『のんちゃんのふとん』

北川悦吏子

(2010.08.28/角川書店)



Clover

長い間、大きな病気をしていました。

でも、いつも、娘がそばにいました。

入院している時も、心の真ん中に彼女がいました。


人気脚本家、

北川悦吏子が綴った日々のエッセイ。


病に苦しみつつ、

生きる意味を見つめ続けた、

感動のエッセイ。


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(10月13日)


私は、ある事情で手術をすることになり

すごく不安で、一人になりたくて静かな図書館に

行きました。



生きる希望もなく自分がなんのために生きていくのか

なんのために働いていくのか

分からなくなってしまいました。



夢に見ていたことが

絶望的になって毎日泣いてました。



そんなときに、ふと可愛らしいタイトルの本を見つけて

気づいたら手にとって読んでいました。



久しぶりの読書。



静かで少し寂しげな図書館で

夢中で読んでました。



入院中のつらく長い体験や

家族の存在、友人や周りの温かさに触れて

涙があふれてとまりませんでした。



私は、手術をして

大事なものを失います。



望んでいたものを手放してしまいます。



それが今すごく怖い。



気持ち的にも情緒不安定で苦しいです。



でも、この本に出会えてよかった。



知らなかったら、

きっと自殺を考えていたと思います。



現実とも向き合えず

日常にも戻れず

私の人生は幕を閉じていたかもしれません。



”明日は無理かもしれないけれど

もうちょっと先、一週間後、二週間後には

きっと楽になってるって”



信じられるような気がします。



失ってしまうことは怖いし

引きずるだろうけど

でも、いつかは、自分のことを許せるときが

くる気がします。



今は一人ぼっちで

共に歩んで行ってくれる人はいないけれど

いつか、私にも幸せが来ると信じて・・・。