カール セーガン, Carl Sagan, 岡 明人, 五十嵐 道子, 辻 篤子, 瀬川 茂子
 惑星へ〈上〉
 何で天文学系の学者さんっていうのはロマンチストが多いのか?
 いや、そこが好きだから全然構わないんですけどね。
 しかしこの著者は私が今まで読んだこの系統の本の中では
 一番夢見てる度が高かった。
 科学者は夢幻の旅人か…いいねえ、そのまま突っ走って!
 ダレン シャン, Darren Shan, 橋本 恵
 ダレン・シャン―奇怪なサーカス
  全十二巻とあるけれど個人的に全三巻としたいところ。
 そう思わせるくらい、四巻以降の物語の流れは正に少年漫画のそれだった…。
 塔だの試合だの試練だの、出来の悪いファンタジー漫画かと(以下略)
 良作だとは思う。しかし三巻までの出来が善すぎて、
 四巻以降読む気になれないという何とも個人的に複雑な作品。
 リチャード ダンブロジオ, Richard D’Aambrosio, 関口 英男
 ローラ、叫んでごらん―フライパンで焼かれた少女の物語
 超感動の物語!!というからさぞや大仰なお涙頂戴な作風なのだろうなと
 思って最初手を出すことに引き気味だったのですが、
 実際に読んでみると精神科医としての視点から、冷静に一人の少女が
 自己の世界から脱け出していく様を忍耐強く綴ったものでした。
 あくまでも医師としての、職業的な視点からの考察であったことが個人的に好感。
 野田 邦弘
 イベント創造の時代―自治体と市民によるアートマネージメント

 今や文化都市として名高い横浜市の市役所で働いた著者の実体験から

 公共政策についての言及。

 お役所言葉はもうどうしようもないとしても、下の本よりかは

 相当タメになる話が多かった。横浜はやっぱり凄いなあと思う反面、

 我が区の文化政策の惨状を顧みて切なくなったり。

 小暮 宣雄
 アーツマネジメントみち―社会に未知、まちにダンス

 アートマネジメントを学び始めたばかりの頃に読んだ本、

 私はこの本を読んで京都橘大の存在を知りました。面白い事やってるなあ。

 実際に見聞きしたことや体験したことを中心に構成されているので

 現場の声を届ける役目に一役かっている。WEB日記を本にしたような感じ。

 平野 啓一郎
 日蝕

 平野啓一郎「ロマンティック三部作」の第一部にしてデビュー作。

 物凄く正直にぶっちゃけると、何故ここまで評価されているのか分からなかったり

 するのだが。中々野心的な作品だとは思うけれど……芥川賞?

 思想を重視するあまり、独り善がり的な出来になってしまっていると感じた。

 平野 啓一郎
 一月物語
 平野啓一郎は幾つか読んだけれど、矢張り初期の「日蝕」「一月物語」「葬送」の、
 「ロマンティック三部作」が一番良かったかなあと思ってしまう。
 特にこの「一月物語」は表紙に違わず耽美路線一直線な所が実に善い(笑)
 美しい日本語が好きな人、泉鏡花ばりの怪しげな色気が好きな人は
 是非一読して悶えて欲しい感じ。
 平野 啓一郎
 葬送〈第1部〉
 二人の男と一人の女がパリを舞台に広げる日常と非日常の三年間。
 読み終えたばかりなものだから「ユリシーズ」と似ているなあと思ってしまった。
 まあ設定だけだけどね。 しかし同じ長大小説ながら、
 あちらに比べて此方は大変自分好み。多分、核となる登場人物が
 作家と画家と音楽家というアーティストに絞られているからだと思う。
 そういう意味で個人的にとても興味深い作品。
 ジェイムズ ジョイス, James Augustine Aloysius Joyce,
 丸谷 才一, 高松 雄一, 永川 玲二
 ユリシーズ〈1〉
 二十世紀最大の文学だか英米文学の登竜門だか知らないが、
 仕事で疲れた現代人が息抜きに読んで楽しむ類の本ではないことだけは確か。
 暇で暇でどうしようもないとか、フルに頭を使ってみたいとか、
 心に浮かぶよしなしことを徒然なる侭に書いた本に興味あるわ、という方にはお薦め。
 作品自体のクオリティは高いです。
 竹下 文子, 鈴木 まもる
 旅のはじまり - 黒ねこサンゴロウ <1>
 猫!船乗りのハードボイルドな猫!
 小学生の時に夢中になって読んでいた記憶があります。
 兎に角主役のサンゴロウが格好良かった。燻し銀の渋い男(オス)だった。
 どこか突き放したような作品の雰囲気は、後年の私の読書嗜好をほぼ
 決定づけています。自己の喪失と模索がメインテーマか。
 五巻「霧の灯台」は本シリーズ中の白眉です。