいしかりである。東窓にむけてくしゃーんとわざとくしゃみのまねをした東隣の迷惑非多様性男もそうである。

 ちかくのストーカー女もまた、同じ臭いにまみれている。カーテンをつけていな小窓から私が通るのを見ては、ううっだのごほっだの自己省察なしに口鳴らしをやる。無用のかかわりはお手のものである。

 帰宅後、レジ袋ふたつをのぞいた。あの女店員は、商品をぐじゃぐじゃに入れた。乱暴狼藉のあとのようなありさまである。まいばすけっとには、ろくな店員がいない。

「小人[しょうじん]というものは、人の災厄を自分の幸せだとおもうものです。」(『夏姫春秋』)