私がスコットランドに留学したのは20代初めのことです。

 

当時は英語をネットで勉強するという環境などもちろんなく、地道に座学で文法を勉強したり、英会話スクールに行って勉強したり、NHKのテレビ講座などを使って勉強していました。

 

なので、留学した時の私の英会話力は本当に大したことなく、単語はわかっていてもなかなか出てこなくて、スーパーでの買い物でもモタモタするような状態でした。

 

私は当時、スコットランド人家庭にホームステイしていたのですが、私の他にもドイツ、スペイン、イタリアからの留学生が一緒に住んでいました。

 

彼女たちは「なんで語学留学の必要があるの?」というくらい英語はペラペラで、たどたどしい英語しか話せない私をいつも助けてくれました。

 

バスの乗り方、スーパーのレジでの支払い(自動レーンに商品を買う商品をのせる)などが分かっていなかった私に、一緒について行ってくれてすべて教えてくれました。

 

イタリア人の友人は敬虔なカソリック信者で、キリスト教に全く縁がなかった私を日曜のミサに連れて行ってくれました。

 

オマーンから来ていた友人は中東料理のレストランに連れて行ってくれて、生まれて初めてタジン料理やクスクスを食べました。

 

私は本当に友人や周りの人に恵まれ、留学先で孤独を感じることはありませんでした。

 

当時、私が留学していたスコットランドの地域には日本人留学生どころか、アジア系の留学生も少数しかいませんでした。

 

もしそんな中で助けてくれる友人や知人がいなかったら、本当に孤独だったと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この本の著者はイギリス王室や環境問題などについて執筆なさってる多賀幹子さん。

 

イギリス王室のコメンテーターとして、よくテレビで拝見する方です。

 

この本では主にイギリスでの孤独対策が書かれています。

 

私も留学していた時に感じたのですが、イギリスでは自分から助けを求めないと本当に孤立する状況になってしまいます。

 

ただ、自分から助けを求めれば、誰かしら手を差し伸べてくれて、親切にしてくれます。

 

この本では世界で初めて「孤独対策大臣」を置いたイギリスの対策について詳しく書かれています。

 

孤独対策に対応する慈善団体が多数あることはもちろん、教会のチャリティーイベントなど孤立を防ぐための対策がそこかしこにあります。

 

教会のチャリティーイベントは私も参加したことがあり、そこで知り合ったスコットランド人の友人とは今でも連絡を取り合っています。

 

宗教に勧誘されるわけでもないし、特にいろいろ言われるわけでもないので、私はたまに寂しいなと思ったときにその教会に立ち寄りスタッフとお茶したりすることもありました。

 

以前はパブが人とのつながりを提供する場になっていたのですが、現在は健康志向から若い人があまりパブに行かなくなり、その代わりコーヒーチェーンなどでコーヒーやお茶を飲む人が増えたとのこと。

 

そのため、イギリス最大手のコーヒーチェーン「コスタ」では週に数回、一人で来ているお客さん同士を同じテーブルで会話するチャンスを提供する取り組みもやっているそうです。(もちろん強制ではなく、希望者のみ)

 

日本ではなかなかないのですが、海外だと隣のテーブルに座ってる人と話をすることもあります。

 

コスタの取り組みは導入しやすい方法だなと感心しました。

 

また、この本ではイギリス王室のメンバーが慈善団体などのパトロンになっており、知名度を生かして寄付を募ったり、その活動を支援していることが詳しく書かれていました。

 

半分はイギリスの孤独対策について詳しく書かれていてよかったのですが、後半部分はあまり孤独対策と関係ない話が続き、その点についてはちょっとなあと思いました。

 

が、多賀さんご自身がこの本を執筆なさる直前にご主人を亡くしており、ご主人を亡くした直後という状況を考えると「孤独」というテーマ自体が多賀さんにとってキツいテーマだったと思いますし、本の構成的にまとまりがなかったのは仕方がないことだと思います。

 

(私も前夫を亡くした時はその後2年間、心身ともに本当に大変でした。)

 

日本でも孤独問題が取り上げられることがありますが、イギリスの孤独対策はかなり進んでいるなと感じました。

 

文化や宗教、考え方の違いなどはありますが、イギリスの取り組みで導入できそうな部分は日本にも導入したらいいんじゃないのかなと思いました。

 

「寂しいな」と思ったら、ふらっと立ち寄れるような場所が日本にもあればいいなと思うし、コスタのような取り組みを日本だったらドトールとかスタバでやってみてもいいんじゃないのかなと思いました。

 

これから孤独は誰にとっても重要な課題になるでしょうから、自分はどのように対応したらいいのか、社会はどのように取り組むべきかを考えておいたほうがいいのではないかと思いました。