パラダイスロスト 著:三井雷太 | 105円読書

パラダイスロスト 著:三井雷太


105円読書-パラダイスロスト (メガミ文庫) パラダイスロスト

三井雷太:著
学研パブリッシング 
ISBN:978-4-05-903538-1
2009年11月発行 定価683円(税込)








緒方剛志の表紙イラストに惹かれた、いわゆる表紙買い…学研のメガミ文庫というライトノベルの新人作家さんだけど、著者コメントの“初代ガンプラ世代”という書込みをみると、自分と同世代だと思われ、そこそこの年齢の人のようだ。本職は放送業界の人らしく、文章もけっこうこなれていて読みやすい。

幼い頃に両親を亡くし、叔父と一緒に暮らしている高校生の早瀬ヒトミ…平凡な女子高生のフリをし、学校では極力目立たない生活を続けていたのだが…実際はバイクをのりこなし、格闘技にも長けている。夏休み直前のある晩、コンビニで、ヤンキーにからまれている見知らぬ美少女を助けたヒトミ…翌日、学校へ行くと季節外れの転校生としてヒトミの前に現れたのが、件の美少女・柿ノ木坂理沙だった。彼女と知り合った事で、ヒトミの生活環境に異変が…。

本文の言葉を借りるなら、主人公のヒトミの容姿は、“ちびまる子ちゃんのタマちゃん”のようなダサイ少女なんだそうだが…実は、これは世をしのぶ仮の姿、実は運動神経抜群で、容姿もそこそこなんだとか。なんとなく「ブラックラグーン」に出てきた戦うメイドみたいなイメージだなぁヒトミって、怒らすとかなり恐ろしい女なんです(笑)

バイクを乗り回す怪力女が、ヤンキーどもをバッタバッタとなぎ倒して、謎の美少女を助けるという導入部はなかなか痛快で作品に惹きこまれ、その美少女が転校生として、主人公の前に現れるというところまではけっこう面白かったんだけれども…学園青春ものみたいなのを期待していたら、結界がどうたらこうたらと、中途半端にオカルトめいた話になっていくのがちょっとなぁ、自分のイメージしていた展開と違う。

そういう設定なら、もう少しおどろおどろしい感じの方向へいってもいいと思うんだけど、なんとなく軽いですね。そこが魅力っちゃ、魅力であり…主人公の女の子のアクションを楽しむためのお膳立てと考えれば問題ないけど…。最後に無理やりファンタジー系の話も盛り込みホロっとさせるんだけども、どんでん返しがちょっと小賢しすぎるかな?

雰囲気や文章はわりと好みなので、もう一押し何かが欲しい。新人ということなので、これからこの作品の続編なり、新作の物語が出るのであれば、読んでもいいかなって思える作家さんではありましたね。今後に期待ということでしょう…。






個人的採点:60点