このブログもめでたく第12回を迎えることができた。

今回は、濱潟好古氏による『防衛大式 最強のメンタル  心を守る強い武器を持て!』

(青春出版社)をご紹介していきたい。

 

まずそもそも、濱潟氏の著書を私が拝読するのは、本書で2冊目である。ご参考までに、

おおよそ半年ほど前に出版された、同氏による『防衛大流 最強のリーダー』(幻冬舎)

をお読みになってから本書を購読されると、より理解が深まるかもしれない旨お伝えして

おきたい。

 

さて、上記2冊に出会って自分自身でいろいろと調べてみるまで、防衛大学校という存在

が、入学金・授業料が一切かからない上にさらに、毎月給与が支給されるということを、

恥ずかしながら私は全く存じ上げなかった。すなわち、この大学校に在籍している間は、

お金をいただける上に、学びを得ることもできるということなのである。

 

しかし、世の中にうまい話があるわけがない。濱潟氏の文章を読んで、私は震えあがった。

この大学校での生活が、あまりにも過酷を極める日々であることを知ったからである。

 

防衛大学校というのは全寮制である。本書の中で驚愕した内容は数多くあるのだが、一例

として次のようなものがある。寝床を整える、いわゆるベッドメイキングの際に、シーツを

ピンピンに張っている状態(濱潟氏は「10円玉を落下させたときにそれが跳ね上がる状態」

と仰っている)でないと、せっかく張ったシーツを、窓から上級生の手によって外に放り出さ

れるというのである。

 

また、いくら全寮制といっても土日は外出許可がおりるそうなのだが、きちんとした服装をして

も、出入り口で待機している上級生の厳しいチェックに合格した後でなければ、一切外出する

ことができない。

 

ちなみに著者は、このチェックがあまりに厳しすぎて、土曜日に結局丸一日外出できなかった

日があった旨を述懐されている。

 

とにかく、防衛大学校というのが我々の想像を遥かに越える、いかに厳しい場所であるかは、

濱潟氏の著作をお読みになれば、即座にご理解いただけると思う。

 

ところで、この大学校を卒業後、海上自衛隊幹部候補生学校を経て、営業職として民間の

企業に入社した著者は、一年目は全く成果の挙げられない営業マンであったという。

 

けれども、防衛大学校での様々な経験と、他人の二倍以上行動するという考え方(例えば、

アポ取りの電話を周囲の社員が100件行なっている場合、著者は200件以上行なっていた。

また、DMを周りが50通送ったならば、ご本人は100通以上送っていた)のもとに業務に励

んだ結果、入社2年目以降5年目まではトップセールスマンであり続けることができたそう

である。こうした実績を残した後、濱潟氏は現在、経営者としてご活躍されている。

 

防衛大学校では、生活力が高い学生を「デキっ子」、その逆を「ダメっ子」というそうなのだが、

濱潟氏は、典型的な「ダメっ子」であったという。しかし、上記2冊の氏の文章から察するに、

氏は周囲の素晴らしい人たちの良いところを素直に真似したり取り入れたりする賢さを備え

た、実は「デキっ子」としての存在であったのではないかと私は勝手に想像している。

 

そういう素直さや、謙虚さ、さらには優れた能力といったものが揃わなければ、経営者として

活躍したり、また商業出版として書籍を上梓したりすることなど決してできないのではないか

と私は思うからである。

 

いつもの書評と同様、今回も著者の作品の素晴らしさを、おそらく5%も表現できていない

気もするのだが、もっともっと突っ込んで防衛大学校の実際をお知りになりたい方、また

この大学校に所属されている方々の魅力、およびここでは語り切ることの出来ない著者

の魅力をもっともっと深く理解したいと思っていらっしゃる方には、濱潟氏の書籍をお読み

になることを強くお勧めしたい。