このブログもめでたく第6回を迎えることができた。

今回は、内藤誼人氏による『ビビらない技法 やさしいあなたが打たれ強くなる心理術』

(大和書房)をご紹介していきたい。

 

本書は2014年に同社から出版された書籍の文庫版として再登場した本である。また

著者の内藤氏は心理学者である。

 

まず、私の中で最も印象に残った個所を以下に引用することにしたい。

 

  心理学では、劣等感が強ければ、強いほど、それを補うための努力をすることが

 知られている。これを「補償」という。

  「俺は、頭が悪い」
 というコンプレックスがあればこそ、人よりもたくさん読書をしたり、教養を身につけよ
 うとして、かえって知的な人間になれる。
 
これは「コンプレックスを活かす方法」という項目で述べられている文言である。私は
もともと頭がよろしくない。理由は、職場で「あなたの言っていることはよくわからない」
と何度も言われたり、友人に(私のいないところで)「あいつは日本語しゃべってない
じゃん」と言われたりした経験があるからである。つまり、話すという行為が私は
根本的に下手なのである。
 
このことが悔しくて、内藤氏の言葉にあるように「人よりもたくさん読書をしたり」するよ
うになっていった。多分私の年間読書量は、同い年の人たちの年間平均読書量よりは
多いと思う。
 
話が逸れてしまって恐縮である。本題に戻ろう。本書には他にも魅力的な文章が散り
ばめられている。その中の一つに「マイナスをプラスに転化する」技法とでも言えるもの
が含まれている。
 
例えば、「理想のリーダー像」についての言及がそれである。
具体的には”気弱な人ほど、相手の話をよく聞く姿勢をとれる”ことであったり、あるいは
”強権を発動するようなリーダーではなく、部下を尊重し、大切にすることができ、かつ
親密な連合関係を築けるリーダーになれる”ことであったりというものである。気が弱い
ことを逆用して、よいリーダーになれることに自信を持とうということなのである。
 
これらに加えて、本書は非常に読みやすく、上記以外にも示唆に富んだ内容にあふ
れた充実した書籍であると私は捉えている。
 
内藤氏は、既に200冊以上の著書をお書きになっている点もすごいと思う。
もしご自身で、”私は弱気な人間だ”とか”なんて自分は小心者なんだろう”と悩んでしま
われているような方には、強く本書をお勧めしたい。