吉野家の決算は、過去最大の赤字になるようです。
なぜだろう?
IR上では、
「値下げで遅れをとったことが響き、既存店の客数が前年比20%減まで落ちたこと」
と説明があった様子。
表面的な理由は、そのとおりだと思うのですが、
立地マーケティングの視点で考えると、根本的な理由がありそうです。
吉野家さんの直接の競合としては、松屋、すき屋さんでしょうか。
この3業態の店舗数をまずはみてみましょう。
■店舗数
①吉野家 10年→1179店舗 06年→1001店舗 03年→911店舗
②すき屋 10年→1405店舗 06年→ 691店舗 03年→433店舗
③松 屋 10年→ 786店舗 06年→ 702店舗 03年→522店舗
2003年は、3業態の合計店舗数が1866店舗で吉野家率が48%
2010年は、3業態の合計店舗数が3370店舗で吉野家率が34%
となっています。
3業態の7年間の合計店舗数の伸び率が、なんと1.8倍!!
となっています。
いくらデフレ環境にあり、このような業態には追い風とはいえ、
7年間で1.8倍、日本全国で1500店舗も新規に出店すれば、
競合店の影響が如実に売り上げに表れます。
このような状態になると、売り上げを維持もしくは拡大するには、
近隣にある競合店のパイを食いとらなければなりません。
そこで、すき屋と松屋は、吉野家のパイを奪うために、
利益を度外視して、牛丼のみ価格を下げているのです。
ほかのメニューで利益を上げることができる業態なので。
■参考データ 3業態のメニュー数は、
吉野家→11 、松屋→14、すき屋→30
*松屋は、メニュー数が14となっていますが、
ビビンバ丼やハンバーグ定食などの人気メニューがあります。
*上記は、朝食メニューは除外しております。
03年から10年のような店舗数の伸び率とはならないにしても、
今後ますます店舗が増えていけば、多店舗のパイを奪うために、
牛丼の値段は今の価格以下となり、ますます吉野家は苦しむと思います。
また、直近の決算では、
現金及び現金同等物期末残高が190億円(前期)→130億円(今期)
バランスシートの負債の合計が390億円(前期)→440億円(今期)
と現金がなくなり、負債が増えていることからも、
スピードよく手をうたないと、非常に危険な状態になるかもしれません。
どのような戦略があるのでしょうか?
大きく2つあるのではないでしょうか。
①牛丼を極める
②業態コンセプトを見直す
①は、他者が値下げした価格以上の価値を牛丼で提供する。
吉野家の牛丼は、他者と比べても正直1番おいしい!
よって、私的には、これ以上のものを生み出すのは非常に難しいと思います。
②には、さらに大きく2つの方向があります。
A;松屋のように人気メニューをつくる。
B;すき屋のように、牛丼に特化してレパートリーを増やす。
Aについてはなかなか人気メニューをつくることは非常に難しい。
現に、吉野家でも鰻丼など、いろんなトライアルを近年行っているが、
あまり成功していない??
Bが現実的な戦略のように感じます。
これほどのうまい牛丼を作れるのであれば、
すき屋よりも美味しい牛丼のレパートリーを増やすことは人気メニューを
開発することよりも、非常にたやすいはず!
また、現在店舗数が最大のすき屋のパイを奪うことは、
非常に効果が高い。
牛丼を知り尽くした、吉野家だからこそできる戦略だと思いますが、
いかがでしょうか。