『チェルシー』

桜井亜美

(2004.06.10/講談社)


CLOVER


17歳。将来の希望「死」。

だから、あたしの卒業旅行は樹海です。


ネット掲示板メビウスゼロ」に書き込みをする

チェルシー>と名乗る少女。

その掲示板では、集団自殺旅行フェアウェル・ツアー』が

計画されていた。

気怠い毎日に感じるぼんやりとした苛立ち。

そして、そこからの逃亡。

チェルシー、ポッキー、プリッツ、ハイジの4人は、

富士の樹海を目指す。

へと向かっていく少女たち、スリリングな旅の果てに

たどり着く場所は-。


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(05/30)


これすごく読みたかった作品。

表紙の女の子が可愛いんだけど、

内容は、とてもダークで重い。


Coccoの「樹海の糸」の歌詞が冒頭にあって、

私も大好きな女性歌手だったから、すごく嬉しかった。


自殺の方法は、一酸化炭素中毒による練炭自殺。

以前、よく自殺の方法として用いられて

事件にもなってたよね。

でも、あれってマンションとかでやられると空気が充満して

他の人にも迷惑かけちゃうらしい。


そして、富士の樹海。

自殺の名所として有名なとこだよね。

修学旅行だったか、遠足だったか・・・

忘れてしまったんだけど、富士の樹海の洞窟探検が

あって、すごくキレイな場所だった。


自殺する人が多いから毎年、警察やボランティア(?)

自治体の人たちが、遺体を回収するっていうのを

テレビで見たことある。

あと、自殺を食い止めようと、辞めさせようとするドキュメント

番組が確かあった気がする。


でもさ、「自殺するな!」って何に悩んでるのか話を聞くのは

いいけれど、その後のことって意外と無関心なんじゃない?


だって、死にたいなって思うことは、

日常のどの場面においてもみんな思うことあるけど、

いざ実行するのって、ためらわれるし、迷うじゃない?


でも、死のうと思って実行にうつすってことは、

もう迷いがない状態だと思うんだ。

この世に未練も執着もなくて生きているのが辛いって

ことでしょ?

その人にとっては、すごく重大なことなのよ。


それを「自殺はよくない。」とか

「生きたくても生きられない人たちがいるんだから。」とか

言われても、自分は自分、他人は他人だから、

話を聞いてもらってその時は、自殺を辞めたとしても、

根本的な解決なんてされてないし、

結局は自分の足でまた歩いて行かなくちゃいけないんだし、

また壁にぶつかるんじゃない?


それに死にたくて死のうとした人ばかりじゃないと思うんだ。

生きたくても、どう生きていけばいいのか

分からない人たちが多いと思う。

みんな直面してる現実はそれぞれ違うし,

だから、簡単に言わないでって思う。


だって、イジメとかあるじゃない?

イジメってさ、いじめられてる側からは何も行動に

うつせないときがあるんだよ。


ただ耐えるか、家族に相談したり、先生に相談したら

もっとひどいことされるって分かってるから。


だから子供の自殺が絶えないんだよ。

いじめる方が悪いんだけど、でも、いじめてる子も

何が気に入らなくていじめてるのか分からない子が大半で

みんながそうしてるからとかっていう理由。

自分は関係ないって無関心な子もいるし、

どんどん逃げ場がなくなっていくんだよ。


自殺っていろんなことが重なってて

家庭不和だとか学校・職場とか人間関係の疲れとかさ

すごく複雑で繊細な問題だから、

難しいんだよね。


でも、RADWIMPSの「ヒキコモリロリン」

初めて聞いた時泣いた。


すごく深い言葉。