『夜市』
恒川光太郎
(2005.11.30/角川書店)
幻想的かつ端正な文体、
そして読む者の魂を
揺さぶる輝石のエンディング。
大学生のいずみは、高校時代の同級生・裕司から
「夜市にいかないか」と誘われた。
裕司に連れられて出かけた岬の森では、
妖怪たちがさまざまな品物を売る、この世ならぬ
不思議な市場が開かれていた。
夜市では望むものが何でも手に入る。
小学生のころ夜市に迷い込んだ裕司は、
自分の幼い弟と引き換えに「野球の才能」を買ったのだとういう。
野球部のヒーローとして成長し、
甲子園にも出場した裕司だが、弟を売ったことにずっと
罪悪感を抱いていた。
そして今夜、弟を買い戻すために夜市を訪れたというのだが-。
選考委員が驚嘆・畏怖した類い稀なる才能の登場!
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(3/3~5)
最初、慣れるまでにちょっと時間がかかったけど、
内容が濃くて、ちょっと説明しすぎな印象も受けたけど、
”夜市”に迷い込んだら、なにか品物を買うまで出られない、
というのはなんとなく怖かった。
でも、「夜市」より、収録作品の「風の古道」の方が好きかな。
異世界(あの世)とこの世をつなぐ道があって、
ある日、迷い込んでしまった少年2人に降りかかる危険。
この世と異世界を渡り歩いている連続殺人犯もいたりして
こんな世界が本当にあったら怖い・・・。