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ついに20年の歴史に幕を下ろしたHMV渋谷店。ここで2年前まで働いてたんだなーって思いながら、関係者の方たちと閉店後も、店内で最後まで見届けました。「単なるCD売って渡して…」ってイメージになるけど、実際は、メーカーとのやり取り、国内盤の仕入れだけでなく、オーダー数設定したり、日本未入荷のアーティストを発掘して仕入れたりと、好きだから?好きすぎたから没頭できた仕事だったなと、今になって思うわけです。

連日、ニュースでもこのことが話題になってますが、閉店の大きな理由としては
・インターネット配信によるCD売り上げの激減
が指摘されてます。1998年だったかな過去最高出荷枚数4億枚越えを最後に、現在ではその半分ほどになっているというCDという媒体。
逆に、ネット配信は100億円を超えるマーケットに成長しており、さらに売り上げを加速するであろうと見込まれます。

まあ、それ以外にも要因として、
・売れるCD、音が無い
という重要なファクターも絡んでるのも事実。
売れるってことは、発売からボーン!!と売れるってだけじゃなくて、
常に誰もがコレなら「モノとしてず~~っと持っていたい」という作品ということ。

こういうことは大変物議を醸すとして、なかなか難しいのですが、
メーカーサイドとしては、一瞬でもドカンと売れてくれればハッピー、だけどアーティストとしては短命に終わる、という結末も少なくない。

HMVを辞めた後も、繋がりでメーカーやアーティストの方たちと話をしますが、皆さんそろえて言う言葉「本当に良いって音楽が無くなってるよね」ということ。確かにビートルズ、プレスリー、ローリングストーンズ、スティービー・ワンダー、プリンス、マイケル、マドンナ、など何十年と何世代にも渡って知られているアーティストは生まれる可能性はぐっと低くなるし、同様に何世代にも渡って引き継がれていく歌も減っていくだろうと思ってます。悲しいことだけどね。

更に加えて言うなら、「情報過多時代」
実はすごい良い音楽があっても、広告費の掛け方で潰しあいになってしまったり、埋もれてしまったり…挙句の果てには「良い」⇒「可愛い」「露出がある」「金になる」といった中身よりも外的なものを武器にする作戦もあります。インディーの世界などは広告費がメジャーの何十分の一とか何百分の一だからなお難しいでしょう。

だから「myspace」「youtube」と言ったSNSや動画配信サイトなど、
誰もが手軽に使えるインターネットの力が埋もれていた才能を引っ張り出す可能性も生みます。でもこれも「配信」であって「モノ」じゃないんですよね…しかも無料で利用できるので売れると思っても、すでに無料で手に入る、という嬉しいんだか悲しいんだかわからない世界になってしまいます。

mixiをやっている自分も結局はフリーで不特定多数に公開している訳で、ここに「モノ」としてではなくあくまで「ネット上」に存在しているんですよね。

メディアの販売・普及の難しさは上記の新時代にどう対応していくか、と言うこともあるし、権利の問題もあります。日本は特に著作権とか肖像権とかでコストが掛かるから利益率も大変低いし、リアル店舗持っちゃうと維持費人件費を創出するには如何に売り上げを立てなきゃならないか、
普通の物販よりも大変厳しいと言うことも見えてきます。

一緒に働いていたメンバーはマジでサイコーでした。
昨日行った時は、一緒に働いていたスタッフがまだいたので、
このメンバーとだったらいつまでも一緒にやれるなーってのは思ったりもしたりしなかったり(笑)
辞めて、サラリーマンになったり実家に帰省されてた方も、
ここぞとばかりに一斉集合って感じで、2年前と同じ感覚に戻されて、
自分も今の仕事よりも居心地の良いメンバーだなって思ってしまいました。でも辞めざるを得なかったのは給料面とか労働時間とかね。

「好きこそ物の上手なれ」って言葉通り、「音楽が好きだからぶっちぎれた」って感じですかね。

渋谷店と言う超メガストア、大型旗艦店に居続けられたのは、貴重な経験だったと思います。ネット上では色々揶揄されてたりバッシングされていたHMVだけど、昨日の盛り上がりや集まった人の数を観て、涙を流す人たちの多さを知って、改めて一つの「文化」が消えていくんだなと実感しました。

よく観る小さなお店が閉店っていうのじゃなく、日本でもトップクラスの文化の発信源である渋谷の一等地にどーんと構えるビルから居なくなるわけですから、不思議な光景です。20年間HMV渋谷の存在を知っていて、現在の所に移ってからはCDを買いあさる中高生でしたから、在って当たり前のものだったのに…

シスコやリバプールが消えてしまったショックもありますが、まさかHMV渋谷店も撤退と言うのは、まさかのまさかです。数年もしたら「ここってCD屋さんがあったんだよね」なんて会話も聞えてきそうですが、怖いのは「CDって何?」って言う世代がそろそろ出てくるんですよ。そうなれば、本当に遺跡の様な存在になってしまって、レコードと同じ様に、コレクター魂が収集するモノになっちゃうのかな~

今までお世話になったマネージャー、先輩スタッフ、同僚の皆様お疲れ様でした!!
警備のおいちゃんたちも春夏秋冬関係なく毎日俺たちも見守っててくれてありがとうございました、体に気をつけて!!

また良くしていただいたメーカー方々、アーティストの方々もご縁を頂きまして感謝しております。

CDアイテムの展開を通じて仲良くなったお客様ともご縁ができましたし、音楽の知識も逆に色々教わることができました。

まだまだ音楽に対しての熱い気持ちは失われておりませんので、各関係者の方はいつでもご連絡いただければ、レコメンドをガンガン書きます!!
随時お待ちしておりますあっかんべー