『ナイトメア 心の迷路の物語

小倉千加子

(2007年/岩波書店)



FANTASISTA



「私を責めるもう一人の私がいるんです」


突然届いた、

見知らぬ女子学生からの手紙。


現代日本をおおう、心の闇をめぐる物語がはじまる。



若い人には「人間関係」しか存在しない。

若い人は「関係」だけに生きるというより「働く生活」というものが

存在しないので、他人との「関係」でしか自分を確認することができない。

だから、よほど「内面」に敏感なのだ。

社会に出ると、人間は「関係」を徐々に失い、必然的に

「内面」をも失っていく。

しかし、ナイトメアは決して「内面世界」を手離さなかった。

(本文より)