棘の街 著:堂場瞬一 | 105円読書

棘の街 著:堂場瞬一


105円読書-棘の街 棘の街

堂場瞬一:著
幻冬舎 ISBN978-4-344-41374-0
2009年10月発行 定価840円(税込)









体調を崩して、しばらく読書から遠ざかってました…結局、GWもあったというのに今月はまだ2冊目です。まだ本調子じゃなくて、この本も、読み始めてから1週間くらい、なんかダラダラ読んでて…ようやく終わったって感じ。TV放送中の「警視庁失踪課」の原作者・堂場瞬一による、単発の警察ミステリー…2004年のハードカバー作品を文庫化したもの。

地方都市・北嶺で高校生の誘拐事件が発生したのだが、捜査中の捜査一課刑事・上條元のミスで、犯人との交渉が決裂してしまった。やがて事件は行き詰まり、上條も捜査から外され数カ月経ったある日…被害者の遺体が偶然発見された!それでも事件の解決には至らず…上條は自分なら事件を解決できると自ら北嶺署への移動を志願…再び捜査を再開させた時は、事件発生から一年が経過していた。そして上條は、またたく間に他の刑事が見つけられなかった事件の手がかりを発見し、一人で邁進し続けるのだが…偶然、関わりを持った一人の少年が原因で、事件は思わぬ方向へ動き出す…。

誘拐殺人事件の捜査をする警察ミステリーなんだけれども、推理小説というよりはハードボイルド調な雰囲気が強く、かといって生粋のハードボイルドかというとそうでもなく、まぁ、堂場作品らしい警察ミステリーではあるんだけれども、単純な話なのに、やたらと回りくどくて…いつも以上に興味が持続しない。誘拐事件の犯人が、早い段階で正体をバラしており、その犯人と主人公刑事との駆け引きの様子がダラダラと続いていく感じ。

また、事件の関係者らしい記憶喪失の少年を保護して、面倒を見るという話も、堂場作品特有の“親子”をテーマにした物語の重要な核になっていくんだけれども、そっちの方も、最初っからネタワレしちゃってるので…いつまで引っ張るんだよとイライラさせられる。もう少し上手に書けば、劇的な、感動的な話になるのに…この人に、そういうテクニックがないんだよね。まぁ、その辺は、自身が描く作品の不器用な中年オヤジの主人公たちと一緒なのかなと(笑)

主人公はいつものパターンの愛想のない堅物系中年刑事なんだけれども、鳴沢や高城以上に、態度がムカつくんだよね。周りに敵を作り、事件をやたらひっかきまわすと…やっている事は、シリーズ初期の鳴沢了とそっくりなんだけど…なんだろう、今回の上條ってキャラは、主人公としての魅力が薄い気がする。いまどきの少年犯罪らしい、何を考えているんだかよくわからんという…不気味な気持ちの悪さだけはそこそこ描けていたんじゃないでしょうか?





個人的採点:60点