【合格体験記】平成23年合格者 加村 隆浩 様 | 海事代理士試験研究センター (ReaL海事代理士講座)

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平成23年合格目標 口述試験マスター講座 受講生 加村 隆浩 様の合格体験記です。


1.受験の動機

 何か変わった法律家資格ないかと思っていたところ、海事代理士という資格を知り、受験しようと思いました。


2.去年の受験まで

 受験対策教材が教科書と言うべき本が(海事代理士合格マニュアルという本)一冊しかないと知り、海事六法と共にとりあえず購入しました。どうにか筆記試験は合格しましたが、教科書が実質ただ時系列順に過去問を並べただけで、六法も受験科目の法律が載っていなかったりと受験インフラの不備に非常に苦労しました。


 そして口述試験ですが、教科書掲載の過去問だけでは不安だと感じたため、国土交通省のホームページから印刷した問題と解答をプリントアウトし、市販の単語帳の表裏にそれぞれ切り貼りして暗記しようとして臨みました。

 結果は不合格でした。


 口述試験の科目である船舶法、船舶安全法、船員法、船舶職員及び小型船舶操縦者法の内、船舶法と船員法はおそらくほぼ完璧、船舶安全法は半分、過去問と全く異なる事例問題で出題された船舶職員及び小型船舶操縦者法は全く答えられないという結果だったものの、かろうじて合格ラインである6割には達していたかな、と自分では思っていただけにかなりショックでした。

 しかし、筆記試験合格者は翌年の筆記試験が免除になるということなので、とりあえずもう一度だけ受けてみようと失意の中考えていました。


3.今年の受験に向けて

 ですが、同じ方法ではやはりまた不合格になるだろうと、以前から噂に聞いていた唯一の海事代理士試験対策の予備校であるというRealの講座の受講を検討しました。私は学生であまりお金に余裕はなかったのですが、様々なプランがあり、私が受講した口述マスターという口述試験対策講座のみを受講することもできたので、受講してみました。


 受講申し込みをすると、早速最新版までの繋ぎとして昨年度版の口述マスターという問題冊子と、音声講座をインターネットで閲覧するためのURLとパスワードが送られてきました。

 冊子は過去問を出題頻度などを考慮の上、暗記しやすいように問題と解答が表裏して配置されており、闇雲に重複した問題まで全過去問を自分でカード化して勉強するより頼りになりそうだと思いました。ちなみに、夏頃には表紙がイラスト付きで見た目も綺麗になった最新版が送られてきました。

 音声講座も、勉強のコツ、科目の特徴、口述試験の練習方法などを知ることができました。

 これだけでもかなり受験対策の教材としては安心できましたが、何よりありがたいと思ったのは、丁寧なメールサポートでした。


 私は去年の受験体験から、整理して編集されているとはいえ、教材が過去問で大丈夫なのかと不安だったので、「去年の船舶職員及び小型船舶操縦者法では過去問と全く違う事例問題が出されたのに、過去問対策では不十分ではないか?」とやや失礼な質問をしました。しかし、「事例問題は全体から見れば一部であるし、条文を丁寧に参照する勉強を心がければその場で事例問題に対応する思考力も養えるし、それよりも例年通り過去問から出される落としてはならない問題を確実に正解することが大切」というアドバイスを頂き、それが何より安心して勉強に励むことができた要因でした。


 夏に最新版の口述マスターが届くまでは別のことで忙しいのもあって、暇を見て昨年の口述マスターをめくったり音声講座を聞く程度でした。今年の試験の申し込みも済んだ10月頃から、本気で勉強を始めました。

 とにかく毎日口述マスターを音読し、暗記すること。疑問点があれば条文に当たること。非常にシンプルな勉強です。それ故に、何とかこれを試験当日まで習慣として徹底しようと心がけました。

 始めの内は、1日20問程度を目安にしていました。しかし問題を読み上げても解答がさっぱり出てこず、結局は解答も見ながら読み上げているだけで、ちゃんと頭に入っているのか不安でした。そして喋る作業に慣れていなかったため、咽が痛くて仕方ありませんでした。ですが、毎日続けているうちに、何となく解答を覚えてきて、1日に音読できる問題数も増えてきました。意識的に毎日少しずつ音読する問題数を増やしていたというのに加えて、やはり口述マスターの冊子が去年の自作の過去問集より圧倒的に効率的に勉強できるように編集されていたのが大きかったです。だんだん解答を覚えてくると、余裕が出てきてあっという間に1冊全部の問題を解答し、ついでにもう1周、と勉強できる範囲が増えていきました。そんな習慣を毎日続けて、試験の一週間前には1日の内に暇を見ては2回、3回と口述マスターを何週もそらで暗唱できるようになっていました。ちなみに、模擬試験をしてくれる相手がいなかったので、インターネットで声優さんの卵にお願いして、問題文を読み上げてもらい、それで1人で模擬試験をやったりもしました。


4.試験当日

 試験当日、前日も完璧に口述マスターを暗唱できていたので、少なくとも過去問の再出題ならば完璧に答えられる、事例問題は落ち着いて分析すればきっと大丈夫、と不安を抑えてスーツに身を包み、厳かな国土交通省まで向かいました。時間にはかなり余裕をもって向かい、受付を済ませた後は口述マスターを黙読していました。緊張もあって口の中が乾くので、地下の売店で眠くはなかったのですが、目が覚めるようにとペットボトルのコーヒーを買って飲んで待機していました。


