5月はわたしの誕生日。
今年はすっかり自分の誕生日も忘れていた。
前日に友達からご飯に誘われて、気づいたくらい。
誕生日の当日、ネットバンクの口座をふと見たら金額が増えていた。
1年半前に別れた元カレが入金してくれていた。
大きな額ではないけど、去年より増額していた。
去年も、わたしの誕生日とクリスマスに入金があった。
連絡はとっていない。
その元カレとは不倫で、わたしは彼の子を妊娠し、流産している。
彼との連絡を一切絶ってから、わたしはこの男と、わたしを苦しめたこいつの家族を一生許さないと決めた。
死ぬまで、呪ってやる。
絶対に許さない。
自分に、呪い、恨むことを許可しよう。
もう自分の気持ちから、1ミリも逸れたくない。
自分の気持ちを我慢したり、妥協したり、遠慮する人生はもう辞めにしたい。
そう思って、1年間踏ん張ってきた。
絶対に許すもんか。。。。
そう心に誓っていた。
そして今年の誕生日での入金。
時計が24時を回り、誕生日が過ぎた頃、それは突然きた。
「もういいや、許そう」
わたしは嬉しかった。
自分の誕生日も忘れていたくらいだったのに、彼は覚えていた。
彼は自分の子供の誕生日も忘れるような人だったことを思い出した。
わたしは嬉しかったのだ。
ちゃんと愛されていたんだと。
悔しくて、情けなくて、自分が愛されていたことを、認めたくなかった。
でも、もういいじゃないか。
もういいんだ。
そんな自分に気づいたら、大きな癒しが降ってきて、泣いた。
ちゃんと恨んで呪ったら、ちゃんと許せた。
誕生日の次の日は、新月だった。
自分の気持ちから1ミリも目を逸らさない。
ちゃんと寄り添ったら、ちゃんと自分で癒せた。