【名曲リレー1202】i'm#2
■I'm In Love Again / Pat Upton('78)
ジョン・ハンコック監督の映画「カリフォルニア・ドリーミング」(主演はグリニス・オコーナーとデニス・クリストファー)は78年という時代を全く感じさせないサーフィン周辺の青春映画で、意識高い系の人たちはバカにしてたけど僕はとても好きでした。そのサントラに入った”I'm In Love Again”はメロディアスなバラードでてっきりパット・アプトンというのは女性だと信じ込んでたのでした。時は流れて、アプトンが”More Today Than Yesterday”のヒットを放った、ソフトロック系のスパイラル・ステアケースのvoだったと知ったときはホントにびっくりだったのです。
【名曲リレー82】again#2
■Once Again Love Song / Natural Gas('76)
ナチュラル・ガスは、バッドフィンガーのジョーイ・モランド(g,vo)、テンペストのマーク・クラーク(b,vo)、ハンブル・パイのジェリー・シャーリー(ds)、そしてピーター・ウッド(kb)の4人組。76年当時パワー・ポップという言葉が、今のように使われてたかどうかは不明ですが、今の耳で聞けばバッドフィンガーの流れのパワー・ポップ(当時の言葉だとポップ・ロックか)。リリースはPrivate Stockという関係で東芝EMIから日本盤が出てました。テンペスト、ハンブル・パイというメンバーの肩書はこの場合、重荷になるばかりでレコード会社の思惑とは裏腹に音は相当にポップ。モランド作の美しいメロディーの"Once Again Love Song"は本当に名曲だと思う。コロシアム~ユーライア・ヒープ~テンペスト~ナチュラル・ガス~レインボウ~マウンテン~ビリー・スクワイア~コロシアムと言うそうそうたるキャリアがあるマーク・クラークという人はもっと注目されてもいいはず。prodはフェリックス・パパラルディでした。
【名曲リレー83】again#3
■Back On The Street Again / Sunshine Company('67)
サンシャイン・カンパニーは60's半ばによくあった男女混成voのソフトロックです。メアリー・ナンスとモーリー・マンソウのvoをフィーチャー。最大のヒットとなったのが67年の”Back On The Street Again”(#36)で、これはVanguardからLPを出してるスティーヴ・ジレットの作品でした。ここのリズム隊は解散後、ロギンズ&メッシーナのバックを担当します。
【名曲リレー84】back#2
■Come On Back / Paul & Richie & Cryin’Shames('66)
誰も知らんやつをそっと入れてみる。ポール・クレイン(後にゲイリー・ウォーカー&ザ・レイン)とリッチー・ルスレッジによるクライン・シェイムスによる英サイケのシングルです('66)。prodはジョー・ミークでチープな感じがなかなかカッコイイ。See For Milesから出てた英サイケのコンピ「Great Psychedelic Trip」で知りました。
【名曲リレー85】back#3
■Don't Look Back / Boston('78)
ボストンは、70's後半のアメリカのティーネイジャーには避けては通れなかった存在だろうなあ、と今になって思います。遠く離れた日本でもこの2枚目「Don't Look Back」のリリースを首を長くして待っていた少年がいっぱいいたはず。76年のデビュー作は「幻想飛行」という、シングル"More Than A Feeling"が"宇宙の彼方へ"という邦題が付いたこと、ギター型宇宙船のジャケット、折からのSFブームに乗ってそういうイメージで日本では売られたけど、歌詞の内容などから、小難しい事のないシンプルなロックンロールバンド、覚えやすいメロディーのハードロックバンドでした。ただ黒人音楽からの影響がほとんど見られない、新しい世代のメロディアスなハードロック。リーダーのトム・シュルツの考えに考えた緻密なギター・ロックは、非常に白人的でクリーンなイメージ。猥雑な感じ、ロックンロールの持つ危険な魔力はなく、親子で楽しめるロックコンサート的な明るいイメージがあります。ショルツと言う人は、LP時代から音響、音質に過剰なこだわりを見せた人(「No Synthsizer,No Computer Uses」のクレジットは有名)らしいです。当時の日本盤LPのライナーもサウンドチェックに言及した部分が多かったです(ファーストのライナーでいまいずみひろし氏が、これからは文系~アートスクール出身のミュージシャンよりも理系のミュージシャンが増えてくる、と言う記述は、来たるべくテクノの時代の予言だったと思います)。
"Don't Look Back"は、ギュワ~ンというgのリフが広がりのある空間に伸びてゆく様が今もって気持ちいいのです。個人的な聞き倒し度ではファーストよりもセカンドの方が上でした。最高位#4。