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目を覚ます。

 自分の泣き声で目を覚ました。最悪の朝だ。
 枕元に置いた携帯電話を探る。折りたたみ式のそれを開いて眩しさに目を細めると、デジタルの数字は6時前を示していた。予定時間より2時間も早い。
「あー…」
 うめいてみる。嗚咽を漏らし続けていたらしい、喉が痛かった。
 2、3度頭をかいてため息を一つ。細く開いたカーテンの向こうから白い光が差し込んできていた。昨晩飲んだワインが利いているのか、軽い眩暈と頭痛がする。
 身体に鞭打って起き上がり、とりあえずキッチンへ向かう。冷蔵庫から水を出してコップに少しだけ注いで飲んだ。保湿が重要な年齢に近づいていた。涙をボロボロこぼして泣いていたせいか、いつもより渇きが酷い気がする。もう一杯、水を多目に注いで一気に飲み干した。

「これで二日目…」
 昨日も同じようにして目を覚ました。
 一日目は悲しい夢を見たからだ。内容は覚えていないが、とても悲しい夢を見た。
 今日は夢を見たことすら記憶にない。何故泣いているのかはさっぱり分からなかったが、なんとなく理由は思い当たる。カバンの中から手帳を取り出し、先月の生理日を確認して、またため息をついた。
 排卵予定日と生理前は異様な気分になることが多い。
 とくにここ半年の間のことだ。
 医者には行っていない。たいしたことだと思わなかった。誰でもそういう時期はあってしかるべきだと思っていた。
 会社と英会話スクールと家の往復に身体は慣れてきた。気持ちも慣れているはずだ。貯金も預金も問題ない。そろそろ冬物の服を押入れから引っ張り出して、デパートに買いに行って、寒い季節も寂しい季節も乗り越えなければならない。ああ、冬布団も出さなきゃ。

 シャワーを浴びようと風呂場に向かう。洗面台の備え付けの鏡には酷い顔をした自分が映っていた。まぶたが腫れている。泣いたせいだ。出勤までになんとかなるだろうか。どうしようもなかったら化粧で誤魔化さなければならない。酷い顔で出勤すると部長がうるさい。幸い時間はある、シャワーを浴びて化粧水と乳液でどうにもならなかったら冷凍庫からアイピローを取り出そう。
 ぬるめのお湯を全身に浴び、タバコ臭い髪を洗う。カラーリングしなおしたばかりの髪は軋んで洗いにくかった。そろそろボディソープも足さないと、明日には切れてしまうだろう。

 トリートメントした髪を蒸しタオルで巻いて終了。後で洗い流さなければならないことが億劫だが、労わってやらないとすぐにハネるのだから仕方がない。
 ヤカンを火にかけ、今日の紅茶を物色した。オレンジペコの葉っぱは切れている。アールグレイも飲み飽きた。確か後輩が焼いたというスコーンが残っていたから、イングリッシュ・ブレックファストとしゃれ込もう。濃い目に出してミルクティー。うん、上出来だ。

 爽やかでない寝起きには、せめて何かしらの潤いを。
 お湯が沸く間にトリートメントを洗い流し、ドライヤーをかける。お湯が沸いたらティーポットに茶葉とお湯を注ぎこんで蒸らす。待ち時間に化粧水と乳液を塗りこんで、時間としてはピッタリだ。
 紅茶は香りを嗅いでからミルクを垂らした。トースターで温めたスコーンも美味しそうな匂い。
 憂鬱な気分を吹き飛ばすだけの朝食を摂りながら呪文を一つ唱える。
「今日はフレックス」

 会社には涙の現況がいる。




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お話メモ帳その3。…かな?
自分はOLではない上にフレックスでもないのでイマイチ想像力がわきませんでした。
友達OLは皆朝あわただしいので逆行してみたり。

自分の泣き声で目を覚ますって体験ありませんか?
私はちょっと前に3日連続でやりました。
さすがに病院行くべきか悩みましたが(笑)

最近の飲み物

コーヒーにも紅茶にも飽きてしまって、最近はずっとココアです。
テレビ見てたらキヨシの黒豆ココアのCMが流れて、そういえばストックがまだあったな~って思ってココア。
このココア、ミルクココアって書いてあるのにミルク味が全然しない!
なのでスキムミルクを混ぜて飲んでます。
ここんとこ食欲がなくて(というか作る気がない)あまりご飯食べてないんですが、ココアだけで栄養十分なんじゃない?ってくらいココアってます。

…でもカロリー高いんだよね~、ココアって(笑)

向かいの家の庭に柿の木があるあるんだけど、マルッとした実が生ってるのが見えます。渋柿かな~。

台風

台風が来てましたね~。
なんだか凄い勢いで雨が降ってましたが、おかげさまでお出かけの予定がなくなりました。しょんぼり。
そして3連休の予定は10日のバイトだけになりました。
しょんぼり。
しかもバイトはヘルプで入るのです。フォローです。
携帯でシフト確認できるんだけど、今度の担当さんはどうも仕事が遅くて…そしてよく仕事を忘れてて…おかげでこっちが確認しないといけないこと多くて困るんですよ~んもぅっ!

