とても読んでみたかった作品である。
機上の人である時間に読みふけった。
田舎で小説家である若い夫婦が、ゆるく無理せず暮らしている。
登場するご近所さん、野良犬、動物達が愛くるしくカタカナの名前で呼ばれる。
この表現の仕方にとても憧れた。

物語りとしては、主人公の「ツマ」(言い方が紛らわしいが)が幼い頃、おそらく狭心症で一年入院した際に愛読していた絵本に出てくる黄色いゾウとのファンタジーな内容ががところどころに現れる。
その大道とは別に、大人っぽい小学生の恋や、人の死に対する心の変化、夫が決意した昔愛した人の救済など、本当に面白く愛すべき仲間達が描かれている。
私は小説としてこの作品を読んでいた際に、他の作品とは全く違う感覚で読んでいた。
情景が容易に想像できるのである。しかも非常に地味な田舎町にある普通の家の縁側に仲の良い人たちが集まって談笑し、まるでスローライフを体現しているような想像が頭をめぐる。
夫婦愛や人間愛、さらにはユーモアが散りばめられたこの作品は、またいつかじっくりと読み返したいと思った。
きいろいゾウ (小学館文庫)/小学館

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