「ロピアに行くと、あの活気に圧倒されるけれど、最近ニュースでもよく見かけるし、中では何が起きているの?」
いま、スーパー業界で最も「異変」をもたらしているのがロピアです。
2014年からわずか10年あまりで売上高を約10倍に急成長させたその勢いは、まさに驚きの出来事といえます。
しかし、その快進撃の裏では、社長の交代や行政指導といった、見逃せない「影」も忍び寄っています。
この記事では、ロピアがなぜこれほどまでに熱烈に支持され、そして今、どのような転換点に立っているのかをわかりやすく整理します。
これを読めば、ロピアという巨大な個性が目指す「2兆円」の野望と、私たちの生活への影響が見えてきます。
10年で売上10倍!業界を揺らすロピアの「異常な熱気」
ロピアの最大の強みは、一歩足を踏み入れた瞬間に感じる「市場のような熱気」です。
売り場には「さあ買ってください!」という強いアピールがあり、まるで店内全体が活気ある市場のような雰囲気を作り出しています。
売上高は2014年の約570億円から、2025年2月期には5213億円へと、文字通り桁違いの成長を遂げました。
この驚異的な数字を支えているのが、徹底した「現場主導」のスタイルです。
各部門のチーフが仕入れから値付け、スタッフの採用までを担うことで、現場の熱量がそのまま売り場に反映されています。
だからこそ、ロピアには他のスーパーにはない迫力があります。
安さ、量、見せ方、勢い。
そのすべてが合わさって、「また行きたくなるスーパー」として多くの人を引きつけているのです。
しかし、この強すぎる現場力が、同時に「諸刃の剣」となってしまいました。
「数値至上主義」の代償。相次ぐ不祥事という影
急拡大を続けるロピアの裏側で、2024年以降、深刻な問題が表面化しました。
まず、公正取引委員会は、新規出店や改装時に納入業者へ従業員の無償派遣を要請していた疑いで、ロピアに立ち入り調査を実施しました。
その後、確約計画が認定され、納入業者約400社に対して計約4億3300万円を返金。
さらに、第三者による5年間の履行監視も盛り込まれました。
また、食品表示法違反も発覚しています。
2021年から2023年にかけて、73店舗で菓子や調理食品18品目、計約65万パックを原産地表示なしで販売していたとして、農水省から是正指示を受けました。
これらの問題は、単なるミスでは済まされません。
現場の熱量やスピード感が強みである一方で、経営トップの目が行き届かない「現場の聖域」が生まれてしまえば、ガバナンスや企業倫理が後回しになる危険があります。
安さを支える原資が、取引先の犠牲の上に成り立つものであってはならない。
今、ロピアは成長企業として、組織のあり方そのものを見直すタイミングに来ています。
元「西友」社長を招聘。上場を見据えた組織改革
こうした歪みを正すため、ロピアは今年3月、代表取締役社長を交代しました。
前任の髙木勇輔氏は、2013年から創業家2代目として同社を率いてきた人物です。
フリーアナウンサーの加藤綾子さんの夫としても知られています。
ただし、髙木氏は親会社であるOICグループの社長には引き続き留まっており、グループ全体の経営は継続して担っています。
新社長に迎えたのは、元「西友」社長の大久保恒夫氏です。
大久保氏は、イトーヨーカ堂を経て、ファーストリテイリングや良品計画などの経営改革を支援。
さらに、成城石井や西友の社長として、企業再生を成功させてきた実績を持つ人物です。
この人事の意味は、単なる内部統制の強化だけではありません。
今後、ロピアが国内外で店舗網を拡大し、日本を代表するスーパーへと成長していくためには、上場やM&Aによる大規模な再編も視野に入ってきます。
その道に長けた人物を新社長に据えたという点に、ロピアの本気度が表れています。
出店場所をめぐる水面下の攻防
ロピアの拡大戦略で重要になるのが、「出店場所の確保」です。
ロピアがその強さを発揮するには、ある程度の広さを持つ大型の売り場が欠かせません。
圧倒的な集客力を持つロピアは、自治体や大型施設のオーナーにとっても非常に魅力的なテナントです。
過去には人の流れが弱まっていた駅前立地であっても、ロピアが入ることで一気に人を呼び戻す可能性があります。
実際に、ヨドバシカメラとのタッグによる駅前攻略や、大手チェーンの撤退跡地への居抜き出店など、スピード感のある展開を進めています。
一方で、これは競合店にとって大きな脅威です。
ライバルたちは、ロピアが出店しそうな候補地、特に大型スーパーの閉鎖店舗などを先回りして抑えるなど、水面下で激しい「陣取り合戦」を繰り広げています。
それほどまでに、ロピアの出店は地域の商圏を変えてしまう力を持っているのです。
“肉食系”の拡大策で「売上2兆円」を目指す
OICグループが掲げるのは、2031年度にグループ売上高2兆円という大きな目標です。
これは、自力出店だけでは簡単に届く数字ではありません。
そこで重要になるのが、M&Aによる拡大です。
イオンのように各地のスーパーを傘下に収め、統治していくやり方もあります。
しかし、ロピアの拡大策はそれとは少し違います。
外食や食品製造といった機能やブランドを取り込み、それをロピアという一つの巨大な個性に変えていく。
相手を自分の一部として吸収し、血肉に変えていくような拡大策です。
精肉店をルーツに持つロピアらしい、まさに“肉食系”の成長戦略といえます。
いずれドン・キホーテやトライアルのように、既存の大型チェーンを丸ごと飲み込むような一手を打つ可能性もあるかもしれません。
「ロピアが来たら試合終了」の時代へ
ロピアは、1971年に神奈川県藤沢市で「肉の宝屋」として誕生した街の精肉店から始まりました。
そこから半世紀以上を経て、今では日本を代表するロープライススーパーへと成長しています。
今回のリーダー交代は、ロピアが単なる「勢いのあるスーパー」から、より盤石な組織へと進化するための通過点になるでしょう。
ロピアのポイントを整理すると、次の通りです。
・10年で売上高を約10倍に急成長
・1店舗あたりの収益力は業界平均の2倍強
・現場主導の強さが、同時にガバナンス上の課題にもなった
・元「西友」社長の大久保恒夫氏を新社長に招聘
・2031年度にグループ売上高2兆円を目指す
・上場やM&Aを見据えた拡大戦略が進む可能性がある
圧倒的な集客力を持ち、既存の商圏を一変させてしまうロピア。
「ロピアが来たら試合終了」と競合に言わせるほどの勢いが、私たちの買い物の形をどう変えていくのか。
今後も目が離せません。