交錯 警視庁追跡捜査係 著:堂場瞬一
交錯 警視庁追跡捜査係
堂場瞬一:著
角川春樹事務所
ISBN:978-4-7584-3453-9
2010年1月発行 定価720円(税込)
また、だいぶ時間が空いてしまったけど…久しぶりに読み終わった作品がコレ、今回も流行りものの堂場瞬一です。今年のはじめに出た文庫。雑誌連載後にこの文庫で初書籍化された新シリーズ…失踪人の次は、未解決事件って、アメリカのTVドラマのような路線を狙ってますね~(笑)
他部署が放り出した未解決事件を追う警視庁追跡捜査係…刑事の沖田大輝は、新宿で起きた無差別殺傷事件の犯人を、現場で刺して逃走した男の行方を追っていた。この通称“名無し”は…殺傷犯の蛮行を食い止めたという理由で世間の一部では英雄視もされていたのだが、犯罪者には違いないのだ。一方、沖田の同僚の西川大和は…都内で起きた貴金属強盗の捜査を地道にこなしており、盗品の行方を追っていた。やがて二人の捜査がお互いに交差して…。
あぶ刑事のタカ&ユージみたいな主人公の二人(いや、あそこまで破天荒な刑事じゃないけど、なんとなく性格がね)…仲がいいんだか、悪いんだか、お互い顔を合わせれば相手の短所を見つけて罵りあう。でも、いつのまにやらコンビプレーを見せ、気がつけばお先真っ暗だった難儀な未解決事件に光明が差していると…。
堂場作品らしく棚ボタ的な展開も無きにしも非ず…前半の煽りのわりに、真相がショボかったり、名無しの正体もかなり早い段階で見当がついちゃったりと…マイナス要素も少なくないんだけれども(犯人当てを楽しみたきゃ、読者への挑戦があるような本格推理を読めという事なんでしょう)、鳴沢了以上の好キャラクターに恵まれなかったシリーズもののなかでは、意外とキャラだちしてて良かったかなぁと、今後の展開に期待できる。
今までの作品は、正確の悪い独身中年とかが多かったけど…そこそこ幸せな家庭を築いている家庭持ちのキャラクターが出てきたのがいいんじゃないかな?失踪課にも、脇役で子沢山の醍醐とか出てきたけど…こっちは主役の一人なんで、けっこう家族の描写とかもちゃんと描かれていて、ドラマに深みを与えている。
片方の刑事は…堂場作品お得意の相変わらずな堅物中年デカなんだけれども、これがどうして、事件関係者のバツイチ奥さんにホの時になっちゃって…必死に、その息子をだしに使って口説こうとしている姿がなかなか滑稽だった。うまく口説く事に成功するのかどうか、ある意味事件の行方よりも興味があったのだが…最後はうやむやに。次回作以降で、この続きが描かれるといいんだけどなぁ~。
個人的採点:70点