飛空挺の甲板をステージとして、ユウナは観客の前に現れた。
観客はまだ小競り合いを続けていた。
ユウナはみんなに語りかけた。
ユウナが話し始めるとみんなはユウナに注目した。
ユウナ 「1000年前、・・・・・まだ『シン』もいなかった頃、スピラが二つに割れて争っていた時代がありました。
それはスピラの過去の過ち。その過ちから『シン』が生まれて・・・・・。
でも、私たちは、スピラは、悲しい過去を振り捨ててきた。
『シン』が消えて、たった2年でスピラはとても明るくなった。
私は、この光を消したくないんだ。
ねえ、みんなは?
たくさんの人がいて、一人一人考えが違って、時には争うこともあって・・・・・・。
それでも心は、一つになれるよ。
私は信じてる。
たとえ引き裂かれたとしても、私たちの想いはつながる。
これは、そんな歌です。」
ユウナはゆっくりと唄いだした。
歌の途中で、レンの想いがスクリーンだった大型スフィアに映し出される。
1000年前のザナルカンド。
ヴェグナガン。
ヴェグナガンを動かそうとするシューイン。
シューインを止めに来るレン。
そして、二人は追ってきたベベルの兵隊に撃ち殺される。
二人の思い出が映される。
1000の言葉
君の言葉は 夢の優しさかな?
ウソを全部覆い隠してる
ズルイよね
旅立つ君に 冷めた背中見せて
聞いていたよ ひとり戦うの?
ズルイよね
「帰ってくるから」
追い越してゆく君の声
意地張って 強いフリ
時を戻して叫べば良かった?
行かないでと涙こぼしたら?
今はできる どんなことも
言えなかった 1000の言葉を
遥かな君の背中におくるよ
翼に変えて
言えなかった 1000の言葉は
傷ついた君の背中に寄り添い
抱きしめる
夢の続きは 君を思いながら
あの日のこと 忘れたふりして
ズルイよね
「手紙を書くから」
視線そらした君の声
意地張って 強いフリ
時を戻して怒れば良かった?
待てないよと肩を落としたら?
今はできる どんなことも
聞こえてる?1000の言葉を
見えない君の背中におくるよ
翼に変えて
聞こえてる?1000の言葉は
つかれた君の背中に寄り添い
抱きしめる
言えなかった1000の言葉を
Lalalala..君の背中におくるよ
翼に変えて
聞こえてる?1000の言葉は
Lalalala..君の背中に寄り添い
Lalalalala....
唄い終わるとユウナは涙を流してその場に座り込んだ。
リュックとパインはユウナを支えて飛空挺に戻った。
パインはユウナをベッドに座らせて落ち着かせた。
パイン 「ユウナ・・・・・。」
ユウナ 「大丈夫、大丈夫だよ。おさまってきたから。」
ユウナは流れる涙を抑えた。
そこにリュックが入ってきた。
パイン 「シンラ、何だって?」
リュック 「えっとね、あの映像はスフィア波のカンショウじゃないかって。
ユウナのドレスフィアとスフィアスクリーンが反応して、ドレスフィアに焼きついた意識がスクリーンに投影された・・・・・・とかなんとか。」
リュックは一生懸命体を使って説明した。
パイン 「だから、どうしてそんな現象が?」
リュック 「「僕、まだ子供だし。」だってさ。」
パインは呆れたようにため息をついた。
ユウナ 「レンだよ。」
やっと泣き止んだユウナが言った。
ユウナ 「彼女の想いから生まれた歌だから唄ってるうちにあふれて・・・・はじけた。」
パイン 「映ってたのはレンと・・・・・・シューイン?」
ユウナは頷いた。
ユウナが操縦室に戻るとメイチェンがいた。
メイチェン 「すばらしい歌でしたな、ユウナ様。観客は皆、聞き惚れましたぞ。」
ユウナ 「みんなの気持ちが少しでもまとまればいいんですけど。」
メイチェン 「まとまりますとも。
つまらん争いにかまける愚かしさや悲しさに、誰もが気づいたことでしょう。
開演前にいがみ合っていた連中も手を取り合って泣き出す始末です。
かく言うあたしも、そでを絞りましたわ。
ええ、レンが映し出された時に。」
リュック 「レンを知ってるの!?」
メイチェン 「はいな。語っても・・・・。」
ユウナ 「語ってください!」
メイチェンが言うより早くユウナは言った。
メイチェンは咳払いをすると語り始めた。
メイチェン 「レン、とは、およそ1000年前、ザナルカンドでたいそうな人気を誇った歌姫ですな。
平和な時代であったなら歌手として一生を終えることができたでしょうが・・・・、時代と、そして彼女の能力がそれを許さなかったのですわ。
ええ、レンは歌手であると同時に優れた召喚士でもあったのです。
機械戦争が始まると、召喚士たちは戦場に発つことになりました。
ザナルカンドは劣勢でしたから、生きて帰れないのは明らか。
それでもレンはザナルカンドを守って戦う覚悟を決めていたようですが、「どんな手を使ってもレンを死なせない」、そう考えた人物がおったのです。
レンの恋人だった若者ですわ。」
リュック 「シューイン?」
メイチェン 「さあ・・・、名前までは記録に残っとらんのです。
ともあれ、彼は敵の機械兵器を奪ってレンを救おうとしました。
しかし・・・・。」
メイチェンは悲しそうに下を向いた。
ユウナ 「・・・・・うまくいかなかった。」
メイチェン 「ええ・・・・・・痛ましいことですわ。
さきほどの映像はその時の光景なのかもしれませんな。」
メイチェンはそう語り終わると何も言わずに去っていった。
パイン 「シューインはレンの恋人だった。」
リュック 「レンを守るために、敵から奪おうとした兵器ってのが・・・・・。」
ユウナ 「ヴェグナガンだね。」
リュック 「大事な人を死なせたくなかったんだね。
あたしわかるな、その気持ち。
2年前、そうだったからね。
ユウナ助ける方法、必死に考えてた。」
リュックはユウナの手をとった。
ユウナ 「嬉しかった。
悲しいくらい伝わってきて・・・・・、それだけで充分だったよ。」
パイン 「レンもそうだったのかな。
好きな人が最後の瞬間まで自分を守ろうとあがいてくれたんだ。
悲しい結末だったとしても、笑って言えたかもしれない。
「ありがとう」って。」
ユウナは頷いた。
ユウナ 「そうだね。
つながってる・・・・・・けど。」
ユウナは首を横に振った。
ユウナ 「こんなのってないよ。
レンの想い、彼女が一番伝えたかった人に伝わってない。」
ユウナは下を向いた。
その時、警報が鳴った。
ダチ 「ビサイドから通信があったぞ。
ルールーの赤ちゃんが生まれたってよ!」
リュック 「おおっ♪」
ユウナ 「会いたいなあ。」
ダチ 「キーリカからも来ているな。
ややこしいことになってるらしい。」
ユウナ 「またごたごた?」
ダチ 「いや、ごたごたがおさまったせいで、ごたごたしてるらしいんだが・・・・。」
パイン 「なるほど。」
各地域でごたごたが起こっているらしい。
ユウナたちはまず、連絡のあったビサイドに向かった。