『たちの悪い話』
バリー・ユアグロー[著] 柴田元幸[訳]
(2007.02.25/新潮社)
毒入り、危険。
正義は勝つ、愛は地球を救う、
「人間捨てたもんじゃない」と思いこんでるあなた!
あなたの周りは悪意がいっぱい。
転ばぬ前にご一読を。
クセになる、爽快な黒さ。
しょうもない世界の私達の物語、43連発!
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(04/30)
物語の冒頭から衝撃が走ります
「両親」では、突然、お前は私たちの子供ではない。
本当の両親が今から迎えに来るから荷物をまとめて
出て行け!という理不尽な話から始まり、
「守護天使」では、危機的状況の人間をあっさり
見捨てて去ってしまう天使の話。
天使がトイレにこもって漫画を夢中で読んでいた・・・、
なんて想像するだけでなんだかすごく面白い
「ゴースト・ストーリー」では、幽霊が人間の女の子を
驚かすが恋をしてしまい、謝りに行ったら反対に
ひどい逆襲を受けてしまった話や、
「昆虫店員」では、人間になりたいハエの話で
衣料品店で新米店員として働いていたが、
人間のような体格と外見の気持ち悪さが目立ち、
お客様や従業員からの苦情でクビになってしまう。
ハエの切実な思いが伝わってくる話
「リアクター#2」のナマズの話も切なかった。
任務を全うするべく旅に出るも人間に釣られてしまい
食べられてしまう。
そのほかに、「孤児」や「列車」「ココア」などホラーものも
含めた大いに悪意に満ちたシュールな作品集。
≪著者プロフィール≫
バリー・ユアグロー Barry Yourgrow
南アフリカ生まれ。10歳のときアメリカへ移住。
シュールな設定ながら、思いつきのおかしさだけで
終わるのではなく、妙にリアルで、時に切なく、
笑えて、深みのある超短篇で人気を博す。
敬愛する作家・アーティストは、
ロアルド・ダール、北野武ほか、また「ヒッチコック劇場」
「トワイライトゾーン」などのTV番組にも大きな影響を
受けたという。