つい先日、スコットランドの歴史の本を読みましたが、今回はエリザベス女王ご本人の歴史を読みました。
 
崩御なさってから改めてエリザベス女王の歴史を目にすることが多々ありましたが、じっくりと本で読むと本当に凄い方だったんだなと思いました。
 
父であるジョージ6世が早くに亡くなったため、23歳という若さで女王に即位なさったエリザベス女王の苦悩は計り知れないと思いました。
 
日本の天皇陛下は日本国の象徴であるため、政治に関する権利を持ちませんが、イギリスは立憲君主制であるため、政治的な権力をお持ちです。
 
そう考えると、若い女性が(いくら帝王学を学んでいたとはいえ)、一国の責任を担う立場に置かれ、70年に渡り在位し続けたことは本当に凄いことだと改めて思いました。
 
 
 
 
 

 

 

 
この本は2020年2月に出版された本です。
 
そのため、エリザベス女王の生涯をすべて網羅されているわけではありませんが、つい最近のことまで詳しく書かれています。
 
しかも、とても読みやすく分かりやすい本でした。
 
皆さんもご存じだと思いますが、エリザベス女王はイギリスの女王であるだけでなく、イギリス連邦加盟国の首長でもあります。
 
現在、イギリス連邦加盟国は53カ国に上っており、この数は増減しますが、2年に1回持ち回りで首脳会議も行われています。
 
ここ数年は若い王族が女王の代わりに首脳会議に出席していたようですが、それまでは首脳会議が行われる国に女王が出向いて出席していたようです。
 
加盟国に対する細かい心遣いや各国の情勢をきちんと勉強なさってる姿勢などが、各国の首脳に信頼され、エリザベス女王にずっとコモンウェルスの首長をつとめてほしいという要望がずっと強かったようです。
 
エリザベス女王崩御後に即位なさったチャールズ3世がそのままコモンウェルスの首長を引き継ぐようですが、女王のような求心力や信頼が得られるのかどうかはよく分かりません。
 
イギリスのことだけ考えていればよいわけではなく、コモンウェルス加盟国のことにも心を砕かなければならないというのは、とても大変なことだと思いました。
 
この本ではエリザベス女王の人生がこと細かく書かれていますが、女王はとにかく家族のトラブルが多くて大変だったということを知りました。
 
チャールズ3世(元皇太子)の不倫問題、ダイアナ妃との離婚は有名ですが、アン王女の離婚、アンドリュー王子のスキャンダル、孫のヘンリー王子の王室離脱問題など、とにかく次から次へと家族問題が巻き起こり、このことは女王にとって頭の痛い問題だったと思います。
 
国を統治し、家族の問題も抱え、国民の王室に対する支持率なども考慮するのは、並大抵のことではありません。
 
唯一女王にとって幸せだったのは、フィリップ殿下がずっと女王を支え続けてくれたことではないかと思います。
 
家族問題や国の統治について思い悩むことがあっても、フィリップ殿下がそばにいてくださったことは、女王にとって大きな励みだったことでしょう。
 
とにかく70年に渡る在位期間中には様々なことがあり、人生というのは女王であっても幸せも困難も普通の人と同じようにあるのだなあとつくづく思う本でした。
 
とても分かりやすい本だったので、著者の君塚先生が新しい本を出版なさったら読んでみたいと思いました。