まあ愚痴は程ほどに。
朝になったら一応確認の電話を入れて、そんでバイトなかったらそのままどっかお買い物に出かけます。
秋物のインナーが予想外に少なかったので。
乙女計画発動中です。うふふ。

お話メモ2

たまには泣きたい夜もある。


 たまには泣きたい夜もある。
 例えば雨の降る日。それは豪雨や台風や、強い風が押し寄せてくる嵐の雨ではなくて、それこそしとしとと蒸気みたいな雨の粒が降る日だ。顔や髪をしっとりと濡らす、そういう優しい雨の日の夜。
 その日も優しい雨が降っていた。

 友人からの何気ないメール。
 彼氏が情けないとか、年上のある人に夢中になりそうだとか、ときめきパワー全開の友人からのメールに返事をしている時だった。
 秋口の雨は寒さを呼んで、久しぶりに暖房をいれた。就寝前だったのでタイマーを設定していた。布団に入ってメールを打っていた。ようやく満足したのかもしくは寝てしまったのか、相手からのメールは来なくなっていた。暖房も止まっていた。
 雨は降り続いているのか、さわさわとした微かな音が厚いカーテンの向こうから聞こえてきている。

 どうということはない、いつものメールだ。
 返事が来ないことが悲しかったわけでも寂しかったわけでもない。深夜に交わすメールはいつの間にかどちらかが寝てしまって続かなくなることなど毎度さまというやつなのだ。
 あえて寂しいというのなら、彼女と同じように私も恋をしているからだろうと思いなおす。慰めることや宥めることは多い。なぜかその手の相談をよく受けた。しかし相談は受けるだけで自分から恋の相談をすることは少ない。だからだろうか。

 この気持ちを真剣に打ち明ける気にはならなかった。
 プライドでもなんでもない。自尊心なんて存在しない。

 打ち明ける事も出来ない恋は、私の弱さの象徴だ。そんな姿を誰にも見せたくはなかった。
 そんなに思い恋なのだと、同情されるのが嫌なだけだ。

 胸の奥、腹の上あたりに重いわだかまりを抱えている。気持ちが涙になって溢れ出してしまいそうだった。ぐっと堪え、飲み込む。
 カーテンの向こう、雨音が強くなった。
 飲み込んだ塊を吐き出すように、音はどんどん強くなっていく。

 明日も雨だろうか。
 締め切ったカーテンを少しだけ開けて曇ったガラスを睨んだ。




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お話メモその2
弱くて悲しい女の独り言。

お話メモ1

 生まれて初めて男にフラれた。
 こんなことを言ってしまうと、自分がどんな女なのか勘違いされそうで怖い。前提条件として始めて付き合った男だからという事実を言わないと、なんて気位の高い女だといわれそうな気がする。
 初めて『付き合う』ということを意識して一緒にいた。でも正直な話したいして好きな男ではなかったんだ。ちょっと顔が好みで、ちょっと身体が好みで、年下だけど嫌いじゃないし、そんな打算ともなんともつかない曖昧な気持ちで始めた付き合いだった。
 少しずつ互いのことが分かり始めて数週間。彼の嫌なところが目に付きだした。でももう少し我慢したらなんともなくなるかと、そう思ってた矢先のことだった。

 メールが届いた。
 細かい内容は忘れた。
 ただただ長いメールだった。
 ドコモの文字数制限いっぱいのメールが3通。
 最終的には自己完結された内容で、私の意志は既にどこにも入り込む余地がなかった。私が別れることを既に了承しているかのような内容だった。

 別れる理由に過去の恋愛の話を持ち込むことはタブーだと、私は思っている。そんなことは個人で片付ける問題であって、今の関係に持ち込むべきことではない。ましてや「前の彼女が忘れられない」なんて言語道断甚だしい。

「前の彼女が忘れられない」「まだ好きなんだ」

「じゃあなんで私と付き合おうと思ったの?好きだって言ってきたのそっちじゃない。」

 思ったけれど言わなかった。
 単純に、私が彼のことを好きだったならば、言ったかも知れない。

「人のこと馬鹿にしないでよ」

 私は言わなかったし、言えなかった。
 いい女ぶって「そんなにその子のことが好きなら、その子にちゃんと気持ちを伝えた方が良いんじゃないの?」なんてアドバイスまでした。
 ただの別れる言い訳だって、分かってたはずなのに。
「信じてくれないかもしれないけど」
 そう書かれていた言葉を、少しだけ信じてあげたフリをした。「本当かどうかはこの際どうでも良いけど」と前書きを入れておいたけど。

 ありふれた別れ話だった。
 それでも初めて交わした別れ話だった。

 夜、一人で散歩に出た。
 深夜帯だったこともあって、行き交う人も少ない。ウォーキングに熱心な夫婦とすれ違い、飲み屋帰りのおじさん数名に心配された。
「何してるの?大丈夫?」
「危ないから気を付けてね」
 笑顔で通り過ぎた。
 国道沿いの道は、トラックがせわしく制限速度を無視して駆け抜けている。テールランプを追いながらフラフラと歩き、誰にも言えない気持ちを振り切るように腕を振った。

 コンビニでアルコールを少々購入。
 添え付けのベンチに座ってプルタブに指をかける。少しだけ震えた指先は冷たい缶のせいにした。


 彼の中でも私の中でも、すぐに笑い話になればいいと思った。
 涙なんか似合いもしない軽くて意味のない『お付き合い』だ。傷ついたりなんかしてやらない。そんな価値なんてどこにもない。これからのステップの一つだと言い聞かせて缶ビールを一気に飲み干した。

 甘い恋の酩酊感なんて、まだ知らない。




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本来の目的であるお話メモとしての1個目です。
シリーズで書けると良いんだけど、そんな長い物はまだ書けないので思いついたときに細々。
いつか一本化できればいいかしら。