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現実逃避の日々

ジャスの顔をまともに見れなくなってしまった。
あたしのファーストキス…。
拓真くんへの想いもどっかにふっとんだ。
「な~、なんで落ち込んでるん?」
人の気も知らないでいつものように接してくるジャス。
頭ぐるぐるしたまま学校を終えてまっすぐ帰った。
ベッドに制服のまま横になって目を閉じていた。
ジャスはあたしに無視されるのが気に入らないのかずっと機嫌悪く話しかけている。
「はぁ~~~~。」
今日何度目かのため息をついた。
それで一日分のジャスのストレスが爆発した。
「なんやねん!!」
枕元で声を荒げるジャス。
「言えや!」
うるさくて思わずジャスを睨んだ。
「アンタが悪いんでしょ!?」
ジャスはびっくりして固まっている。
「ファーストキスだったのに…。なんなの!?」
止められなかった。
「アンタが来てから悪いことばっかり。なんであたしなの?早く元の世界に帰ってよ!!」
言った後で我に返った。
やばい。
すぐ謝ろうと思った。
「ジャ…。」
「ごめんな。」
先に謝ったのはジャス。
ジャスは泣きそうな顔で力なく笑った。
「今までサンキューな。」
そう言ってベッドから下りるとそのまま部屋を出て行った。
あたしは追いかけることもできないで宙を見た。
今になって『一緒におったる』っていうジャスの言葉が頭に響く。
久しぶりに静かになった部屋。
あんなに小さなジャスなのにいなくなるとなぜだか広く感じる。
どれくらいそのままでいただろう。
ふと思いたって体を起こした。
本棚に並ぶ1冊の本をとって開く。
ジャスが出てきた本。
そういえばジャスが来てから読まずにいた。
ずっと楽しみにしてたマンガだった。
でもなんでこの本だったんだろ。
偶然……?
たった今壊してしまった偶然。
あたしは立ったままそのマンガを読んだ。
あんなに楽しみにしてたのに全然心が晴れない。
マンガはふつーの恋愛マンガで、物語も現代だしジャスと結び付くことなんて一つもなかった。
読み終わって本の表紙を指先で触る。
そうだ、レインコート作んなきゃ。
本を戻してあたしは机に向かった。
ビニールバッグをはさみで切る。
マントみたいに大きめにして首のところにマジックテープを張る。
意外に簡単にできた。
「できたよ、ジャス。」
机の上を見渡してもジャスがいるはずなかった。
思わずうつむいた。
その時、携帯が鳴った。
メールだ。
携帯を手に取ると拓真くんからだとわかった。
『今何してんの?』
あたしは朝と違って落ち着いて返信した。
『学校から帰って部屋にいるよ』
すぐに返事が返ってくる。
『今からちょっと会えないかな?今周防んちの近くなんだけど』
えっ??
びっくりして慌ててタンスを開けながら返信した。
『いいよ。家の前で待ってる』
制服を脱ぎ捨ててお気に入りのワンピを着る。
鏡でチェックしてリップを塗った。
わーん、もう少しメイクしたかった。
手で髪を直しながら玄関の扉を開けた。