 試験本番は、4人で1部屋、それが2部屋で実質8人同時に試験場に案内されるため、中々緊張感を煽られます。受験する科目の順番は人により異なりますが、私は一番危惧していた船舶職員及び小型船舶操縦者法からでした。案の定、全く予想もしない事例問題が出題されました。真っ白になりそうな頭でなるべくシンプルに問題を分析し、似た過去問の解答を答えたりしましたが、試験官がいぶかしむような表情をしているのを見て、大人しく「わかりません……」と答えたものもありました。いきなり出鼻を挫かれましたが、メールのアドバイスを思い出して、他の科目を完璧に答えてやる!と次の船舶安全法に臨みました。ここでも手続きに必要な書類について1、2問過去問にない問題が出されましたが、それ以外の再出題問題は完璧に答えられたと思います。時間が余ると、試験官がもう一度解答を聞いてくれる、という試験形態なので最初から問題を出してもらって答えていたら、自分では完璧に解答したと思っていたのに、無意識に言い間違えていたのか、試験官が聞き間違えていたのか、「12人を『超える』ですか?」「はい、12人『以上』ではなく『超える』です」と危なく減点されそうなことがあました。そのようなことがあるので、解答時間は余裕があるとは決して言えませんが、しっかり過去問を暗記していれば時間は僅かに余ります。どんなに自信があっても解答し直しましょう。残りの船員法、船舶法は自信があった上に、完全に過去問の再出題だったので、逆に印象が悪くなるのではと思いつつも、本当にそっくりそのまま口述マスターの解答を機械の様に、されど自信を持ってはっきりと解答しました。


 終わってみた手ごたえとしては、やはり船舶法と船員法は完璧に答えられたとはいえ、去年と同様船舶職員及び船舶職員及び小型船舶操縦者法がほとんど答えられなかったため、ギリギリ受かってるかどうか、というところで、合否については発表日まで考えないことにしました。


5.合格発表

 他の試験と比べて、海事代理士試験の合格発表は早いです。まだ早いとは頭ではわかっていても、ついつい毎日官報をチェックしていました。試験から18日後、官報に海事代理士試験の合格者の受験番号が発表されており、期待半分不安半分で見て見ました。携帯電話から見たので、文字は小さくレイアウトも崩れていましたが、そこに自分の受験番号がありました。やや文字が潰れているので、見間違いではないかと信じられませんでした。国土交通省のホームページでも、合格者が発表されていましたが、それでもまだ信じられませんでした。数日後、自宅のポストに国土交通省からの郵便物の不在通知が届いており、「ああ、本当に受かったんだ……」と実感しました。


6.各科目の対策方法

 科目別に振り返ると、船舶法は口述マスターの科目別アドバイスに書いてある通り、一見解答が長くていきなり大変そうに見えますが、実は非常に簡単で、かつ全体としては他の科目に比べて分量が少ないです。最初は解答の長さと、「登記」が必要かどうかで戸惑ったりしますが、条文や船舶国籍証書の実物を見たり、「登記」の意味を考えて「これは大事なことだから登記が必要だったはずだ」と自分なりに理由をつけたりして、覚えやすいように工夫したりしました。


 むしろ大変なのは次の一見分量も少なく簡単に思える船舶安全法です。「検査の合理化制度」の非常に長い分量と僅かな差異に、つい「これは捨ててもいいかな?」と思ってしまいがちですが、絶対に完璧に対策しなければなりません。実際に、「検査の合理化制度」について出題されましたが、きちんと対策しておいたため、解答を自信を持って解答できました。


 大変な船舶安全法を終えると、船員法で一息つくことができます。この法律は口述マスターでは船舶法の約2倍と一見分量が多く見えますが、内容は非常に簡単なので頑張れば頑張るほど結果が出ます。解答が簡単で余裕があった問題については、自分で条文から補足して解答に追加したりもしました。

 一番の難関は、船舶職員及び小型船舶操縦者法です。解答もやや長く、分量が非常に多いですし、ほとんど覚えたことはそのままは出題されません。しかし、過去問をちゃんと覚えておけば、事例問題を出題されたときに、「多分こうだ」と悪足掻きすることができます。特に私と同じように、口述試験二度目の方はこれだけの分量の過去問を覚えることは無駄なのではないかと思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。「しっかり勉強したんだから大丈夫」という自信をつけるためにも対策を怠らないようにしましょう。


7.最後に

 海事代理士試験は条文と過去問以外に教材がありませんし、実際それ以上の勉強は必要がないとは言いませんが、とても素人がどうにかできる領域ではありません。それこそ、難解な海事法の専門書を何冊も遠回りして読まなければならないでしょう。しかしそれは合格して、「もしかしたら海事代理士になれるかもしれない」という自信を得なければとてもできることではないと思います。ましてや、忙しい社会人の方ならば尚更でしょう。


 そこで、やはり効率的に、専門的なサポートを得られる環境は必要だと思います。同じ過去問でも専門家に編集されたものの方が勉強の効率が違います。効率が全てではありませんが、効率が良いということは限られた時間の中で繰り返し問題に当たれるということです。海事代理士試験は筆記、口述ともにとにかく繰り返しが大切です。ましてや口述は試験直前は勉強を習慣化させていなければなりません。そして何より、勉強法や試験について不安になった時、専門家にアドバイスが頂けること、これが一番心強いのではないでしょうか。少なくとも、私は教材と同じくらい、それに救われたと思っています。

 拙い文章ではありますが、これをヒントに、同じく口述試験を突破し、一人でも多くの方が合格されることをお祈りしております。