武装酒場 著:樋口明雄 | 105円読書

武装酒場 著:樋口明雄


105円読書-武装酒場 (ハルキ文庫) 武装酒場

樋口明雄:著
角川春樹事務所 
ISBN:978-4-7584-3440-9
2009年10月発行 定価660円(税込)








タイトルに惹かれた樋口明雄の「武装酒場」を読む…酒好きの酔っぱらいどもが、ガード下の飲み屋で、浅間山荘よろしく籠城を決め込むというドタバタコメディ調のお話。2002年のハードカバー書籍を文庫化したもの。


阿佐ヶ谷のガード下にある「善次郎」…そこは頑固オヤジが一人で切り盛りし、常連客ばかりが集う飲み屋だった。女房殺しのターさん、借金取りから逃げる西ヤン、男に振られた淳子らも店の常連であり、その日も偶然集まってしまったのだが…別件で刑事とヤクザが店にやって来たことから騒動が勃発!立て籠もり事件へと発展していく…。

偶然の積み重ねでどんどん事態が悪い方へと転がっていく…実に馬鹿馬鹿しいありえない展開なんだけれども、主舞台となる「善次郎」というガード下の飲み屋が、妙にリアルだからこそ…話もらしくみえてくるわけですよね。拳銃や手榴弾を偶然入手してしまう酔っぱらいたち…その方法なども実によく考えられていて面白かった。

酔っぱらい集団が、銃を持ったら…テロリストよりも手ごわかった!セオリーを全く無視され、SITにSAT、自衛隊まで出動しても、全く歯が立たず(笑)いったい、どのように事態は収拾するのか?力を手に入れた酔っぱらいたちは「太陽を盗んだ男」の城戸誠よろしく、とんでもない要求を次から次へと突き付けてくる!

お馬鹿な展開なんだけど…頑固おやじの一本筋の通った落し前の付け方、最後のエピローグ部分で描かれる関係者たちのその後などは、意外と感動的。小説だから許せる、愛すべきオオトラたちに親近感がわく。オチの一つにあったように、この作品が本当に映画化されると面白いでしょうねぇ(笑)小説は続編も出てるようで、また100円コーナーで探してみたいと思います。






個人的採点:70点