【名曲リレー66】world#2

■The World Became The World / PFM('74)

門外漢なんで深く語りませんけど、PFMで一番好きなのはやはりこの"甦る世界"です。ピート・シンフィールドのprodで英語で録音し直した「Photos Of Ghosts」で世界デビュー(リリースはELPのレーベル、Manticoreから)を図ったイタリアのPFMのワールドワイド第2弾が「The World Became The World」('74)です。このタイトル曲は歌い上げる感じといい、メロトロンの嵐としいい、クリムゾンの抒情的な部分を拡大解釈したドラマティックなプログレッシヴ・ロックです。本作はイタリア語ヴァージョンもあります。

 

 

【名曲リレー67】world#3

■Crazy World / Climax Blues Band('79)

初期にはゴリゴリのシカゴスタイルのブルーズロックを聞かせたクライマックス・ブルーズ・バンド(当時はクライマックス・シカゴと名乗っていました)も、フリートウッド・マックと同じように早い時期にブルーズへの強いこだわりを捨て、徐々にポップなメロディーとファンキーなarrで共に脱ブルーズを図ってきました。この2バンドに共通するのは、180度の転換ではなくゆったりと変化してきた事で、よってアルバム評には「初期のブルーズ・ロックから離れアメリカナイズされた~」という形容詞が並ぶ事となります。もっとも熱心なファン以外はその変化はわかりにくいです。

73年の「Rich Man」(Harvest)で、すでにプログレ風、ボ・ディドリー風といろんなスタイルに挑戦していましたが、この傾向はレーベルをBTMに移しての「Stamp Album」あたりから顕著になります。76年の「Gold Plated」から"Couldn't Get It Right"が#3(米)とヒットしたのも幸い、マーケットをアメリカにしてラジオでかかりやすいメロディアスなナンバーが量産されました。それでもブルーズへのこだわりは残っており、セールス的に不発だった79年の「Real To Reel」(Sire)では、ピート・ヘイコックの泥臭いslideがたっぷり聞けます。後にクラプトンが得意とするブルージーな歌もの、といった感じで少々早すぎた感もあります。"Crazy World"は、メロウなAOR風ブルーズ・ロックで、ヘイコックのgが歌と歌の間を埋めます。voはデレク・ホルト。

 

 

【名曲リレー68】crazy#2

■Somewhere Down The Crazy River / Robbie Robertson('87)

「The Last Waltz」から10年、ロビー・ロバートソン待望の初ソロには大いに期待したことは事実です。87年といえば、再結成ザ・バンドの2度目に来日も終わり、やや新鮮味がうすれた時期です。前年にリチャード・マニュエル自殺の報せが届き、古いレコードに手が伸びたファンも多かったといいます。僕自身まだまだ買うのはLPでした。U2を手がけたダニアル・ラノワとの共同プロデュースで、Geffenからリリースされた「Robbie Robertson」は、それまで単発のサントラでいくつか聞く事が出来たロビーの歌をたっぷりと聞かせます。もちろん87年らしい打ち込みの音ですが、その辺はあまり気にしなかったなあ。マニュエルに捧げた"Fallen Angel"もいいですが、やはり”バックシートでリトル・ウィリー・ジョンを聞いている”という歌詞が印象的な"Somewher Down The Crazy River"が一番好き。クリップに出てくる美女はマリア・マッキー(何んとも妖艶な表情)でマーティン・スコセッシが監督。印象的なコーラスはボディーンズのサミー・ボディーン(ラナス)。

 

 

【名曲リレー69】crazy#3

■Crazy Little Thing Called Love / Queen

今では「The Game」に入ってるんで何となく感覚違いますが79年当時は、バック・トゥ・60'sのムードの中エルヴィスっぽい感じが新鮮だったクィーンの"愛と言う名の欲望"です。この邦題結構うまいと思いますね。先行シングルと言うよりは単独リリースのシングルでした。しかしフレディー・マーキュリーの美意識(非ロック的なものも受け入れる大衆的エンターテイメント満載の)なセンスとは個人的に全くリンクしないんで(^^)このクリップ見たのも相当久々でした。

 

 

【名曲リレー70】little#2

■Little Red Riding Hood Hit the Road /Robert Wyatt

出会いのタイミングってあると思います。マッチング・モウルの"O Caroline"だけしか知らない状態で、再発されたばかりの「Rock Bottom」を買ってなんてすばらしい音楽があるのかと感激した高2の夏でした。これが「そっくりもぐら」もしくはマシーン時代(それらは当時の僕には未知のもの過ぎました)などを聞いてからなら買う事もなかったでしょう。「Rock Bottom」はロバート・ワイアットのセカンドソロで、事故後の第1作。ニック・メイスンがprodでカンタベリー、ヴァージン関係者が参加と言うにも魅力ですがなによりもわかりやすかった(それは後にファーストやサード、さらにもぐらを聞いて余計そう思いました)。ラストに入った”Little Red Riding Hood Hit the Road ”は、マイク・オールドフィールド(g)、ローリー・アラン(ds)、リチャード・シンクレア(b)、フレッド・フリス(viola)というそうそうたる面々(ゴング。キャラヴァン、ヘンリー・カウのカンタベリー・オールスターズ!)がバック。後半は、フリスのviolaをバックにしたアイヴァー・カトラーの朗読で呪術的ですらあります。