『月光物語』

モンセ・ワトキンス[著]/中田 隆[訳]

(1996.05.20/河出書房新社)





 在日スペイン女性ジャーナリストが

現と幻を自在に往来する日本人の「霊」と

死生観を主題に、哀歓とユーモアをこめて

描く異色小説。


 武蔵野の古寺に数百年棲みついた

戦国武者の霊。

成仏できないまま極楽に行く夢を抱いて

さ迷っていたが、或る日・・・・・・。


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(2/11)


 面白くて心温まる作品です。


 「赤門」では戦国武者の霊が、よっぱらいのおじさんたちに

毛布をかけてあげたり、悪さをする若者たちにイタズラをするなど

心優しい一面も。


 「お願いですから」では、飲酒事故で亡くなった男が妻との

仲直りのためにサラリーマンに頼って助けてもらったりと

この作品がいちばん面白かったです。

”うらめしや~”ってお決まりのセリフなんだなぁと

おかしかったです。


 3作目の「人形」は、すごくステキなお話でした。

関東大震災で亡くなった18歳の女の子が人形に宿り、

青年と恋をしたり、現代のファッションや遊びに興味をもったり

未亡人のために料理を作ったりと悪戦苦闘してる姿が

可愛かったです。


 けっこう、オススメです!!

よかったら手にとって読んでみてください!!