文章を書くことは、人間の思考力を鍛えることにとても大きな意義があると私は思う。
インターネットの登場により、自分が書いた文章を多くの人に読んでいただけることは、
すごいことではないかとも感じる。
さて、佐々木丸美氏による『雪の断章』(創元推理文庫)という小説がいま、私の手元
にある。数年前、あまり面白みを感じずに、途中で(半分も読まずに)拙宅の本棚に
置きっぱなしにされていた物語である。
久しぶりに、なぜか気になって、手に取り続きを読み始めてみた。
すると、その面白さにページをめくる手が止まらなくなってしまったのである。
小説において、これ程に巧みな文章を書ける人物がいたのかと私は驚愕してしまった。
特に、登場人物の心理をここまで細密に、かつ分かりやすく描けることに絶賛あるのみ
だったのである。
残念ながら、佐々木氏はすでにお亡くなりになっていることが私には悲しい。
”多分、こういう人を「天才」というのだろうな。”と漠然と私は思ったのである。
もし、骨太の小説(表現がおかしいかな)をお読みになりたいという方は、試しにご購入
されることをお勧めする。
人間の価値基準は人それぞれかと思うので、お読みになった後の喜びを私が保証する
ことは残念ながらできない。ただ、「少なくとも私だけは(猛烈に)その文章力に感激し、
また感動した」ことだけはお伝えしたいと思う。