以前のブログ記事で、「真ん中」の分析について書きました(詳しくは以下をご参照ください↓)。
https://ameblo.jp/realestateinvestor/entry-12620725575.html
今回は引き続き「縦」と「横」について考えていきたいと思います。
以前のブログ記事で、分析とは「ある物事を分解して、それらを成立させている成分・要素・側面を明らかにすること」と書きました。
これはまさに正しいのですが、実は物事をきちんと「分析」するにはこれだけでは足りないのです。
何が足りないかというと、「比較、すなわち比べること」という視点が足りないのです。
対象となっている物件について、その物件自体の「分析」(いわゆる「真ん中」の分析)だけでなく、「縦軸」と「横軸」で、その物件と他の物件を比べないとその物件が良いのか悪いのか、本当のところは分からないのです。
ここで、比較するときの「縦軸」は、同種の物件間での比較、すなわち、対象となっている新築ワンルームマンション以外の新築ワンルームマンション物件との比較となります。
そして「横軸」での比較は、新築ワンルームマンションと、それ以外の投資用不動産、例えば地方築古RCや築浅都内木造一棟マンション等との比較です(注1)。
縦軸と横軸で「比較」することにより、検討対象としている物件が、他の似たような物件や、他の種類の不動産物件と見比べたときに、儲かりそうかどうか、お得そうかどうかが初めて見えてくるのです。
前回のブログ記事で、経験値の高い不動産投資家であれば、新築ワンルームマンションの資料を見た瞬間に、「なにこの表面利回りって。5.2%?低すぎ。儲かるわけないじゃん。」の一言で終わったりすると書きました。
実はこのセリフには続きがあります。
それは、「なにこの表面利回りって。5.2%?低すぎ。儲かるわけないじゃん。こんなんだったら、ほかの物件を買った方が儲かるよ。」です。
これはまさに「比較」をしているから出てくるセリフです。
経験値の高い投資家であれば、新築ワンルームマンションについても今までに何件も何十件も見てきているでしょうし、また、新築木造、新築鉄骨、新築RC、築古戸建て、土地値物件等々の色々な物件をそれこそ死ぬほど見て、それらの収益性を死ぬほど分析してきているわけで(注2)、それらの知識のストックが頭の中にある訳です。
なので、ある物件を見た瞬間に、今まで自分が見てきた不動産物件と瞬時に「比べる」ことが出来、上記のようなセリフが直感的に出てくるのです。これが不動産投資家の頭の中で起こっていることです。
ここから出てくる示唆は、新築ワンルームマンション投資の危険性について説明するに際しては、その物件自体についての分析(いわゆる「真ん中」の分析)をするだけではダメで、縦軸と横軸できちんと比較する必要があり、不動産業界で言うところの「相場観」も持たせる必要があるということです。
不動産物件の「相場感」は、時間のかかる分析作業を、色々な物件について何度も何度も繰り返していくことで少しづつ養われていくもので、一朝一夕に出来るものではありませんし、ましてや人にさらっと説明された位でいきなり理解できるものでもありません。
しかし、上述の通り、これが出来ないと検討対象物件が良い物件かどうかは本当のところは分からないわけですから、新築ワンルームマンション投資に悩んでいる初心者の方にいくら頑張って新築ワンルームマンション投資の危険性を伝えても、その真の意味は全然伝わらないわけです。
縦横の比較ができない不動産投資初心者の方はいくら新築ワンルームマンション投資が儲からないかを聞いても、「新築ワンルームマンション投資って儲からないんだ、ふーん」としかならないわけです。
今回はここまでとします
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注1
横軸をより広くとると、不動産投資のみならず、株や金利スワップ、仮想通貨等の全ての金融商品が含まれてきますが、ここでは不動産投資に一旦絞っています。
注2
実際に不動産物件を分析しすぎて亡くなった方の話というのは聞いたことがありませんが。