【名曲リレー56】midnight#2

■Midnight Flyer / The Eagles('74)

「真のウエスト・コースト魂。それはヒューマンな感性を支えるプログレッシヴ。バーズ→ジェファーソン→CSN&Yと築かれてきた真髄。新メンバーを加え、超強力になったスーパーグループ”イーグルス”が、絶対の自信を持って贈る傑作3段目!」(原文ママ)

これは当時の「On The Border」の日本盤(ちなみに東芝音工から出なかった最初のイーグルスのアルバムでした)LPの帯の文句。なんだかよくわからないけど、ワーナー・パイオニア洋楽部(この頃はよかったのです、まだ)の熱さが伝わってきます。2曲だけですが新加入のフェルダーの存在がバーニー・レドンに与えたプレッシャーは大きかった、というのはのちのインタヴューでグレン・フライが語っていたことですが、それはまた次作以降の話でしょう。そのバーニーがbanjoを弾く軽快な"Midnight Flyer"は、ランディー・マイズナーが歌うカントリー・ロック。軽快なコーラスが印象的です。作者はセルダム・シーンというブルーグラス・バンドのssw、ポール・クラフトで、オズボーン・ブラザーズのカヴァーです。歌ってるのはランディですが、取り上げたのはバーニーの意向という気もします。長い間クラフトという人は謎の人物だったのですが、リンダ・ロンシュタットが「Heart Like A Wheel」で歌った"Keep Me From Blowing Away"(エリック・カズ作の"Blowing Away"とは別曲)の作者でもあります。

 

 

【名曲リレー57】midnight#3

■Midnight Rocks / Al Stewart & A Shot In The Dark('80)

アル・スチュワートというと、英フォーク・ファンにはCBS時代の作品が人気ですが、ラジオから流れた"Year Of The Cat"に夢中になった世代としては、まずはリアルタイムなRCA時代です。79年7月の来日公演は、その少し前にやってきたイアン・マシューズ同様、久々の英国からやってきたssw(音はアメリカナイズされていましたが)として、プレスの評はおおむね好意的でした(愛の吟遊詩人対決とか言われてた)。そこでバックをつけていたのは、ショット・イン・ザ・ダークでした。映画ピンク・パンサー・シリーズの前日譚ともいえる「暗闇でドッキリ」の原題をバンド名にした、A Shot In The Darkは、アル・スチュワートのバックをつとめていたアコギの名手、ピーター・ホワイト(g)を中心とした5人組で、ナチュラル・アコースティック・バンドのクリシア・クリスティーナ(≒クリシア・コクジャン)(kb,vo)、バイザンティウムのロビン・ランブル(b)、アダム・ユアマン(g)、ブライアン・サヴェイジ(sax,fl)がメンバーです。80年にRSOからバンド単体としてもデビューしましたが、フリートウッド・マック・タイプの男女voのポップ・ユニットとして僕は結構面白かったのですが、間もなく解散しています。

さて「Time Passage」に続く「24 Carrots」は、過去の出来事に題材を借りたおなじみの「吟遊詩人」ぶりで、テーマは冷戦下のスパイから17世紀の移民の話まで幅広いです。音は今となってはありふれた感じのポップですが。"Midnight Rocks"は、アルとクリシアのデュエットでうたわれるナンバーで、シングル・カットされて#24まで上がったロマンティックなナンバー。後半のサヴェイジのsaxはお約束です("Year Of The Cat"のヒット以来シングル曲にはしばらくsaxが入る事が当時のお約束でした)。

 

 

【名曲リレー58】rock#2

■Rock My Plimsoul / Jeff Beck('67)

ロッド・スチュワート(vo)、ロン・ウッド(b)をフィーチャーした第1期ジェフ・ベック・グループの「Truth」('68)に入った”Rock My Plimsoul”は、元々はベックが歌うシングル"Tallyman"のB面でした。こちらはエインズレイ・ダンバーがdsを叩いてましたが、ポップ路線に嫌気がさして脱退、ミック・ウォーラーに代わって録音されたのが「Truth」のアルバム・ヴァージョンです。意外とこのシングルヴァージョンが好きで、今日はこっちを紹介(ややテンポが速い)。作者はジェフリー・ロッドとクレジットがありまして、ベックとロッドの共作になりますが、元ネタはB.B.キングの"Rock Me Baby"です。ポップ路線で色々口を出してくるミッキー・モストがドノヴァンのprodにかかりっきりの為ベックは比較的自由にやれたと語っていたとか。

 

 

【名曲リレー59】rock#3

■Rock And Roll Time / Roger McGuinn('76)

ディランのローリング・サンダー・レヴューから派生したロジャー・マッギンの「Cardiff Rose」('76)は繊細なリトグラフのジャケが印象的な1枚ですが、強力なロックンロールな1枚でもあります。ここに入ったクリス・クリストオファソンとの共作になる"Rock And Roll Time"は僕はボブ・ニューワース(この人もディランのRTRに関わってましたね)のアルバムで知りました。

 

 

【名曲リレー60】time#2

■Your Time Is Gonna Come / Sandie Shaw

この”Your Time Is Gonna Come”は、世界初のレッド・ゼッペリンのカヴァーと言われてましたが真偽のほどは不明。但しゼッペリンのファーストもこのサンディー・ショウの「Reviewing Situation」も同じ69年に出て、かなり早い時期のカヴァーなことは確かです。なんでもdsはイアン・ウォーレスらしいです。60's半ばにはクリス・アンドリュースによるポップソングを裸足で歌ったことで有名(一番知られてるのは80'sにネイキッド・アイズがカヴァーした"Always Something There To Remind Me"ですね)ですが、アイドル・シンガーとしての旬は過ぎてしまったサンディー・ショウ(すでにヒットから遠ざかっています)が、同時時代の作家の作品を取り上げニュー・ロック時代に対応しようとした1枚だと思います。